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39話 鍵を握るのは血の魔王です?

陸軍基地・第1師団詰所──


「おはようございます、アイシャさん。早朝から呼び出してしまい申し訳ありません」

「いえ、お気になさらず。それで、進展というのはなんですの?」

「はい。結論から申し上げますと、子どもたちを攫った犯人とは別に、第3勢力がいる可能性があります」


…はい?


「驚かれるのも無理はありません。これは先日、夕方ごろに発生したことなのですが、演習場にて我々が模擬戦をしている最中、突如子どもたちを攫った実行犯の1人と見られる男が出現しました」

「しゅつ…げん?」

「はい。出現です。これ以下でもこれ以上でもない出現だったのです。…話を戻しましょう。突如出現した男に部隊は詰め寄りましたが、放心しており意思の疎通が難しい状況にありました。しかしその後の尋問で新たな人物の関与が判明したのです」


それから語られたのは、確かに事件に関与していそうな人物の話だった。


蒼銀の髪、蝙蝠のような翼、私と同等がそれ以上のお乳…ってやかましいわ。それと自身の血液を使った武装の展開。そして「10回目」という発言。蒼銀の髪は森の入口に落ちていたという髪と合致しているし、私もそんな色の髪をした人影を一瞬見た。

10回目という発言は間違いなくこの件についてだろう。事実、先日10人目の失踪者が出たばかりなんだもの。


「これらの証言から調査した結果、とある人物が浮上しました」

「では、その方が関与していると?」

「断定はできません。何故ならその人物は、40年前に行方不明になったきり音信不通なのですから」

「んなっ…」


じゃあその人じゃないんじゃないの?


「しかし証言にある特徴と合致するのは彼女しかいないのです。その人物とは──」






「『血の魔王』、レベッカ・フォン・アルテリア様です」


----------

フィヨール国立図書館──


レベッカ・フォン・アルテリア。基地でその名を聞いた私は、『血の魔王』であるという彼女について知るべく図書館を訪れていた。


「魔国歴史大全…魔国史入門…魔王とは…魔王歴代一覧…これですわね」


きっと歴史書に紛れて魔王を紹介する本があるだろうと思っていたら、案の定あった。


「『血の魔王』…ありましたわね、レベッカ・フォン・アルテリア。最後の純血の吸血姫、慈悲深く子どもに優しい(本人曰く幼き命は慈しむものとのこと)。しかし本人曰く「無辜の民」という善良な人々が危険に晒されている場合などには、時に苛烈な1面も。自身の血液を媒体に魔法を行使する姿や武装を展開する姿が有名であり、『レベッカ様に吸われ隊』なるファンクラブも存在する。魔暦▲▲年より行方不明…」


これを読む限り、レベッカという人物は『血の魔王』という肩書きとは裏腹に、性格は穏やかみたい。純血の吸血姫だから『血の魔王』って呼ばれてるのかな?

そして子どもに仇なす者には苛烈であることや血液を使った魔法や武装なども証言と一致する。

あと、確かに行方不明になってるみたいだね。『レベッカ様に吸われ隊』に関しては…まあ、うん。スルーで。



文献から、確かに第3勢力と思われる人物は『血の魔王』レベッカである可能性が高い。しかし肝心な本人の居場所が分からないのでどうにもできないのがもどかしい。せめて目撃情報でもあれば…


…と思ってページをめくると、ある紙切れが挟まっていることに気付いた。見てみるとそれは新聞記事で、『ユズリハ新聞』の記事だった。日付は数年前のもので、そこに書かれていたのは。


『『血の魔王』レベッカ様か!?古城跡で相次ぐ目撃談』


と称して、いくつかの目撃情報のインタビュー記事が書かれていた。曰く、フィヨールから西に離れた場所に残る古城跡──現在は魔物が発生していることから一般人の立ち入りが禁止されている──でレベッカを見た、血液を凝縮させた剣で斬られそうになった、西の空へ飛んで行くのを見たなどと、前世でいうところの宇宙人やUFO目撃情報のようなものばかりだ。信ぴょう性は低いけど、これだけ目撃情報があるのが全て気のせい、偶然と切り捨てるのはナンセンスな気もする。そして端の方に後から書き足された文字で、


『この話についてはこの日以降一切記事に載ることはなかった』


と書かれており、誰かからの圧力があったのではないかという憶測が立てられていた。


----------

フィヨール冒険者ギルド──


古城跡が怪しいとまでは行かずとも、その場所に何かしらの手がかりがあるのではないか。

そう考えた私は冒険者ギルドで古城跡について聞くことにした。幸いまだお昼前なこともあり、カウンターは空いていた。ラッキー。


「古城跡についてですか…。わかりました、では資料をお持ちしますので第1応接室でお待ちください。リギルちゃん、なにかあったらシリウスさんにお願いしてね」

「はい、わかりました!」


指示された通りに応接室へ。

古城跡ってどんな場所なんだろう?

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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