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38話 調査3日目、進展です

調査開始3日目──


昨日はあの後、結局あれ以降の成果はなく調査を終わった。そして夜が明けた3日目、この日事態が大きく動き出し私の今後の人生に大きく変化を与えるきっかけとなる日になろうとは、この時の私は予想だもしていなかった。


==========

時は遡りアイシャが馬車を見失った時──


この日も新たに1人長命種の子どもを攫った盗賊は上から指示された場所──西門の外に馬車が停めてあった場所──から馬車に乗り込み、逃走を開始した。

彼らに人攫いの実行を命令した人物によれば、眼前に広がる森を抜ければ任務は完了、半年は遊んで暮らせる金が貰える予定であった。

そのため彼らは浮かれに浮かれ、まだ貰ってもいない金を使ってどう豪遊するかの算段を立てていた。


「ケケケ、何とも簡単な任務だぜ。見りゃわかる長命種のガキを攫って逃げりゃ大金が貰えるんだからなァ」

「オイ、浮かれるのはいいが警戒は怠るなよ」

「分かってますぜカシラ。魔力通信もされてない、周囲に怪しい奴はいない。完璧でさぁ」

「しかしまあ、あっしらに命令した人はなんでこんなガキ共を攫うよう命令したんですかねぇ?売りさばくならもっと成熟したメスの方が高く売れるでしょうし、楽しむ目的なら尚更じゃねぇっすかねぇ?」

「さぁな。かのお方は俺らみたいな弱小組織が考えたところで考えつかないような高尚な計画があるんだろう。俺らはそれに従うだけだ」


そして、ついに森に突入、ここを抜ければ晴れて大金が──と、その時。

突如として馬車の周囲の景色が一変し、森であったはずの周囲は岩肌の露出する山地になっていた。


「なっ、なんだ!?」

「わかりやせん!いきなり景色が…!」


突然のことに狼狽える盗賊たち。すると、どこからか侮蔑のような、それでいて憤怒の籠った声が聞こえてくる。


「貴様らか…またしても無辜の幼き命を弄ばんとする穢れた血は…」


その声に盗賊たちが驚き周囲を見渡すと、少し離れた岩の上にその人物は居た。


「お、女…?」

「貴様らで10回目…。その所業、万死に値する。貴様らの命、ここで散らしてくれようぞ!」

「び、ビビんなお前ら!相手は女1人だ、全員で行くぞ!」

「へへ、よく見たら上玉じゃねぇか。あとでたっぷり楽しませて貰いましょうぜカシラぁ!」

「我が身には指1本たりとも触れさせはせぬ。下賤な血は下賤な血らしく卑怯にも纏めてかかってくるがいいわ。『血晶細剣(ブラッド・レイピア)』」


彼女がそう唱えると、彼女の右手首から血が噴き出し、その血はやがて真紅のレイピアの形となる。彼女はそれを掴むと、腰から生やした蝙蝠のような翼をはためかせ、目にも止まらぬ速さで盗賊たちへ吶喊した!


「なっ、グギャ!」

「まず1人」


1人目は高速で放たれた突きで喉を貫かれ絶命する。


「クソッ、舐めやがって!ぶっころ──」

「2人目」


2人目は脳天を貫かれ言葉を紡ぐことなく崩れ落ちる。


「ひ、ヒィッ」

「3人目」


腰が抜けたのか尻もちをついて怯える盗賊の心臓に刃を突き立て、その命を刈り取る。


「よに──ウグッ」


そのまま最後の1人も──というところで、彼女の体がガクンと不自然に減速。盗賊の1人は辛うじて死を免れる。


「貴様は見逃してやる…二度と下手な真似はするでないぞ」


盗賊はその言葉を聞いた瞬間、再び周囲の景色が一変する感覚に襲われる。気がつくと男は今から模擬戦をしようとしていた第1師団の演習場に放り出されていた。


「なんだぁ?こいつ」

「いきなり現れたぞ!?」

「おい、何者だ貴様!」


しかし完全に放心してしまった男はガタガタと震えるだけで何もしゃべることが出来なかった。

そしてその後の尋問により、男が相対した女性がこの事件に関係している可能性があるとして調査が開始されることとなり、事態は大きく動くこととなる──。



一方、男を転移させた彼女は、ハァハァと乱れる息をなんとか落ち着かせ残された馬車と中に放置された子どもを発見する。


「ぐぅ…腹が減ったのじゃ…。しかし下賤な血は飲むわけにはいかぬし、ましてや幼き命の血を飲むなど…!」


彼女は布袋から子どもを救出すると、どこかへ転移する。そして後には不自然に放置された馬車のみがそこにあるだけだった──。


==========

時は現在に戻りアイシャの視点へ──



朝起きて、今日はどしようかととりあえず外に出た私。

すると、どこから聞いたのか軍の制服を来た美人さんが私が宿から出てくるのを待っていた。


「アイシャさんですね。第1師団より言伝を預かっております。『例の事件について進展があったから来てもらいたい』とのことです」

「…かしこまりましたわ。態々待って頂いて、ありがとうございますわ」

「みゃっ…い、いえ!それでは私はこれで。失礼いたします!」


…みゃっ?なんか聞こえた気がしたけど、彼女の名誉のためにも聞かなかったことにして軍の基地へ向かうことにする。


進展ねぇ…。悪い話じゃなければいいなぁ。

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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