61話 作戦を練ります
スカイ第一王子…否、第一王女殿下のいらっしゃる部屋で王子に扮した理由やその他諸々について聞いた私。
セバスからお父様が呼んでいるということを伝えられ、殿下とレイア様と共に作戦本部として使われている騎士団本部へ向かう。
…魔国に来たばかりのとき、有翼人とハーピーのハーフのハピさんやメイドのメイさんに「安直な名前」と思ったことがあったけど。うちも負けてなかったわ。執事のセバスチャンとかテンプレじゃん。
「すまない、公爵。待たせてしまった」
「いいえ、殿下。殿下が我が娘を大層心配して下さっておりましたことは儂も存じております故。積もる話もあったことでありましょう。寧ろ早々にお呼び出ししてしまい申し訳ありません」
「いや、いいんだ。3人で話す時間はたっぷりあったからね。それよりも話というのは?」
「は、まずは隣国より依頼を受けたという冒険者を名乗る者が数名、ミハイルに連れて来られまして。どうやら我々が依頼主ということらしいのですが…」
「それに関しては、わたくしが説明させて頂きますわ」
殿下とお父様が話している時に冒険者に関する話が出たので、説明を引き受けることにした。
「まず、わたくしを含めた冒険者たちは、魔の森を抜けた先に栄える魔国を拠点とする冒険者ですの。魔国についてはまた後ほど、別にご説明したいと思いますが…。ここでは、なぜわたくしたち冒険者がレオナード公爵領からの依頼という形でこの場にいるかについて説明させて頂きますわ」
私は周辺の地形が描かれた地図に指を這わせ説明を続ける。
「こちらがレオナード公爵領。そしてこの魔の森を抜けたこの辺り…実際には少々誤差がありますが、この辺りに魔国がありますわ。ことの発端は、この魔の森を命からがら抜けたという1人の兵の存在でしたわ」
「…以前、志願兵として騎士になった民がいた。その内の何人かが内戦の恐怖からか魔の森に逃げ出したことがあったが…もしや」
「ええ、その通りですわ、お父様。そして冒険者に救助されたその兵が冒険者ギルドに運び込まれ。支部長──こちらの呼称に合わせるのならば、ギルドマスターですわね。その方に話が行き、曰く『使えるものは何でも使う、だから故郷を助けてくれ』という依頼…お願いを受けたそうですわ」
「そして、冒険者ギルドから選出された、人間族の国に行っても外見的・内面的に問題のない者たちがこうしてこの場におるという訳じゃな」
「ええ、その通りですわレベッカ。………ん?」
「「「「誰(ですか)!?」」」」
「れ、レベッカ…いつの間に…」
「クハハ、アイシャが真剣に説明しておったからの、声を掛けるタイミングが無かったんじゃ」
「あ、アイシャ?知り合いか?」
「そうですわね…わたくしの仲間とでも言っておきましょうか」
「そうじゃな、同行者…といえよう」
「そ、そうか…。なら問題はないだろう。さて、冒険者については分かった。次に…」
そう言ってお父様は私を見た。…私?
「アイシャの格好について話をしたかったんだが…今の服装なら良いだろう。あまり見慣れない格好ではあるが、儂は好きだ。しかしあの時の格好について説明をしてほしいのだが」
「あ〜…。そうですわね…。のっぴきならない事情があるとしか。ですが勘違いして頂きたくないのは、魔国の方々のせいではないということですわ」
「そうか…。話したくないのであればこれ以上は聞くまい。ならばこの話はこれで終わりにしよう」
「アイシャ嬢の格好がどうかしたのかい?」
「特に問題はありませんからご安心くださいまし、殿下。…後々お見せすることにはなるかもしれませんけれど(ボソッ)」
「最後は聞き取れなかったが…アイシャ嬢がそう言うのなら問題ないんだろう。これ以上は聞かないでおくよ」
「さて…。最後に、これからについての話をしたい。我々には今日まで、2つの選択肢があった。泥沼の防衛戦を展開するか、籠城戦をするか。この2つの選択肢は、どちらも我々ではない他の者がこの内戦を終結させることが大前提で、我々の目標は内戦に勝つことではなく殿下をお守りすることだった。しかし、冒険者の方々の協力を頂けるという条件付きではあるが、第3の選択肢が浮上した。それは我々が攻めに転じ、殿下を再び王宮へお連れし王宮を奪還するという、反攻作戦である。アイシャよ、お前以外の冒険者の方の実力は?」
「皆様わたくしよりもお強い方々ですわ」
「そうか。では冒険者の皆様にお願い申し上げる。我々の支援として、我々と共にこの内戦を制するお手伝いをしてほしい」
「皆様、いかがです?」
冒険者に聞くと、『元々そのつもりだった』とか、『支部長からそこまで頼まれてたしね〜』とかいった肯定の反応が返ってきた。
「内戦に参戦する以上、魔物ではなく人間を相手することになりますが…それでもよろしくて?」
「その覚悟をしている者しかこの場にはいませんから。所長から直々に脅されましたので間違いありませんよ」
ふぅーん。
いや何してんのあの婆さん!?
「ま、まぁ…。と、言う訳で。わたくしたち冒険者は反攻作戦の実行は可能ですわ」
「そうか…!では早速作戦を練ろう。まずは──」
こうしてスカイ第一王女殿下を王宮にお連れする作戦が練られていくのだった。
──あと私個人としてはそれプラスもういくつかしておきたいことがあるなぁ。
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