14話 バニースーツの冒険者さん
「おい知ってるか?『蒼天の園』の噂…」
「ああ、あれだろ?最近、『飛脚』の姐さんと一緒に潜ってるっていうバニーちゃん」
「そうそう!なぜかつえぇのにバニーなんだよ、その子。俺も初めは嘘だろと思ってたんだが…」
「なんだよ?」
「いや、昨日見ちまったんだよ。ほっそいピンヒールを履いたデカパイのドスケべなバニーの女の子がダンジョンで無双してる瞬間を」
「嘘つけよ!?そんなドスケべなバニーがダンジョンで無双してるわけねえだろ!?」
「ほんとなんだって!網タイツからうっすらすける柔らかそうな尻とか、もう少しずれればポロリしそうなおっぱいとかぶるんぶるん揺らしながら見た事ない剣で魔物狩ってたんだよ!」
「お前最近ヌいてないだろ?溜まってるからそんな幻覚見るんだよ。ほら、『月灯りの庭』のアイシャちゃんとエッチする妄想でも見ながらヌいてこいよ」
「やだよ、だったら娼館行くよ!」
「違いねぇ!」
「「わっはっは」」
人がバニースーツ以外じゃ戦えなくなってるってのに、本人の近くでデカパイだとかデカ尻だとかドスケベだとか言わないで欲しい。これでも前世が男だったからそういうのはわかるけど、本人のいるところではやめようね?前世は男友達と下品な会話とかしてたけど、女の子になるとこういうのもちょっとなんというか、恥ずかしいというか身の危険を感じるというか。
というか気づいてないだろうけど今お前がネタにしようとしたアイシャは目の前にいるんだぞ。
「アイシャさん、お疲れ様です。そしておめでとうございます、Dランクに昇級です」
「ありがとうございますわ」
そして私は今日、Dランク冒険者になりました。
これでダンジョンに1人で潜れるようになった。
ルナ先輩ありがとう、これでようやくおんぶに抱っこから解放させてあげられます。
「そしてこちら、お待たせして申し訳ありません、ゲイザーの魔石の換金額、16万レソになります」
「こちらもありがとうございますわ」
そう、あの日討伐したゲイザーの魔石、売るのに市場や他のギルドとの兼ね合いで換金に時間がかかり、ようやくその換金が行われたのだ。
ちなみに残った2本のうねうね触手については、私が持ち帰っている。使用頻度は…聞かないでほしい。恥ずかしいから。
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私は換金で得たお金を持って、ゼネスさんの装備屋へ。
「らっしゃい、と嬢ちゃんか。どうだ、修理した後の装備は」
「それについて、少々ご相談がありまして…」
私はこれまでの経緯を話した。
「なるほどなぁ。特定の装備を着けないと戦えなくなる呪い…厄介極まりねぇな」
「ですので、お願いがあるのですが。あの店頭にあるバニースーツのように、わたくし専用装備を仕立てて頂けないでしょうか?」
「おう、いいぞ。というかお前さんの働いてるとこの制服、うちの倅がやってる業者だからな。言えば作ってもらえるだろう。あとはうちで加護やらなんやら付ければ完成だからな。そうだ、採寸させてもらっていいか」
「う…む、胸やお尻などは…」
「何言ってんだ、下手に採寸してサイズが合わなくなってみろ。網タイツがパツパツで走った途端にビリッと破けて生尻がまろびでたり、胸の部分がずり落ちて大事な所が丸出しになっちまったら大変だろう」
そう言われるとなんの反論も出来ないため、大人しく採寸されることに。
バストサイズの採寸をした時、さくらんぼにメジャーがこすれて「ひゃあんっ」というメス声が出てしまったのは今すぐにでも忘れたい。ゼネスさんも気持ち耳が赤くなってる気がするよ。
「うし、採寸が終わったぞ。上からバスト103、ウエスト58、ヒップ96だ。えげつないプロポーションだな」
「読み上げないでくださいまし!?」
いつの間にかバストが3桁超えてました。お尻も大きくなってて、ちょっと恥ずかしい。
「よし、じゃーこれを倅の工場に持ってけば近いうちにピッタリなサイズのが出来るだろう。そうだな、2週間後にまた来い。その頃には完成してるだろうよ」
「よ、宜しくお願いしますわ…」
後日、『月灯りの庭』にスリーサイズがジャストの制服が届けられまた赤面したのは別の話──。
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「フッ…!」
「ギャッ!!」
「…本当に動きやすいですわね」
2週間後、ゼネスさんの店に赴くと私の特注バニースーツが店頭に飾られていた。他に客がいなくてよかったけど、大変恥ずかしかった。今はそれを着て『蒼天の園』の第4層に来ている。
そう、私がバニースーツを着て冒険をする羽目になり、(あまり嬉しくない方向で)有名になった原因になったあの第4層である。
特注のバニースーツは、『月灯りの庭』の制服と同じくらい、いやそれ以上に着心地のよい素材で構成されており、かつゼネスさんによる加工がこれでもかという程施されたそれは、下手な全身鎧よりも高い防御力を持っているように感じられる。実際ゴブリンのナイフとか、魔狼の牙とか弾き返したし(なんで?)。
流石に値は張ったけど、ゲイザーの魔石の売り上げがあったので支払えた。懐は氷河期真っ只中になった。
「やはり前回に比べて魔物の数が少ないですわね…」
奥へ進む程違いを如実に感じられる。前回はひっきりなしに魔物が現れていた第4層は、あれから数週間が経過したことで魔物のリポップがある程度発生しているとはいえ途切れ途切れの遭遇だった。
恐らく前回は、もっと奥──このダンジョンは5層構造らしいので、ゲイザーは最奥から上に上がってきていたのではなかろうか──からどんどん魔物が逃げてきたのであのような惨状になっていたんだと思う。
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