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35話 調査開始です!

フィヨール冒険者ギルド(冒険者ギルド魔国本部)で最近相次いでいる少年少女失踪事件の調査を依頼された私。


まずは地元の人たちに聞き込みをしてみよう。情報の一次ソースになるのは基本噂だというのはご存じの通りな訳で、奥様方の井戸端会議を舐めてはいけないのだ。

そういうことで、私は早速フィヨールの中心部や大通りを走る鉄道馬車乗り場へやってきた。

鉄道馬車とは字で書いた通り、鉄道の上に乗った客車・貨車を馬たちが牽引する交通機関のこと。地面を木製車輪で走る馬車に対し、鉄道を鉄輪で走る鉄道馬車は乗り心地や輸送力が秀でており、馬車の上位互換といえる。馬車で首都に来た際にこの存在を知らなかったのは、単純にレールが敷かれていない通りを通っていたから。このような高度な金属加工技術が存在するのも魔国だから、なのかな?

まあ、これも所謂「ファンタジー万歳!」な気がしなくもないけれど。


ただ、この鉄道馬車、現在のところ首都や都市のような限られた領域にしか存在していない。こんなに便利なんだから馬車を全部鉄道馬車にしてしまえばいいじゃないかと思われがちだけど、金属製の車輪や台車、更には最近登場した金属製客車のような超重量物を支えられる頑丈な地盤、もしくはコンクリートを魔国の街道全てに敷設することや、長大な路線に敷設するレールを生産することがどれだけ難しいことか。それに、もし敷設までは出来たとしても、その後の保線にかかる費用や人員といったリソースを考えると、今の魔国やこの世界では到底不可能なんじゃないかと思うのよ。


そもそもイグルー王国でさえ、街道の安全確保には裕福な伯爵家が1年間暮らせる程度の金銭を投じていたのに、イグルー王国よりも膨大な国土を持つ魔国は、文明レベルが高いといえどそれを払いきる余裕はないんじゃないかな、と思う。


閑話休題(それはそれとして)


鉄道馬車の駅に行くと、案の定それなりに人がいたので聞き込み開始。


Q.最近、この辺りで怪しい人を見た、もしくは見たという噂を聞いたことはありませんか?


「そうだねぇ、女の子の目の前で裸になる変質者なら見たけど…それ以外には特に見ていないなぁ」(スーツ姿の男性)

「見てないわねぇ。あなた騎士団の子?あら違うの、冒険者?そうなの、頑張るわねぇ。私が若い頃なんか──(その後壮大な物語が展開された為割愛)」(買い物帰りと見られるマダム)

「そういえば、路地裏で何やらコソコソとしている怪しいヤツがいたって友達が言ってたような…」(学生と思しき若者)


Qそれはどのような格好をしていたなどは言っていましたか?

「いやー、そこまでは聞いてないんです。何せ授業中でしたから」(学生らしき若者)


おしゃべりなマダムに捕まったせいであまり多くの人に聞き込みをすることはできなかった。少し気になる情報はあったけど、これだけでは確証が得られないので後日調査をすることにしよう。あとキミは授業に集中しなさい。

当然だけどいきなり黒幕が判明するようなことがあるわけなく、今日は収穫なしでこれでお終いか…と思って最後に聞いた人から、気になる情報が得られた。


「怪しい人ねぇ…そういや、一昨日くらいだっけな、西部の見張り塔で外見てた時──ああ、別に忍び込んだとかそういう訳じゃないぜ?俺は普段は門番やってて今日は非番なんだが──その時、ちょいと妙な奴らがいたな。商人っぽかったんだが、揃いも揃って黒いフードをつけててな。それに積荷らしい布袋を担いでたんだが、わざわざ門を出てから近くに停めてあった馬車に積んでやがったんだ。別に最初っから馬車で街に入って馬車で出りゃいいのに。だから怪しく思ってな、魔力通信できる奴に軍に通報させたんだが…軍が来た時にはもう既に馬車はいなくなった後、周辺を探しても痕跡も残ってなかったらしい。な?怪しいだろ?お前さん冒険者だろ。そして最近のガキどもの失踪について調べてると見た。俺らは生憎こういった事件を専門的にしらべることができねえからよ、不甲斐ねぇ俺らの代わりにこの件なんとかしてくれると助かる。頼んだぜ!」(自称門番の中年男性)


無精ひげのオジサンだったので一応聞いておこうか…という程度の期待感で聞いたら、思ってた10倍は有力な情報が得られた。しかも私が冒険者であること、少年少女失踪事件について調査をしていることなどを当ててきた上に自分達では解決が難しいからと私に事態解決を頼むという漢を見せられてしまった。全然期待せずに聞いてしまってごめんなさい、おじさん。


さて、今日のところはこれくらいかな。現状、裏通りが怪しいということ、不審な集団が西門から出て消えたことが分かっている。

だから明日はまず怪しい通りを一通り見て回って、今度は軍に話が聞けたらいいなと思う。さっきのおじさんの話からして、軍も何か情報を持っていそうだったから。

その後は西門に行ってみて、怪しい馬車とかがないか見てみることにしよう。



その後、『月夜の兎亭』に戻りラビさんに少しだけ進展があったことを伝えた。ラビさんは不安そうな顔をしてたけど、気丈に振舞っていた。ケイさんも帰ってきていたけど、死んだ魚のような表情をしていてとても見ていられなかった。『可愛い』にも反応しなかったので重症だ。なんとしてもミミちゃんを生還させなければ。

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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