59話 第一王子殿下との再会です
公爵家の屋敷に辿り着き、お母様との涙の再会を喜び合い抱きしめあった私。
しばらくして私の存在が幻影や幻覚の類でないと確認できたのかお母様は私を抱きしめていた腕を解き、
「珍しい衣装や今までのことについては後で話してもらって大丈夫よ。それよりも、今は第一王子殿下がこちらにいらっしゃるの。殿下はあなたを助けられなかったと誰よりも悔いておられるわ。殿下にその姿をお見せ差し上げなさい」
「かしこまりましたわ」
お父様だけでなくお母様も殿下に会ってあげろ、と言う。確かに第一王子というイグルー王国の現状の最高責任者(なんと国王・王妃両陛下は私が追放された時から未だ帰国していないらしい)であるためお目通しはしておくべきだろうね。
部屋を出ると、まるで部屋の近くで待っていましたというかのように──実際に待っていたのだろう──セバスがやって来て、
「お嬢様、第一王子殿下のお部屋へご案内します」
と言った。
「ふふ、よろしくお願いしますわ」
「お任せを」
一体誰から、私が第一王子殿下に会いたいと思っていることを聞いたのか、歩き出した老執事の後をついていく。
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しばらくして。
「お嬢様、殿下はこちらのお部屋に滞在なされております。私めは少々面倒な仕事が舞い込んできてしまったためこちらで失礼致します」
「かしこまりましたわ。案内ありがとう」
セバスは恭しいお辞儀をして去っていった。
この部屋にスカイ第一王子殿下が…。
あの時満足に言えなかったありがとうと、帰ってきたということをお伝えしなくては。
コンコンコン
返事はない。もう一度。
コンコンコン
やはり返事がない。もしかして留守にされているのだろうか?でもセバスがここに連れてきた以上、部屋にいないというのは考えにくい。もしかして何かがあったのだろうか?
「殿下、失礼いたしますわ」
私はええい、ままよと返事を待たずにドアを開け中へ入った。室内は整頓されており、机の上には政務の書類らしき紙束が。そしてお香が焚いてあるのか、ふんわりと香る匂いがあった。
「いらっしゃられないのでしょうか…」
いないのならばまた時間を改めよう、と思ったところで。
部屋の左側にあるドアが開いた。確かあそこは部屋に隣接された浴室だったはず──!
「ふう、さっぱりした。さて、服を──」
なんと出てきた殿下は素っ裸だった!まずい!と思い咄嗟に両手で顔を隠す。ただまあ、1人の女として、TS転生した元男としてね?第一王子殿下という美男子の裸を見てみたいかと言われたら正直見てみたい。なので指の隙間からそぉっと覗こうとすると…。
「き、きゃああああっ!!」
「でっ、ででで殿下!申し訳ございませんわ!ノックに反応がありませんでしたので心配に思い勝手に入室をした挙句、殿方の裸を──!」
殿方、とのがた、とのが──あれ?
殿下の裸体をちらちら見ると、私やお姉様方ほどではないもののたわわに実った2つの果実があり、股にはご立派で凶悪なご子息が…ない?
「い、いや、気づかなかった私も──って、その声…まさか…アイシャ嬢?」
「は、はい、わたくしはアイシャですわ。その、殿下?でよろしいのでしょうか、服を着てくださいまし?」
「あ、うん、すまない」
「殿下、どうされたのですか!?って、えぇ!?あ、アイシャ様!?」
殿下の叫びを聞いたレイア様も大慌てで部屋に入って来た。
全裸で胸と股を必死に隠すスカイ第一王子(?)殿下と両目を隠しつつチラチラ見てしまう私、そしてそんな私を見てびっくりしているレイア様。
あーもうめちゃくちゃだよ!
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「落ち着きまして?」
「はい…」
「すみませんでした」
「ま、まあ元はと言えば?返事がないからと突入したわたくしにも非があると言えばそうなのですが…。殿下も殿下ですわ!誰もいないからといって生まれたままのお姿で歩き回らないでくださいまし!?」
「だってこの時間は普通は誰も来ないから…」
とりあえずパニックに陥った2人を落ち着かせ、殿下には服を着せた上でベッドに腰掛けて貰った。
ちなみに殿下のお衣装は王族用の休日着。あのおっぱいがどこに行ったのかと言いたくなるくらいにはシルエットが変わっている。
「えぇ…。こほん、まずは殿下、レイア様、お久しぶりですわ」
「あぁ。よく生きていてくれたね、アイシャ嬢」
「わたくしはアイシャ様は絶対に生きていらっしゃると信じていましたよ」
「わたくしは本来、国外追放を受けた身…。しかしながら、わたくしは現在冒険者として活動しており、依頼を受けた冒険者としてこの場に馳せ参じた次第ですわ。まあ、細かい話はまた後ほど。それで…殿下?聞いて良いものか少々微妙ですけれど…先程のお姿は一体?」
どこからどう見てもおにゃのこの体だったよね、殿下?
「そうだね。ここまで来たのならば、最早隠すこともできないだろう。それにアイシャ嬢ならば秘密は守ってくれるはずと信じているから、私の秘密を話そう。実は私は──」
「女なんだ」
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