第5話 源蔵の記憶
衝撃的な真実を聞かされ、私はその後まったく眠ることができなかった。このまま考え込んでいても仕方がないと思い、何かして気を紛らわせることにした。
ようやくハルが目を覚ますと、私はささやかな贈り物を差し出した。
それは藁で編んだ草鞋だった。ハルが眠っている間に、乾いた藁で作ったものだ。
ハルは驚きで目を丸くした。そして次の瞬間、顔いっぱいに笑みを浮かべ、心からうれしそうに飛び跳ねた。
その無邪気な笑顔を見ながら、私の頭に浮かんだのはただ一つだった。私は必ず、この子の姉を取り戻さなければならない。
「これからどこへ行くの?」
「鬼たちがどこへ連れて行ったのか分かった。」
私たちは再び歩き始めた。向かう先は、私が生まれ育った場所だった。
道中、ハルは今まで聞かなかったことを私に尋ね始めた。
「ご家族はどこにいるんですか? どうしてあなたが最後の侍なんですか?」
その時、私は自分の過去を話すことにした。
「私はごく普通の村で育った。両親がいて、兄弟は三人。私は次男だった。私たち三人は皆、侍だった。」
「だが、兄は私たちとは違っていた。強く、見た目も良かった。女の子たちは皆、兄を追いかけ、侍たちも皆、兄を目標にしていた。」
「弟は物静かで引っ込み思案だった。母に一番かわいがられていたよ。優しい心を持ち、困っている人がいれば必ず手を差し伸べる子だった。」
「私たちはよく任務をこなしていた。ある日、長老から村の外での任務を命じられた。私は早朝に村を出て、任務を終えて夜になってから戻ってきた。」
「村へ近づくと、遠くから村全体が炎に包まれているのが見えた。私は助けが必要だと思い、必死で駆け出した。」
「村へたどり着いた私は、その光景に凍りついた。辺り一面、血だらけだった。」
「私は慌てて家へ駆け込んだ。だが、中には誰もいなかった。」
「家中を探しても、家族の遺体は見つからなかった……。そこに残っていたのは、血に染まった衣服の残骸だけだった。」
「村中を探し回ったが、生き残っている者は一人もいなかった。村は墓場と化していた。」
「しばらくして、それが鬼の仕業だと知った。私は激しい怒りに飲み込まれた。復讐しか頭になかった。」
「私は鬼狩りを始めた。行く先々で出会う鬼を、一体残らず斬り殺した。」
「鬼を一体倒すたびに、これが最後の一体であってほしいと願った。私の復讐は何十年も続いた。私は年老いるまで戦い続けた。」
「そして私はすべてを過去に置き去りにし、残りの人生を静かに穏やかに生きようと決めた。」
そこまで話すと、私は黙り込んだ。すると突然、ハルが再び私の袖を強くつかんだ。私はハルを見ると、その顔は涙であふれていた。
「その時、僕があなたのそばにいなくて本当にごめんなさい。僕がいたら、絶対にあなたを助けていました!」
その言葉を聞いた瞬間、四十五年ぶりに心が本当の意味で軽くなった気がした。私は微笑み、ハルの頭を優しくなでた。
しばらく歩くと、私たちは旅人が話していたあの寺の前へたどり着いた。




