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第6話 上位の鬼

寺の入口には三体の鬼が立っていた。そいつらを斬ることなど、私には造作もなかった。


私たちは寺の中へ入った。そこはもはや神聖な場所ではなかった。至るところに爪痕が刻まれ、木の床には血がこびりついていた。


私はハルを後ろにかばいながら、慎重に歩みを進めた。本堂の大きな扉の前まで来た時、私は足を止めた。扉の向こうから強烈な血の気配を感じた。


扉を開けて中へ入ると、一面が闇に包まれていた。しかし、その奥には中央に座る一つの人影が見えた。


近づいて姿を見た瞬間、私は驚いた。その鬼は他の鬼とはまったく違っていた。


顔も身体も人間そのものだった。鬼らしいものといえば、頭の角と鋭い牙、そして手足の鋭い爪だけだった。


鬼は私をじっと見つめ、不気味な笑みを浮かべていた。


「ずいぶん時間がかかったな、黒沢源蔵。間違っていなければ、お前はここへ来るまで四十五年もかかったようだな。」


私は、なぜこの化け物が私の名前を知っているのか理解できなかった。なぜ私が姿を消していた年数まで知っているのか。


その重苦しい沈黙を、不意にハルが恐れることなく破った。


「姉ちゃんはどこだ!?」


鬼はゆっくりとハルの方へ顔を向け、一本の指である方向を指した。


「姉か? あそこを見ろ。あの骨の山だ。」


私は視線を隅へ向けた。そこには確かに血だまりと、人間の骨が山のように積み上がっていた。


私はゆっくりと視線を落とし、ハルを見た。その顔は絶望に染まり、身体は耐え難い苦しみで震えていた。


私が何かを言うより早く、ハルは完全に我を失った。怒りのまま鬼へ向かって走り出した。


「嘘だ! 姉ちゃんを返せ!」


本堂は静まり返った。鬼は座ったまま動こうともしなかった。ただ一度だけ腕を振るい、その一撃でハルを吹き飛ばした。


鬼は再び私をじっと見つめ、嘲るような笑みを浮かべ続けた。


私は怒りに任せて刀を抜こうとした。しかし柄に触れることすらできなかった。気づいた時には、鬼は私の目の前に立っていた。まさに目と鼻の先だった。


「なっ……。なんという速さだ……。」


経験を積んだ侍である私でさえ、その動きを捉えることができなかった。これほどの速さを持つ相手には、今まで一度も出会ったことがない。


鬼はさらにゆっくりと顔を近づけ、私の目を真っすぐ見つめながら、小さな声で囁いた。


「どうした、黒沢源蔵。年老いた目では、もう私の動きも見えないか? 本当に老いたものだな……。」

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