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56話 魔物の対処と救援

(三人称視点)


「戦況は!?民の被害はどうなっている!」

「はっ、報告します!コルス子爵領、モンテ男爵領、ノルマン伯爵領との境界線に防衛線を構築!しかし騎士を分散させている上、一部は志願した領民によって編成された部隊も存在しているため長くは持たないかと」

「また、先日貴族派へ離反し我が領と敵対を宣言したベルス子爵領に対する防衛も成功し、境界線が下がったものの防衛線の構築に成功しております」

「そうか。よくやってくれた。しかしベルス子爵め…。恐らくは裏で取引があったのであろうが、第一王子殿下をお迎えした直後に離反とは。彼が離反したせいで他の王権派との繋がりが絶たれてしまった。これでは援軍が来ず防衛線も崩壊するぞ…!」

「ほ、報告致します!ま、魔の森から、魔の森から!」

「どうした、まずは落ち着け!」


レオナード公爵家の屋敷から少し離れた位置にあるレオナード公爵騎士団の本部。現在そこには臨時の作戦本部が置かれており、アルベルト・レオナード公爵、ミハイル・レオナード公爵令息を含めた騎士団の中枢が集っている。そこでは常に戦局についての報告が怒号と共に飛び交い、騎士の中でも頭脳に優れた者が必死に地図に反映したり文字に起こしたりしている。


「報告します!魔の森から、多数の魔物が攻め込んできました!!」

「なっ、なんだと!?」

「恐らくは森に逃げ込んだ者を追ってきたか、人の匂いを嗅ぎつけてきたものと思われます!」

「くそっ、手の空いている騎士を対応に向かわせろ!ミハイル、お前も魔物の対処を頼む」

「はっ、父上。必ずや民を守り抜いてみせます!」

「うむ。だが死ぬなよ!」


魔の森からの魔物の侵入。この予想外の出来事により、レオナード公爵は敵対する他領の戦力と魔物の対処に追われることになり、二正面作戦を強いられることとなる。

公爵は予備戦力として残していた騎士と息子であるミハイル・レオナード公爵令息を対処に向かわせるのだった。


----------

レオナード公爵領・魔の森付近──


「魔物を逃がすな!一体逃すごとに民が100人死ぬと思え!」


幸いにも現れた魔物はカルスト周辺でも見られる魔狼──イグルー王国ではダークウルフと呼ばれている──であったため騎士たちだけでの対処が出来ている。しかし数が多く、倒した傍から新たに現れるためキリがない。次第に騎士たちは疲弊し、いつかは限界が来て突破されるだろう。ミハイル・レオナードはその最悪までもを想定していた。


──実はこの魔物の襲来、魔国側で冒険者たちが魔物狩りをしている影響で生息している魔物がイグルー王国側に逃げ、それらに押し出される形で魔の森の中で最弱の魔狼がレオナード公爵領に出てきているのだが、それは別の話。



そうしている間にも1人、また1人と魔物の攻撃を受け前線を引く騎士が現れ始める。さらに悪いことに、魔の森の奥からゴブリンやオークといった強力な魔物までもが現れるようになり、戦局は一気に悪化した。


「動ける者はいるか!?民を、特に女性たちを避難させろ!今すぐにだ!」

「俺が行きます!」

「頼んだ!」


ゴブリンやオークの認識は、魔国とイグルー王国でさほど相違はない。大きな違いは魔国では多種族国家であり冒険者の数も多いため連れ去られても生きて帰れる可能性があるのに対し、イグルー王国では連れ去られることは死を意味することくらいか。そのためミハイルは大急ぎで近くの集落に住む人々に対し避難するよう伝えろ、という指示をしたのだ。


新たな脅威の出現に騎士たちの負担は更に大きくなり、継戦能力を失う騎士の数も更に増えた。

ここまでか──と、誰もが思ったその時である。


「はぁぁぁぁあああ!!」


どこかから雄叫び…いや、雌叫びが聞こえたかと思うと1つの影がとてつもない勢いで現れ、魔物たちを瞬く間に屠っていく!

数分もしない内に魔物たちは殲滅され、後にはその人影が佇んでいた。


「い、今の声は──まさか…!」


声に心当たりのあったミハイルはその人影を注視する。その人影は一息ついて振り返る。その正体は──


「姉…うえ…?」


バニースーツに身を包み、スキルを使用し全身に淡い風を纏ったアイシャであった。

そしてずっと会いたかった人物と会えた喜びと何故いるのかという疑問と服装に対する衝撃と困惑により、ミハイルは思考を放棄した。


==========

(アイシャ視点)


レオナード公爵家の屋敷に急ぐ道中、感じ慣れた魔物の気配を感じ即座にスキルを使用。


「『精霊調和・聖狼(フェンリル)』!『精霊鎧装』!」


召喚された勢いのまま私に飛び込んだ聖狼と精霊鎧装をする。これで私は五感が強まり身体能力が向上した。

そして強化された五感が戦闘の音と血の匂いを感じとったため、私は迷わずその方向へ駆け出した!


走るうちにその戦闘音の正体が分かるようになった。どうやらレオナード公爵騎士団と魔物が戦っているみたい。魔物は魔狼やゴブリン、オーク。魔国では雑魚にあたる魔物だけど、騎士たちは苦戦してるみたい。

更に近づくと騎士たちの顔が見えるようになってきた。

騎士を率いているのは──ミハイル!?

なぜ弟が…。あ、そういえば前に騎士団の指揮を段階的に引き継いでいると手紙で見たような気が。


こうしちゃいられない、今すぐにでも助太刀しなきゃ──!

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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