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16話 帰る途中に人助けです

ゴブリンキングを倒し、オス臭い布と魔石を回収した私。

そろそろ魔力が危ないのでスキルを解除したい。


「『精霊鎧装』、解除」


と唱えると、体から不死鳥が飛び出し私の肩に乗った。


「今日もありがとうございましたわ」

『ピョオ♪』


感謝を述べつつ指で頭をなでなでしてあげると、嬉しそうに目を細める不死鳥。

今のは『えへへ♪』と言っている。私に協力してくれる精霊はかわいいのである。


「ゆっくり休んでくださいましね。『精霊調和』解除」


スキルを解除すると、不死鳥は肩から飛び上がり虚空に消える。消えると言っても、精霊のいるところへ帰っただけである。


「さて、わたくしも帰りましょう」


感覚的に、もう魔力が1割くらいしか残ってない。これは一刻も早くダンジョンから脱出しておいしいご飯を食べて温かいお風呂に入ってふかふかのベッドで寝なくては。尚今の内2つはミリアさんに用意してもらったものである。ミリアさん様々である。


「あの方には頭が上がりませんわね…」


----------

第4層、第3層、第2層…と順調に帰っていた私。


ふと近くはないけどそこまで遠くもないくらいの距離から、キンキンと剣戟の音が聞こえた。


「この音…他の冒険者でしょうか?」


本来であれば、他の冒険者の戦闘に介入することはトラブルのもとになるため推奨されていない。

これは冒険者ギルドで行われる講習でも習うことで、特にダンジョンとなると冒険者は自分の身を守ることが第1で、例え負けそうになったとしても自己責任とされている。


…けど、一応どんな感じか見るくらいなら大丈夫だよね?


だってあの剣戟の音、なんか有効打になってる音じゃなくて、弾かれてる感じがする。ただの感覚だけど。


「あくまで様子見…手助けの必要がなければ帰るだけですわ」


などと言い訳をしながら現場へ向かう。


==========

一方その頃。

アイシャがまさに今向かっている方向では、1組の男女が魔狼の群れを相手に苦戦を強いられていた。


「くそっ!オラァ!」


剣を持つ、少年から青年に移ろう時期くらいに見える男が剣を振るうも、その動きは稚拙。


剣は魔狼の皮膚を斬り裂くには至らず、また魔狼が飛びかかってきていたことも相まって姿勢が崩れてしまっていた。


「アベル、やっぱり無茶だって!」

「うるせぇ!」

「私たち、ホントはDランクの人がいないといけないのに勝手に入ってるんだよ!?」


『Dランク未満にも関わらず無断でダンジョンに挑んだ』


その事実を告げられ、アベルと呼ばれた男は顔を顰める。


「やっぱり無茶だよ!早く逃げようよ!」

「んなこと言ったってどうやって逃げるんだよ!?ぐあっ!」

「アベル!」

「ジェシカ、早く回復を…!」


ジェシカと呼ばれた女はアベルのもとへ走り、持っていた杖を構え魔法を唱える。するとアベルの傷が癒えた。


「畜生、埒が明かねぇ!」

「もうだめ…きゃっ!」

「ジェシカ!」


魔力が尽きたのか、その場に倒れ込むジェシカ。その隙を逃すまいと、魔狼の1匹がジェシカに飛びかかる。

アベルは他の魔狼を対応しており、直ぐに駆けつけることができない。


(やだ…しにたくないよ…)


これから来るであろう痛みを予期し、涙を浮かべ目をきゅっと閉じるジェシカ。しかし──


「もしやと思いましたが、やはり向かって正解でしたわ、ね!」

「ギャン!?」


その痛みが来ることは、無かった。


「…ふぇ?」


恐る恐る目を開けたジェシカの視界に映ったのは。


「あとはわたくしに任せて」


と諭すアイシャの姿。

それを見たジェシカは、助けてもらったという感謝と、誰なのだろうという疑問と。


(バニー、ガール?)


ダンジョンには場違いなその珍妙な出で立ちに、なにより困惑していた。


==========

念の為と思って駆けつけたら、案の定1組の冒険者がピンチだった。女の子の方があわやという所だったので、残り少ない魔力を使って跳躍。一瞬の間に女の子と魔狼の間に割って入り、魔狼を蹴り飛ばす。


「あとはわたくしに任せて。──ハァッ!」


体勢を立て直して襲いかかってきた魔狼を一刀両断。


周囲に他の魔狼がいないことを確認し、男の子の方にも向かう。

あの子、めちゃくちゃ下手くそというか剣を振ることに慣れてない?重心がブレブレだし体重が乗ってない。


「助けますわ。シッ!」

「うわっ、な、なんだお前!?ってバニーガール?(うお、でっか)」


面食らっている男の子をよそに、他の魔狼を斬りに行く。5分もしないうちに魔狼は全て泥と化した。


「ふぅ…。怪我などはありませんか?」

「あ、ありがとうございます」


素直に感謝してくれる女の子。

それに対し…


「お、俺は助けてくれなんて言ってねぇぞ!」

「ちょ、アベル!助けてもらったんだからありがとうくらい言いなさいよ!」

「うるせぇ!」


男の子の方は感謝もせずムキになっている。

へ〜、ふ〜ん、そういう態度とるんだぁ〜。ならこっちにも考えがあるもんね。

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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