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58話 家族と再会です(2)

レオナード公爵領に入り、弟のミハイル、そしてお父様でありレオナード公爵であるアルベルト・レオナード閣下と再会した私。


詳しい話はあとにすることにして、まずはお母様とこちらて匿われているというスカイ第一王子殿下と話をするため屋敷へ急いでいる。

幸いにも、騎士団の本部がある場所と公爵家の屋敷は距離が近いこともあり、全速力で走れば5分とかからずに辿り着くことができた。

正面入口よりも前に設置されている大門は、本来であれば門番を務める騎士が常駐しているはずだけど、この有事に彼らもどうやら駆り出されているらしく、門は閉じられ、無人だった。


「開かないのですか…?いえ、今のわたくしであれば飛び越えることもできそうですわね。少々はしたないですが、この際気にしていられませんわね」


私は門から少し離れて助走をつけ、門の前で一気に跳躍!『精霊鎧装』の効果も相まって軽々と飛び越えることができた。


「ふう。さて、この場では争いが起きることはないでしょうし…『精霊鎧装』解除」


流石に門の閉められた公爵家の屋敷の中では戦闘が起きることはないだろうと判断し、『精霊鎧装』と『精霊調和』を解除。聖狼には休んでもらうことにした。

ついでに早着替えの魔法を使いバニースーツから着替える。ミハイルやお父様と会った時は戦闘が発生したので仕方ないとして、明らかに戦闘が起きるとは思えない場所では戦闘着じゃなくてもいいでしょう。

今はそこまで暑くもなく寒くもない過ごしやすい季節だから、淡水色のブラウスに白のスカートを持ってきておいた。これは魔国では休日やちょっとしたお出かけなどによく用いられるスタイルだけど、果たしてこちらではどう思われるやら。

正面玄関に備え付けられたベルを数回鳴らす。少しして、扉が開くと共に老執事が姿を見せた。


「はい、どなたでございましょうか…っ、あ、あなた様は…!」

「お久しぶりですわ、じいや。細かい話はあとでさせて頂くのですけれど、お母様と第一王子殿下にお会いさせて頂いても?」


彼の名はセバスチャン。私のお母様の代からレオナード公爵家に仕えるベテラン執事であり、私がイグルー王国を去る前から変わっていなければ執事頭を務めているはずで、お父様とお母様、あとミハイルはセバスと、そして私はじいやと呼んでいた。


「私めをじいやとお呼びになられるのはアイシャお嬢様お1人でございましょうから、信頼もできるでしょう。ささ、お嬢様、奥様にお顔をお見せしてあげて下さい」


そう言うと彼は扉を大きく開け、私を迎え入れてくれた。確かに彼をじいやと呼ぶのは私だけだし、家族以外に彼をじいやと呼んでいる瞬間を見られた・聞かれたことはないので偽物ではない証拠になり得るのかもしれないね。

お母様の部屋へ行く道中、侍女やメイド、執事や家令といった使用人たちと何人かすれ違った。彼ら彼女らは私を見てはっとする者や口を押さえ驚く者、対照に誰だろうか?と首をかしげる者もいる。


「じいや、使用人の皆様は私が去ったあと何名ほど入れ替わったのかしら?」

「は、メイドが3名、侍女が2名。執事に変動はなく家令が3名ほど交代がありましたな」

「そうなのですわね。彼らに不便な思いをさせてしまっていないか心配ですわ」

「お嬢様は変わらずお優しいですな。ご安心ください、皆結婚や家族の介護などを理由に暇を申し出てきたのです。まあ、1部の者は貴族の次女や次男などで、実家が貴族派であるが故に屋敷を去った者もおりますが…」

「そう、それなら良かったですわ。お家事情に関しては…わたくしにはなんともできませんわね」


そもそも規模の大きな公爵家なので、使用人の人数も多い。そんな中で人事の動きが10人未満なのは流石お父様といったところかな。


「さて、着きましたな」


私とじいや…セバスはお母様の部屋の前までやって来た。お母様の部屋は記憶にある場所と変わっていなかったのでなんだか安心。セバスはドアを3回ノックし、


「奥様、お客様がお越しです。ただいまお時間よろしいでしょうか?」

『私に?分かったわ、入って頂戴』

「失礼致します」


セバスに続きお母様の部屋へ入らせてもらう。


「私にお客様って……っ」

「お母様、お恥ずかしながら、帰って参りましたわ」

「あぁ…アイシャ…私のアイシャ…生きていたのね…!」


お母様は私を見るなり大粒の涙を零し、私をぎゅっと抱きしめた。私が既に17歳を超えている以上、お母様は齢30を超えているはずなのにその美貌は私と同い年といっても違和感がないほど。

また公爵家に嫁ぎ、私とミハイルを産んでも尚本人の弛まぬ努力によって維持されているスタイルは娘である私が見ても生唾を飲み込んでしまうほどである。


さて、そんなお母様に抱きしめられた私は興奮を覚えるのではなくえも言われぬ安心を感じた。母の抱擁とはかくも暖かなものだったのか。


私とお母様は、それからしばらく抱き合ったまま二言三言話し合った。セバスは気づいた時には部屋を後にしていた。空気の読める頼もしい執事頭だよ。

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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