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43話 『血の魔王』を正気に戻します

正気を失った『血の魔王』レベッカと戦っていたら突然現れたミミちゃんに驚いた私。実はレベッカがミミちゃんをはじめ攫われた子供たちを助けていたことを知らされさらに驚いた。


「ではなぜあの方はわたくしに襲いかかって…?」

「あのね、レベッカお姉さんちょっとお腹の調子が悪そうだったの。だからかも!」

「お腹が…?」


そういえば、最初に襲いかかって来た時、なにか言っていたような…。


『腹ガ…ヘッタ…血ヲ…血ヲオォ!』


「…はっ!?」

「なに、どうしたのアイシャお姉さん?」

「いえ、もしかするとあの方が正気を失った理由が分かったかもしれませんわ」


もしかして:飢餓


『血の魔王』レベッカは吸血姫であるという。だからもしかして定期的に血を飲まなければいけないんじゃないか。そしてそれが何らかの理由によって出来なくなった結果、飢餓状態に陥り正気を失ったのではないか。

そんな仮説が、頭に浮かんだ。


「そうなの?すごい!」

「えぇ。ですがやはり危ないですから、ミミちゃんは離れていてくださいまし」

「わかった!アイシャお姉さん、レベッカお姉さんを助けて!」

「最善を尽くしますわ」


さて、となれば。1番手っ取り早いのは、血を飲ませることでしょう。誰の?もちろん、私の。

もし必要な血の量が多すぎて私が干からびるとミミちゃんに一生のトラウマを植え付けてしまうので万全を期すため少しばかり細工をしよう。


「まずは『精霊鎧装』解除」


私から力が抜ける感覚と共に聖狼が再び現れる。


「ありがとう、交代をお願いしますわね」

『グルッ』


聖狼は『また呼べ』と言って風の渦に消えた。さて、それでは。


「『精霊調和・海竜(リヴァイアサン)』!」


どこからともなく水が湧き出し、地面に渦潮を作り出す。そして──


『キュウッ!』


水色の小さな竜が飛び出した!この子が海竜、全体的にまさに「竜」という姿をしているけど、水中で移動するためのひれがついていたり尾の先端が鯨や海豚のようになっていたりという特徴がある。


「よろしくお願いしますわね」

『キュッキュッ』


『お任せなさい』と頼もしいセリフを返してくれる海竜。


「『精霊鎧装』!」


海竜は潜水するように地面に潜ると私に向かってジャンプし私の中に飛び込む!海竜との精霊鎧装は、見た目の変化はほとんどない。だけど、水は生命を育み、あらゆる恵みを与えてくれる。そして海はあらゆる生命の源。つまり、私の体はとてつもない生命力と回復力を有しているのである。ゴリ押ししたい時とかスタミナとか体力がとにかく必要な場面で活躍するよ。


「さて、回復力も確保したことですし──」

「ガアァアッ!」

「ほっ!…さぁ、存分に吸血なさいませ!」


復活したレベッカが襲いかかってきたところで(一撃を入れた後だからかスピードが落ちていたのでなんとか)攻撃を防ぎ、離れられる前に抱きしめて彼女の口を私の首筋に宛てがう。


「ガブッ」

「あぐっ」

「…ゴク…ゴク」


彼女は私の首筋に噛みつき吸血を開始。ゴクゴクと喉を鳴らしながら私の血を吸って──



あ、これ、やばい。体の奥があつ〜くなってきて、あっ、だめ、声でちゃっ…


「はっ、ふぅっ、んっ」


自分でもらびっくりするくらい甘ったるい喘ぎ声にも聞こえる声が出てしまった。


「ふわぁ…。す、すごい…」


何やら恥ずかしそうな声が聞こえそちらを見ると、ミミちゃんが両手で顔を押さえつつ、指の隙間からがっつりこちらの痴態を見ているではありませんか。


「ミミ、ちゃ…あふっ、見ちゃ、だめ…あんっ」


この間にも首筋からチュウチュウと血が吸われ、体から血が失われていくと同時に海竜との精霊鎧装の効果により造血が行われていく。


「ミミさん、大丈夫…って、わあ!?」

「あ、しゅ、シュバルツさん見ちゃだめぇ!」


声が増えた!?誰!?と思ってその方を見ると、ミミちゃんの言っていた助けられた子どもたちがぞろぞろと来ていた。やめて!そんなに私の痴態を見ないで!教育に悪いでしょ!


ちょ、まだですか?あの、も、もう体の奥がほんとに熱くて、これ以上はなんか、おかしく、なりそうなんですが!


----------


それから10分程。まだ吸血は続いています。時折私が身動ぎする度、彼女の胸と私の胸が擦れて余計に感じてしまう。


「…こく…こく」

「ん…あら?」


やがて吸血の勢いが落ちていき、穏やかに、少しずつ血を吸うようになった。ここまで来ると先程まで強烈に感じていた疼きや体の熱さはある程度なりを潜め、落ち着きを取り戻し始めていた。

…けど、私の下半身はけっこうびしょびしょになってるのではなかろうか。バニースーツを来た女が美女に血を吸われて喘ぐとか、子どもの教育に悪すぎる…。


「こく…ぷは」

「落ち着きまして…?」

「うむ。お陰で満たされたわ。感謝するぞ、人の子よ」


吸血が終わると、そこには余裕の笑みを浮かべる、正気を取り戻した『血の魔王』が立っていた。

海竜(リヴァイアサン):有名な政治哲学の本ではなく、海の怪物の方。あらゆる生命の源である海の代表者であることからあらゆる傷を修復する能力がある。癒しの能力の代わりに天災の如き破壊力をもつ別形態、海龍(レヴィアタン)になることもできる。


最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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