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12話 イレギュラーはテンプレです!?

『蒼天の園』第4層


私たちはどんどん増えるゴブリンを屠って屠って、ちぎっては投げちぎっては投げ前進。


「キリがありませんわね…」

「だねぇ。それになんだか変だよ〜」

「変、ですの?」

「うん。だって、上にいたゴブリンはわたしたちを極上のメスとして認識してたでしょ〜?けどここのゴブリンたちはわたしたちに目もくれず、どこかに行こうとしてる。まるで、何かから逃げようとしてるみたい〜」


言われてみれば…確かに、4層に降りてきてからというもの、上層であれだけ晒された下卑た目線──包み隠さず言うなら、エロい目線を一切浴びていない。

それどころか、ゴブリンたちは皆何かに怯えるように、まるで何かから必死に逃げようと走っているようにも感じる。


「でもそれで逃がしちゃだめだよ〜?もし逃がしちゃうと、上層で同じことが起きるからね〜。もしそうなっちゃったらどうなるか、わかるかな〜?」

「…上層の魔物が更に上層に押し上げられ、最終的に外へ溢れ出る…でしょうか」

「ぴんぽーん、だいせいかーい。それが所謂氾濫とか、溢れとか、スタンピードって呼ばれる現象だね〜。ダンジョンで起きるスタンピードは、8割くらいがイレギュラーの存在によると言われてるよ〜」


イレギュラー…それは、本来そのダンジョンにはいない、またはもっと深い層にしかいないはずの魔物がダンジョンあるいは浅層に出現することでダンジョン内での均衡が崩れる異常現象のことをさす。


「で、では今回もそれが起きている…と?」

「まだわかんないけどね〜。もしかしたら、の話だよ〜」


ま、まっさか〜。まさか私たちが潜っているダンジョンで、ピンポイントでイレギュラーが発生してるなんてことあるわけないじゃーん(震え声)


----------


「数が…多いですわ…きゃっ」

「アイシャちゃん大丈夫!?」


数の多さに翻弄され、またそれまでの疲労がたたり魔物の攻撃を食らってしまう。幸い傷自体は浅く跡も残らない程度だったものの、魔物が持っていたのがナイフだったせいで酷使に耐えかねた装備がびりいっと破けてしまった。これ高かったのに!高かったのに!!


「うわ〜、これはもう使い物にならないかもね〜…」

「そうですわね…胸と股が丸出しですわ…」


運の悪いことに、魔物の攻撃で破れたのは胸の部分と股の部分。よって、私はダンジョンの中でおっぱいとお股を露出させる変態になってしまった。


「替えの服、ある?」

「え〜…こ、これしか…」


取り出したのはバニースーツ。


「ダンジョンの探索に時間がかかってもいいようにと持ってきて…普段着は家に脱ぎっぱなしですわ…」

「………まあ、無いよりはましっていうよね〜」

「仕方ないですわね…えいっ」


パチン、と指を鳴らし早着替えの魔法を発動。次の瞬間には、私はバニースーツに身を包んでいた。律儀にうさ耳までついている。これは別に着けなくてもいいんだけどな、早着替え魔法さんよ。


「どうする〜?このまま進むには心配だし、そろそろ戻ろっか〜?」

「そうですわね…。防御力の欠片もない服ですし、戻った方が…!?」

「?どうしたの…!?」


話し合っているその時、ダンジョンの奥から尋常ではない気配を感じた。それはルナ先輩も同じだったようで、私たちはお互い動くことができずにその方向を睨みつける。


「roroROROロロロ…」


奥から現れたのは、夥しい量の触手が生えた…目?


「げ、ゲイザー!?どうしてこんなところに!」

「ゲイザー…ですの?」

「そう…。本来なら、もっとレベルの高いダンジョンに出現する魔物なの。こんな低レベルダンジョン、それも街に近いところで出現していい魔物じゃないよ」

「なぜこっちに来たのでしょう…?」

「分からない。わたしたちを感じたからか、それとももっと上に行こうとしているのか…」

「このまま放って逃げ出すのは…」

「得策じゃないね。ここで倒しておかないと、後々大変なことになる。でもまだゲイザーで良かった。あれならまだ倒すのは楽な方だよ」

「そうなんですの?」

「うん。見て、あいつ目を閉じてるでしょ?あの目が開くと、見た者は呪われるの。その呪いの効果は様々で、頭皮が薄くなる呪いやご飯が美味しく感じなくなる呪い、果てにはその場で命を失う呪いまでピンキリなの」

「そんなにヤバい魔物ですの!?あれ!?」

「うん。でもそれは目を開けられたらの話。必勝法は、目が開く前に倒してしまうことだよ」

「なるほど…でしたら速度を売りにするわたくしとルナ先輩には相性が良いということですわね?」

「そういうこと。わたしが一気に仕掛けるから、アイシャちゃんは触手をお願い」

「わかりましたわ。くれぐれもお気をつけてくださいまし」

「もちろん。わたしを誰だと思ってるの?」


頼もしいなぁ、先輩。

私にとっては初めての強敵で、死を覚悟する初めての相手で。

そして何より、フラグ回収の犯人でもある。

絶対無傷で倒してやるんだから!

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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