13話 呪いです…?
「くっ…硬いし多いですわ…」
「せぇい!そりゃあ!」
「ロロロロロロ」
私とルナ先輩は、現在ゲイザーと戦っている真っ最中。作戦はゲイザーが目を開く前に倒してしまうというもの。
「はぁっ!」
「ふんっ!…まずい、もうすぐ目が開くよ!」
「ロロロロォ」
ルナ先輩から警告があり、タイムリミットが近いことを知る。それにしても数が多い。触手1本1本が独立して動く上に硬いから中々倒しきれない。
「進路が開けた!はぁぁあ!」
「アイシャちゃん気をつけて!きゃん!」
ルナ先輩が倒しきれなかった触手に叩きつけられ体勢を崩す。まずい、急がなきゃ!
この時の私は、それまでの鬱憤と、早く倒さなければという焦り、そしてルナ先輩を助けなければというもう1つの焦りに駆られ、ゲイザーの目がどの方向を向いているのか認識できていなかった。
『ゲイザーと目が合うと、呪われるよ』
『一般的に呪いの程度は、目が合った時の距離によると言われてるね』
ルナ先輩はそう言っていた。だからこそ目が開く前に倒し切る──!
グパアッ!
ギロッ──
「あ──」
肉薄し、あと数瞬で刃が届く、その瞬間。
目の前で、私の視界を埋め尽くすほど大きな目玉が、私を向いた。その衝撃で一瞬体が硬直するけど、それを無理やり動かして刀を振り抜く。
「ロッロッロッ…ロロロロォ!!!」
私を嘲笑うかのように鳴いていたゲイザーは、しかし私の渾身の一撃をモロに目玉に食らったことで負傷し、大きな叫び声をあげる。
「アイシャちゃん!!!」
そしてその瞬間、一瞬で距離を詰めたルナ先輩の靴から激しい電撃が発生し、ゲイザーの目玉を焼き尽くした。
「ロォォォ!!!」
これまでで最も大きな叫び声と共にゲイザーは泥と化しダンジョンに消え、後には大きな赤い魔石とウネウネと動く触手が2本落ちていた。
「アイシャちゃん大丈夫!?」
「え、えぇ…。特に何かされたという感覚はありませんわ…?」
「ほ、本当?とりあえず上がったらギルドで見てもらおう!わたし、店長に連絡するね!」
ルナ先輩は店長に魔力通信で連絡をしているようだ。
魔力通信とはその名の通り、魔力で通信をする手段。魔族や亜人など、魔人の人々がよく使う。前に屋敷でミリアさんが部屋を出ずに色々と手配していたのもこれだったんだろう。
「…よし、アイシャちゃん、今日お店閉じることにしたから、帰ったら即刻ギルドに行こうね」
「あ、え、いいんですの?その、損失とか…」
「わたしも店長も、アイシャちゃんになにかあったらいけないと思ってるからだよ。だから申し訳ないとか思わないでね?」
うう…先輩と店長の配慮というか、愛が温かいよぉ。私、将来は店長かルナ先輩のお嫁さんになりたい…ことはないか。
「あの、ところで…魔石以外にも何か落ちてるんですけれど」
「え?あ、あ〜…そうだね〜、まあ凝りを解すマッサージ器具みたいなものかな〜」
「こ、こんなもので…一体どこを…」
「えーと…さっきアイシャちゃんが丸出しになっちゃったとこかな〜」
「え、む、胸を?」
「あー、そこに使う人もいるけど〜、メインはそっちじゃない方かな〜?」
「胸じゃない方…あっ」
私はそこでようやく気づき、恥ずかしくなった。ついでに自分のにあれが入ったらどうなるかまで考えてしまい、更に恥ずかしくなった。
きっと私は今とんでもなく赤面しているだろう。
ナニを想像したかって?まあ、それは各々を想像にお任せすることにする。
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冒険者ギルド・診察室
「ふーむ…特に身体に異常はなく、また精神に異常がある訳でもない…本当にゲイザーと目があったのか?ああいや、疑っている訳ではないんだが、本当にそう疑ってしまう程影響がないんだよ」
あの後速攻ギルドに戻り、経緯を受付嬢のお姉さんにしたところ、「すぐに診察室へ」とのことで診察室にむかった。
しばらくすると呪いや魔法に詳しい専門家がやって来て症状を診てもらえたのだけど、一切影響らしき影響がなくて今に至る。
「もしかするとまだ影響が出ていないだけかも知れないので、気をつけたまえ」
と結論付けて、専門家による診断は終了した。
なんだったんだろうか、と思いつつ、ルナ先輩と店長にはちゃんと伝えた上で家に戻り、寝た。
装備を修理に出し、それが戻ってきた次の日。
私はリハビリを兼ねてダンジョンに来ていた。ルナ先輩同伴である。
「えいっ…あら?」
「あれれ?」
「ハァッ!…おかしいですわね」
何がおかしいのかと言うと。
攻撃が通らない、つまるところ攻撃力が落ちているのだ。以前ならば簡単に倒すことのできた魔狼も、一体の討伐が一苦労。
「もしかして、これが呪いかしら〜?戦闘力低下とか…」
「もしそうだと、冒険者人生終了ですわね…」
「ま、まだ分からないよ〜。今度はバニースーツ着てやってみようよ〜」
「な、なぜ…?」
「あの当時と同じ条件にするためだよ〜。もし戦闘力低下の呪いだったら、服装を変えたところで同じなはずだよ〜」
「なるほど、では…セイッ!あら?」
「…もしかしてと思ったけど、やっぱりだったね〜」
バニースーツを着て改めて魔狼を攻撃すると。
なんと、一撃で魔狼が倒せた。これはあの日以前と同じ水準である。
「つ、つまり…」
「アイシャちゃんは、バニースーツ以外で冒険すると戦闘力が著しく落ちる呪いにかかっちゃったみたいだね〜」
「な、な、な」
なんじゃそりゃぁあぁあ!!??
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