37話 調査2日目です(2)
陸軍の詰所で色々と情報を貰った私。
さあここでやることは終わった、と基地を後にしようとしたところ、陸軍第3師団の方々が移動しているのが目に入った。
ここまで第1師団や第3師団、騎士団と言っているけど、ここで魔国の軍制と騎士団について解説しよう。
魔国軍は第1~第3師団の3部隊で構成されている。けれども、前世地球の師団とは少々意味が違うようで、こちらの師団は部隊の規模を表すのではなく部隊の役割を意味するんだとか。実際、最も人数の多い第2師団なんかは全体で3万人の規模とのこと。
それに師団の下に連隊や大隊、中隊…というようにいくつも部隊があるという訳でもないようで、各都市の名前を冠した部隊が下につくらしい(例えばここフィヨールの部隊は、第1師団フィヨール部隊と表記される)。
そして各師団の役割は、まず第1師団は国内の治安維持や異変対応。つまり「平時が1番忙しい部隊」だね。
だから私が調査しているこの事件を担当しているのも第1師団。
次いで第2師団。こちらは国外の脅威への対応がその主な任務。つまり「有事が1番忙しい部隊」。
平時は訓練や演習…だけだと流石に暇が過ぎるし金食い虫になってしまうのか、色々な都市や集落で時折イベントを開催したり公開訓練をしたりするらしい。すごいね。
そして第3師団。こちらは他の2師団と違って少々特殊な部隊。何故なら第3師団は全員が女性で構成されており、その任務も外国の要人を迎える際や式典などで華を持たせる、所謂儀仗隊の任務を主に担っている。そして女性のみで構成されていることからか、通称「白百合部隊」というそう。これだけだと戦闘能力はそこまで高くないのかな?と思うけど、彼女らは任務の1つとして「宮殿警護」があり、実は精鋭らしい。それもあって、1部からは「鬼の白百合」と呼ばれることもあるんだとか…。
そして最後に騎士団について。騎士団は前世でいうところの警察を担う集団で、国内の治安維持や人々の不安や悩みの対応などが任務。だからさっき露出狂を騎士団に連行したんだね。
…以上、「観光客でも分かる魔国軍制」からの引用でした。てへっ。
とまあ、陸軍第3師団は師団長から末端の隊員まで全員が女性な訳で。美女、スタイル抜群、サラッサラに輝く髪と私が好きな要素しかない彼女らは、おっぱいのサイズもなだらかな丘から山脈、さらにはメロンやスイカまで実に様々で素晴らしい。
っといかんいかん、見惚れてる場合じゃないんだった!
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基地から離れて、さてこれからどうしようと悩む。
「そういえば、冒険者ギルドへの定期的な報告が必要でしたわね」
本件についての調査の依頼を受けた時に、定期的に報告にくるよう言われていたのを思い出した。
「冒険者ギルドも街の西側ですし、先に報告に行こうかしら」
そうと決まれば早速移動しよう。宮殿を中心に広がっているフィヨールの街の中で、冒険者ギルドは南西部に位置している。初めてこの街に来た時に降りたフィヨール中央駅は、宮殿前広場やその他の建築物がある関係上、厳密には中央からやや離れたところ(中央から南に寄っている)に建設されているのは面白い話。馬車が整備される以前からその地に多くの建物が建っていたことが分かるね。鉄道馬車は歴史が浅いこともあってフィヨール中央駅とはまた別の駅から発着している。
私も折角なら鉄道馬車を利用しよう…と言いたいところだけど、残念ながら冒険者ギルドの近くには走っていないので仕方なく徒歩移動。
その理由は色々ありそうだけど、鉄道馬車を走らせられる程道幅に余裕がないとか、逆に南側の通りに鉄道馬車を走らせると今度は普通の馬車が離合できる程度の道幅のある通りがないとか、そんなのが想像できる。
冒険者ギルドまで移動し昨日と今日の調査結果について報告した。
この際、私がこの件に集中していることが確認されたということで、支援として宿代をギルドが肩代わりしてくれることになった!この支援措置は私がクエストを達成(=事件をなんらかの形で解決させる)するか、クエストを放棄するまで継続するとのこと。聞けばこのような支援は他の冒険者の場合でもやっているらしく、「それ、大赤字にならない?大丈夫なの?」と聞いたら、冒険者から買い取った素材や魔石を少し色をつけて市場に流しているのだと言われた。さらに、強力な魔物の魔石や貴重な素材などはオークションにかけられ、その多くが買い取った額の倍くらいの額で落札されるから金庫は大丈夫なんだとか。あ、これは応接室で言われたことなのでオフレコで。
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フィヨール都市部西端・西門
冒険者ギルドへの報告を済ませた私は情報のあった西門へ向かった。西門を出て周りを見渡すと、ありましたよ怪しい馬車。
街の外にいるにも関わらず無人の馬車。これはどうぞ怪しんで下さいと言わんばかりの代物で、実はこれはブラフで別の所から出入りしているのではないかと疑うレベル。しかもまあ、よく数日しか間隔を空けずに来たものだよ。犯人のおつむがよろしくないのか、それとも実は別件で、たまたまここに停めている商人がいるだけ…とか?
そんなこんなでしばらく張り込んでいると、なんと現れましたよ、あやっしい〜集団が。全員揃って黒いフードを被っているし、やたらと大きな積み荷らしき布袋を担いで馬車の方へ向かっている。
張り込みの前、門番の人たちにはあることをお願いしてある。それは不審な人物や集団が現れても軍に通報しないようにすること。もし相手に魔力通信ができる者がいて、軍への通信を傍受されたら逃げられかねない。それに、軍が来たと悟られた場合、この不審な集団が以降この場所に現れない可能性が高いから。
それはさておき、奴らは布袋を馬車の荷台に乗せ、御者らしき1人を除いて全員が荷台に乗り込み馬車を動かし始めた。
よし、追いかけよう!
動き出した馬車は、やはり森に向かって走っているみたい。何度か荷台からチラチラと周囲を警戒している奴がいるけど、私はやや離れたところから遠視の魔法を使い監視。遠視の魔法はその名の通り遠くを見られる魔法なんだけど、長時間使うと目が疲れるし魔力も喰うしであまり長続きしないのが欠点。
「さて、そろそろ森に突入する頃合いですが…あら?」
馬車が森に入った途端、その姿が忽然と消失した。周囲を見てもどこにも痕跡すら残っていない。
…けど、気のせいかな?馬車が消える瞬間、青っぽいような銀色っぽいような髪の人影が一瞬見えたような…?
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