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47話 ただいま、カルスト。です

レベッカと一緒にカルスト行きの急行馬車に乗車している私。


急行というだけあって、行きの普通の馬車は全ての町や村に停車していた所をこの馬車は都市や大きめの町のみに停車し、かつ長めの停車は馬車を引っ張る馬を付け替える時のみという高速ダイヤ。それで馬は大丈夫なのかと思ったけど、御者さん曰く管理している馬の中でも特にスタミナのある馬が担当しているそう。


そして馬車は最後の停車駅を発車し、いよいよ次は終点のカルストというところまで来た。


「しかし、本当に停まらんかったの。急行の名は伊達ではないということかの」

「そのようですわね。とはいえ、途中の町ですら新たに乗ってくる人がいないとは思いもしませんでしたけれど」

「それもそうじゃな。我としては野盗や魔物の類に襲撃されれば返り討ちにしてやろうと思うておったんじゃが…。これでは拍子抜けじゃの」

「それで良いではありませんの。安全が1番でしてよ?」

「それはそうじゃがのう。暇じゃ」

「もうすぐ着くのですから我慢してくださいまし」


暇だ暇だと文句を垂れる魔王を宥めながら馬車は進む。そして──


「お客様、お待たせいたしました。間もなく終点、カルストに到着します。お荷物などのご用意をしておいて下さいね」


御者さん(今回はダークエルフのお姉さんだった)からの案内があり、荷物をまとめる。といっても私は読んでいた本をマジックバッグに仕舞うだけだし、レベッカに関してはただ座席に寝っ転がっていただけなので荷物という荷物はないけれど。


そして馬車はついにカルストの市街地へと入り、カルストの馬車駅に静かに到着した。


「お疲れ様でございました、カルストに到着です。お忘れ物ございませんようご注意ください。ただいま到着しました馬車はしばらく動きません。ご乗車ならないようご注意ください!」


馬車から降り改札へ。私は冒険者カードを、レベッカは私が立て替えてあげたチケットを提示して通過。


「帰ってきましたわね…」

「ふむ、我が知っているカルストとかなり違っているの。しばらく見ない内に随分と都会になったものじゃ」

「来たことがあるんですの?」

「うむ。といってももう100年近く前になるがの。旧友がここにおる故1度訪れたことがある。まあその頃はまだ田舎じゃったがの」


へー、レベッカってカルスト来たことあるんだ。

そういえば旧い知り合いがいるって言ってたっけ。誰なんだろ、ていうかまだ生きてるのかな?


「さて、まずは冒険者ギルドに行きませんと」


帰還報告と首都であったことについて報告を。あとトパーズさんをはじめとした受付嬢のお姉さんたちに会いに。おかしいな、10日ちょっとしか離れてなかったのに懐かしく感じるや。


----------

冒険者ギルドカルスト支部──


「たのもー」

「普通に入って下さいまし!?」


入り口から小ボケを放つレベッカにツッコミをいれつつカウンターへ。


「あら、アイシャさんおかえりなさい。どうでしたか、首都は」

「色々とありましたわ。とりあえず、支部長から持たされた書類は正しく本部に受け取られたとお伝えしていただきたけます?」

「わかりました。ではそのようにお伝えしておきますね」

「いや、その必要はないよ」


カウンターとは別の場所から声が聞こえた。この声は…


「支部長」

「やあ、おかえりアイシャ。首都はどうだった──って、顔見りゃ分かるか。良い経験が出来たみたいで何より。で、隣の人は──!?」


支部長がレベッカを見るなり愕然とした顔をして、次いで突然赤面しだした!どうした支部長!?


「ま、まま、間違いじゃなければ『血の魔王』アルテリア様!?」

「うむ。我こそ『血の魔王』レベッカ・フォン・アルテリアである」


うわー、ふんぞり返ったねこの魔王サマ。


「そんな、40年前に行方不明になったはずじゃ」

「うむ、少々事情があっての。しかしこのアイシャのおかげでもう一度表に出ることにしたのじゃ」

「アイシャ!あんたすごいじゃないか!アルテリア様を見つけるだけじゃなくて連れてくるなんて!」


支部長テンションどうした。見たことないくらい乙女な顔になってるしすごいよ今。


「アタシは実はアルテリア様のファンなんだよ!といっても実際に会ったことはなかったんだが、まさかこんな機会に恵まれるとは…!」

「ほう、我のファンか。クハハ、愛いやつよの。どれ、握手でもしてやろう」

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

「朝で良かったですわね、支部長…。このような姿、他の冒険者には見せられませんわ…」


しばらくはしゃいでいた支部長だったけど、時間が経って落ち着いたのか本来の調子を取り戻した様子で、


「えー、こほん。と、とりあえずアイシャ。ご家族やルナたちに帰還の挨拶でもしてきたらどうだい?」

「取り繕うのは難しいですわ、支部長…」


様子がおかしい支部長の衝撃は中々忘れることはできないよ。でもまあ支部長の言う通り、ミリアさんや姉様方、あと店長とルナ先輩にただいまを言いにいこう。あと後半のお二人には長いこと留守にしてごめんなさいも。

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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