48話 ただいま、カルスト。です(2)
10日程度ぶりにカルストに帰ってきて、本来の予定よりも長く留守にしてしまったので近しい人たちにただいまとごめんなさいを言いに行こうとしている私。
さて、まずはどこから行くべきか…と、その前に。
我が家に荷物を置きに行くべきではないだろうか?と思うのですよ。
という訳でまずは我が家に直行!
----------
自宅への道中──
──で。
「なぜ平然とついてきてますの?」
「む?もしかしなくても我に言うとるかの?」
「あなた以外に誰がいまして!?」
「ほれ、おるじゃろ。アイシャの斜め後ろに長髪の女が」
「うそっ!?」
慌てて振り向くも誰もいない。まさかおばけ!?刀で成仏させてみせようか!?
「クハハハハ、冗談じゃ冗談。して、ついて行く理由か?フィヨールで散々言ったじゃろ」
嘘かい!
…そういえば色々言ってたけど。
「あれ、本気だったんですのね…」
「本当じゃ。我嘘ついたことない」
「たった今大嘘ついてましたわよね?」
「気のせいじゃ気のせい」
「はぁ、もう…」
気を抜くと畳み掛けられるボケに片っ端からツッコミを入れるのは疲れるよ。
けど、これが心地よく思える自分もいるんだよねぇ。元日本人のサガでしょうか。
なんて会話と言えるのか分からない会話をしている内に自宅へたどり着いた。
「ほう、ここがアイシャの家か。中々良い所に住んでおるではないか」
「まあ貰い物ですけれどね」
ただいま、我が家。そう思い玄関を開け、リビングへ行くと。
「あら、おかえりなさい」
「へ?み、ミリア…さん?」
無人と思っていた家に、なぜかミリアさんがいた。アイエエ。
「な、なぜここに…?」
「なぜもなにも、ここは元々私の所有物件なんだから鍵くらい持ってるわよ。娘たちは1回あなたの様子見に来てたみたいだけど、私はしばらく来てなかったから様子見に来たの。そうしたら外出中みたいだったから、中で待たせて貰ってたのよ」
「そうでしたのね…」
「おや?何やら聞いたことのある声が聞こえたが」
と、私に続きレベッカがリビングに入ってきた。
「ああ、ミリアさん。ご紹介しますわ。彼女は──」
「えっ、れ、レベッカ姉さん…!?」
「む、やはりか。久しいの、ミリアよ」
あれ?もしかしてお知り合いだったパターン?てかまあ2人とも魔王なんだし、知り合いでもおかしくはないか。
「なんでアイシャと一緒に…というか、40年もどこで何してたのよ!?私の魔力通信にも一切反応しないし、魔王会議にも出席しないし…心配したんだから!」
と、勢いそのままレベッカに抱きつくミリアさん。あれ、お二人ってもしかしてそういう仲なんですか?
「すまぬの。ちと事情があり隠れ住んでおったのじゃ。まあ今はそこのアイシャのおかげで考えを改め、表に出ることにしたんじゃがの。まあ今更住む家も職も無い故、アイシャに世話になることにしたのじゃ」
「そうだったのね。でもまあ、また会えて嬉しいわ。それにこれからは昔よりも頻繁に会えるのよね?…あ、でも一つだけ。アイシャは私の娘だから、姉さんにはあげませんから!」
「え、はい?」
「クハハ、そうかそうか。なんとも世間とは不思議なものじゃの。正気を失った我を正気に戻し、さらにはこうして行動を共にしようと思うた者が旧友の娘とは!あ、そうじゃミリア。ちと頼みがあるんじゃが…」
「なによ?」
「金貸してくれんかの?」
「いい雰囲気だったのに最低ですわ!」
「はぁ。とりあえず100万レソでいいかしら?」
「ミリアさんもそんな大金をポンと出そうとしないでくださいまし!?」
うせやろ…ボケが増えた。
----------
いい雰囲気で金を借りようとするヒモ魔王と大金をポンと出そうとする天然なのか狙ってるのかわかんない魔王を落ち着かせた後。そういえばなんで私はレベッカと?という話になり、首都であったことをミリアさんに話した。
「そうだったの。アイシャ、あなたすごいじゃない。これを伝えたらモニカたちも喜ぶと思うわ。それとレベッカ姉さん、どうやら相当アイシャのこと吸ったみたいだけど、何か影響与えてないでしょうね?」
?吸いすぎたらなんか悪影響でもあるのかな?
「あ〜、うむ…。その、聞かれない限りは言わんで良いかと思うておったんじゃが…」
うん、なんかやらかしてそうですよこの魔王!
「その…な?ちと吸いすぎたようで、アイシャのこと眷属にしてしもうた」
「えっ」
「は?」
レベッカの発言を聞いて、私とミリアさんは同時に反応した。片や困惑、片やお怒りだったけど。
「正気失ったからってなんでもやっていい訳じゃないでしょう!?」
「うむ…。反省はしておるよ。しかしな、血が美味すぎるアイシャにも問題があると我思うのじゃ」
「わたくしのせいにしないでくださいます!?というか眷属になったと言いましても、デメリットはあるんですの?」
やらかした前提──いやまあ確実にやらかしてはいるんだけども──で話をしてるけど、私にメリットしかないのであればそこまでやばいという訳じゃないんじゃなかろうか。
「うむ。我の眷属になるとまず寿命がのびる。アイシャは人間族ということであった故、ざっと80年程のびるのではないかの。次いで身体能力が上がるの。あとは肌の調子が良い状態で保たれたり視力が良くなったり…あ、生き血を飲むことで回復できるようになるぞ!」
ほうほう。最後の要素に目を瞑ればデメリットというデメリットはなさそう。
「日光などが苦手になることなどは…?」
「ないぞ。混血や数世代に渡って血が混じった吸血鬼などはいざ知らず、少なくとも純血の吸血姫の眷属でそのような話は聞いたことがない」
へぇ、すごいね吸血姫。
「デメリットがないのであれば、わたくしは受け入れますわ。そもそも血を吸わせる判断をしたのはわたくしですし」
「ふぅん。あなたがそう言うならいいけれど。それにしてもアイシャ、あなた姉さんを随分信頼してるのね」
「へ?あ、まあ、はい」
「ふぅん。ねえアイシャ。私、あなたのこと娘だと思ってるのよ?それにモニカたちのことを『姉様』って呼んでるみたいじゃない。だったら私の呼び方ももう少し親しいものにしていいと思うのだけれど?」
おや?もしかして:嫉妬
「え、ええと…」
「そうね…。母様…は実の母がいらっしゃるでしょうから駄目ね。あ、あなたの実の母親はご存命かしら?」
「そうですわね…無事であると信じたいですわ」
「そう。なら余計に駄目ね。ならそうね…うん、ママなんてどうかしら」
「ま、ママですの…?少々恥ずかしいのですが…」
「そこをなんとか!私もあなたの特別になりたいの!」
うぅ…。ミリアさんにはお世話になってるし出来れば叶えてあげたいけど…恥ずかしい!けど…ええい、ままよ!
「ま、ママ?」
「はうっ」
「ママ!?大丈夫ですの!?」
ママは心臓を抑え突然蹲った!
あと、1回そう呼んだら吹っ切れるということが分かった。ママの娘、お姉様方の妹アイシャです!
最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。




