バカップルアタック
前回までの話の続きは保留です。
後々の伏線のつもりです。お楽しみに!
みなさん、おはようございます。
私立岳倉橋高校2年2組の斎藤聡です。
現在、学校に登校中です。
それはともかくとんでもない映像が我が眼に飛び込んできました。
カップルです。手なんか繋いじゃってます。
まぁ高校生たるもの、お互いに異性を意識し合うお年頃でしょう。
しかし、違うのです。
俺が言いたいのはそのカップルの2人本人達についてです。
紛れもなく、ウチのクラスメイトです。
しかも、クラス内では一番よく喋る2人です。
そうです、清原竜輔と氷見院柳の2人です。
何ということでしょう。
竜輔に関しては今までずっと氷見院に入れ込んでいたからわかります。
しかし、氷見院は逆に迷惑がっていたのです。
最近、何か仲良くなってきたなぁと思っていたら……そういう関係になってしまったんですね。
そうですか、それはいいです。
2人がそういう関係なら喜んで応援させて頂きます。フレーフレー!
しかし違和感が隠し切れません。あの2人がイチャイチャしているとなんというか……・ムカツク。
嫉妬? 違います。
実は俺は生まれながらにして読心術が使えるエスパーなのです。
普段は力を使う事を意識しないと、使えません。
しかし、最近は何か幻聴が聞こえてくるのです。
どうもあの2人の考えていることが無意識のうちに俺の頭に流れ込んできているようです。
半径50mは離れないと聞こえてきます。耐えられません。
本人達には悪いですが、ここで聞こえてくる心情の一部をご紹介いたします。
何でって?
そんなの俺の苦しみをわかって欲しいからです。
ではいきます。
『姐さん、今日も素敵だ素敵だ素敵だぁ~~~~~!!! 朝のキッスも最高ですね。学校が終わってからもしましょうね。』
これは竜輔の心情です。
次は氷見院の心情。
『あぁ、どうしよう。昨日2回もしてしまった。これじゃまるでバカップルだな。でも、いいか。俺は竜輔のことが好きなんだし。それにしても昨日の……・』
いかがでしたか、このバカップルどもは?
駄目です。もう耐えられません。
こんなのが毎日学校で頭をグルグルと回ってるんですよ?
ストレス溜まって毛が全部持ってかれそうですよ、ほんと!
こんな俺に同情してくれる人は↓のあて先まで応援メッセージなんか送ってくれると今日も一日生きていけそうです。締め切りは20XX年X月の消印有効です。
沢山のお手紙お待ちしております。
斎藤聡でした。
<<<竜輔視点>>
「あて先は……書いてねえじゃん! おい、これじゃ聡に応援メッセージが書けんではないか!」
「うるさい、誰が貴様なんぞに書いて欲しいといった!?」
聡はなんかキレている。
さっきからこちらに塩をかけて追い払おうとしている。
教室が塩まみれになってしまうぞ?
「うるさい、そんなのどうでもいいんじゃ、ゴルァ! 半径50m以内に入ってくんじゃねぇ!!」
今日は荒れてるな、聡よ。
しかし、いつか君にも春は来る。俺が保証してやる。
「てめぇの保証は5分で終わりそうだ。それに俺に春は必要ない!」
ほほう、飽くまで孤独を貫くというのだな? まぁそれでもいいがね。
しかし、君は大事な事を見落としている。
「な、なんだよ?」
実は4組の松村さんが君のことが好きらしくてな、放課後、大事な話があるから家庭科室まで来てくださいとのことだ。羨ましいぞ、この色男!
「ま、まじか!? マジで松村さんが?」
ふむ。どうやら面識があるようだな。
「ったりまえだ。1年の時に同じクラスだったじゃねぇか! しかもすっげぇ美人じゃねえかよ」
そうだったな。しかしだな、彼女は聡に愛想尽かせて別の男と現在交際中だ。
「???? どういう意味?」
実はな、それを伝えてくれと言われたのが“去年”の今日なのだ。
すっかり言い忘れてしまっていてな。いやはや、年をとるのは怖いねぇ。
「……」
「……」
「ふざけるなぁぁぁ~~~~!!!!」
聡の手から直径5cm強の光の玉が出現した。
「おぉ、それが噂に聞く○気玉かぁ~。実際見るのは初めてだな」
「俺の青春をかえせぇぇ~~~~!!!!!!」
○気玉は聡の手から離れると俺に向かって時速およそ120kmで突進してきて、俺に直撃した。
ふっ、効いたぜ。
爆発こそしなかったものの、腹を貫通するような痛みのあと、俺は吐血した。
倒れそうになった俺を誰かが後ろから支えてくれた。
「おい、竜輔、しっかりしろ!」
姐さんだ。
「お前が死んだら……立派な墓くらい立ててやるよ」
「ふっ、姐さん。それを姐さんの口から聞けただけで俺は幸せ者っす。最後に・・キスを」
朦朧とする意識の中で俺の最後の願いを言う。
「そんなもんいくらでもしてやる」
姐さんの唇が俺の唇に……
「見せ付けてんじゃねえ~~~~~!!!」
意識がなくなる直前に聞こえてきたのは聡の怒鳴り声だった。
<<聡視点>>
はい、みなさん、こんにちは。Re.斎藤聡です。
職業は学生兼エスパー。好きな食べ物はコンソメスープです。
今現在、昼食時間で食堂におります。
さあて、この時間ばかりは学校では唯一俺の至福の時!
なぜなら、この時間はあのバカップルどもはいないからであります。
しかも、一日限定20食の特選スパ定食にありつけました。
う~む、美味い! 最高ですね!
え!? あの2人はどうしたかって?
そんなの決まってますよ。手作り弁当を“ラブラブ”でつつきあっているのですよ。
まったく、こんな時まであの2人の話をふらないでくださいよ! 虫唾DASHですよ。
あ~あ、俺の青春……・もう来ないだろうな。
は!? あああああれは松村さんではありませんか?
おぉ、相変わらず美人ですねぇ。……そですか。あれが例のカレシですか。
負けました。イケメンですね。
テンションがマイナス100です。
俺はもうここでは生きていけないような気がします。
<<竜輔視点>>
「りゅ、竜輔、口開けろ」
「姐さん、食べさせてくれるんですか?」
「うむ、これくらいはやらせろ」
「んじゃ、遠慮なく! あ~~ん」
俺と姐さんは屋上にいる。
今時、屋上が開放されている学校も珍しいが……
ともかく、俺と姐さんはラブラブ全開で昼食をとっている。
「(モグモグ)うん、おいしいっす!! いやぁ~姐さんは喧嘩も強くて、お料理もできるなんて非の打ち所がないっすね」
「ついでに言えば、お前より勉強もできるぞ」
「うっ、痛いところを……」
きついのは相変わらずだが、そんなところもす・て・き(はあと)
「おい、てめぇら! ここでなにイチャイチャしてんだ?」
突然、いかにも不良って感じの奴等が割り込んできた。
「ここは俺等の縄張りなんだよねぇ、先輩達はどっか別の場所に移ってくんないかな?」
「でないと、そこのお嬢さん剥いちゃうよぉ?(ニヤニヤ)」
そうか、こいつら1年生どもか。
って、俺の姐さんを……剥くだと? 上等だ!!
「貴様等、喧嘩売る相手を間違えたようなだな? 俺の姐さんを愚弄するなど一万光年早いわ!!」
キレた。指をボキボキ鳴らして1年の不良共に歩み寄る。
「おい、竜輔」
「姐さんは黙っててください! これは男の戦いです」
「い、いや、そうじゃなくて、一万光年は時間じゃない。光の速さで一万年かかる“距離”のことだ。そしてネタが古い」
グサっ!!
ううう、何もこんな時にそんなツッコミしなくても……。テンション下がっちゃたんですけど。
「へぇ、先輩が相手してくれんの?」
「おっしゃ、俺がやる!」
「ストレス解消には悪くないよな?」
好き勝手に言ってくれちゃって、俺はもう哀しみをパワーに変換して戦うしかないのか?
「いくぜぇ、せんぱい~~?」
大柄のアフロ男が飛びかかって来た。
俺って去年まではこいつらと何ら変わらなかったんだけどな。
思い出をかみしめながら、アフロの手首を掴んで背中にねじりあげた。
「いてててて、はなせぇ」
「ば~か、俺は喧嘩のプロって奴だぜ? そりゃもうお前等のような猛者どもをバッタバッタと殴り倒して1年時では最強の名を欲しいままにしてだな……」
俺の武勇伝をアフロ男の耳元で叫び、後頭部に掌底を叩き込んだ。
ふっ、これぞ少ない力で大男をのす裏技!
「誰も出来ないと思うが……」
姐さんは呟く。
この時ばかりは耳を塞いでやり過ごした。
「みっちゃん、しっかりしろ!」
仲間のモヒカンがアフロに駆け寄る。
「さあて、次の相手は君かな~?」
「うっ、うわぁ~~~!!!」
駆け寄ってきた爆発頭がタックルをしてきた。
「うわっ、スキありまくり」
そのまま拳を顔面に叩き込んだ。
爆発頭はきりもみしながら昏倒した。
今のは姐さんの技をパクったやつ。
さすがに初めてだけあってキレイに回転させながら吹っ飛ばすことはできなかった。
「弱い弱い。もっと骨のある奴いないのかぁ?」
残りのメンバーは恐れを成してか、2人を担いで屋上から出て行った。
「ふっ、俺の腕も錆付いてはいなかったか……なんちゃって♪」
最後にかっこよく決めたつもりで姐さんを見ると、
パチパチパチ
拍手ですか。いやぁ~照れますねぇ。
「強いな、竜輔。お前と初めて会った時もただ者じゃないと思ってたしな」
「いやぁ~照れるじゃ……って上着なんか脱いじゃって何を?」
姐さんはこちらに目を輝かせている。(いや、正確には燃えている)
俺の脳裏に浮かんだのは二つ。
①一つは邪魔者は消えた。ここでやっちゃおう!
②もう一つはストレス解消、喧嘩の相手をしろ!
……前者がいいに決まっているが、この気配は明らかに後者だ。
「ちょ、待ってくださいよ。いくら俺が強くても姐さんに拳はふるえ」
「問答無用! 『スネーク・イントルーダー』!!!」
「うひぃ~~~~」
今回は蛇の如くしなやかな動きでのチョップ系の技。威力、殺傷力ともに乏しく見えるは、きっと“削る”タイプだからだ。
「見せてもらおうか、岳倉橋最強の男子の性能とやらを!」
「ね、姐さん、何気にあなたも古いネタ使ってんじゃないっすか?」
「気のせいだ~!」
「うひゃ~~~~!!」
絶叫が校舎に木霊した。
そうです、現在この学年……というかこの学校で最強の名を欲しいままにしているのは明らかに姐さん以外にいません。
実は、今回からんできたアフロくんは何らかの形で再登場します。
特に意味はありません。




