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17話 言葉には責任を持ちましょう?

素直に感謝した女の子と、意固地になってるアベルと呼ばれたクソガキ…おほん、男の子。


「えっと、すみません、こいつが生意気言って」

「フン!」

「いえ、大丈夫ですわ。そちらの女性の方。魔力が尽きかけているのではなくって?」

「え、分かるんですか?」

「ええ、明らかにふらついているもの。こちらをどうぞ、魔力ポーションですわ。それと通常のポーションも」


私は女の子の方にだけポーションをあげる。女の子はこくこくと飲んで、その味に顔を顰めつつも先程よりしっかりと立っているし、顔色も良くなった。


「もう大丈夫そうですわね。それではわたくしは、これで」


そう言って踵を返し、帰ろうとする。


「ま、待てよ!」

「なんですの?」

「お、俺の分はないのかよ!?」


案の定突っかかってくるクソガキ。


「助けはいらないのですわよね?ですからあなたの分はありませんわ。そうでないと、あなたを助けることになってしまいますもの」

「んなっ…」

「自分の言葉には責任を持たなければならない…これは常識ですわよ?いい教訓になりましたわね」


何も言えず口だけパクパクしているクソガキ。ざまあみろ。


「それと、そちらのあなた」

「あ、ジェシカっていいます」

「ジェシカさん。時には『別れる』というのも大事ですわよ?自分のプライドなんていうちっぽけなものに縋りついて、実力を見誤るような人間と一緒にいると」



「死にますわよ?」


1拍溜めて、圧を強めて言ってやった。


「さて、それではわたくしは帰りますが」

「はい…?」

「…?帰らないんですの?」

「え?」

「ここはまだ第2層ですわよ?2人きりでは危ないですわ」

「へ…あ!あ、ありがとうございます!ほらアベル!あんたも!」

「クッ…アリガトウゴザイマス」



帰りの道中、ジェシカちゃんは色々と教えてくれた。

自分たちがDランク未満にも関わらず付き添い無しで勝手にダンジョンに潜ってしまったと聞いた時は、道理で剣の使い方が下手だったのかとつい言ってしまい、クソガキは項垂れていた。

あと、2人とも人間族だった。両親共に人間族で、なんと2人の祖父母にあたる人たちはイグルー王国からの移民らしい。


----------


そんなこんなで地上に到着し、まずはギルドに。


「ごめんくださいまし」

「はーい…あ、アイシャさん。お疲れ様です」

「お疲れ様ですわ、トパーズさん」


受付嬢の1人、トパーズさんが窓口業務だったのでご挨拶。

他にもルビーさんやサファイアさん、エメラルドさんなど宝石の名前の受付嬢が数多く在籍している、カルスト冒険者ギルドである。


「そちらの方は…?」

「あ、あの!すみません、私たち無断で…」

「わたくしが付き添いでダンジョンに潜った冒険者ですわ。わたくしの不注意で怪我をさせてしまいましたの」

「そうでしたか。アイシャさんは異例の速さでDランクに昇格したとはいえ、まだなりたてですから無理なさらずに、ですよ?めっ、です」

「んふっ…かしこまりましたわ」

「あー、今笑ったでしょ?もー、私これでも怒ってるんですからねー?」


ぷんぷん!と言いたげなトパーズさん。その姿もとにかく可愛くて、また思わず笑みが浮かんでしまいそうになる。

いけないいけない、令嬢教育で叩き込まれたポーカーフェイス…。

あとなんか言われてたけど、実は私、Dランクへの昇格は異例の速さだったらしい。あの時の私はとにかく速く稼ぎたくてクエストとか頑張ってたからなぁ。


「あ、アイシャさん!なんで」

「庇ったのか、ですか?」

「は、はい。元はと言えば私たちが悪いのに…」

「そうですわね、クソガキの方はともかく、ジェシカさんはまともな人そうだったのが1つ。もう1つは、磨けば光るところがありそうだったからですわね」

「へ?」

「まあ、その意味はご自身で見つけてくださいませ?」


そっちのクソガキは知らん。反省してまともな人間になろうがちっさいプライドにしがみついて沈もうがしったこっちゃない。私は聖人ではないのだ。


「さ、ではわたくしはこれで。次からはきちんとご自分で考えるんですのよ」

「え、あ、ありがとうございました!…あ、あの!」

「なんですの?」


踵を返して帰ろうとしたら呼び止められる。映画かな?


「ま、また…会えますか?」

「そうですわね、お昼は時々そこのカフェテリアで休憩している時がありますわ。それと…」


私は懐から『月灯りの庭』の名刺カードを取り出した。

『新人 ♡アイシャ♡』

と書かれている。


「え?えっと…?これは?」

「わたくしの働いているお店ですわ。こちらにいらして頂ければほぼ確実にいますわよ?」

「あ、そうなんですね…ちょっとハードル高いかな〜?」

「まあ、そうでしょうね。それでは今度こそわたくしは、これで」


ぺこりと頭を下げてその場を去る。

いつか店に来たら笑うなぁ。

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