6「罪人お断り」
薬草探しは、クレアさんにとっては生きる糧。とは言っても、薬草を食べるとかそういうわけではなく、採取して「売る」のだ。
クレアさんは魔法大学の卒業生であり、在学中に様々な魔法の知識を身につけていた。どうやらこの世界では薬草も魔法の一種としてカテゴリーするらしいので、当然ながら薬草についての知識も彼女は心得ている。
「クレアさん、これはどうですか?」
茂みの中で見つけたそれを、クレアさんに見せる。
「おっ‼︎ これは、癒薬草だわ。なかなかに上物よ」
すると、クレアさんは持参していた袋の中にその薬草を詰め込む。後でこの薬草を綺麗に洗い、売りに行くのだ。
「でも、タイヘイ君はなかなかに筋がいいわね。他の雑草と紛れてるから、普通の人なら見つけにくいんだけど」
「いやぁ、俺は間違い探しとか得意なタイプだったんで。こういうのも得意ですよ」
俺たちがいるのは、草木が生い茂る森林の中。当然ながら、景色一面が緑色なので薬草を見つけるのにも一苦労だ。
だが、俺以上にクレアさんは薬草を見つけるのが早かった。伊達に、魔法大学を卒業していないことが分かる。
それから、一時間ほど探した後。袋の中が薬草で一杯になったので、採取を終える。一旦、家に持ち帰って薬草の泥や汚れを洗い流した後、俺達はある場所へと向かうことにした。
「さあて、この薬草を売りに行こうか」
しかし、向かう先は普通の市場ではない。一般市民向けの市場では、買い取ってもらえないのだ。
「いつもごめんね。私のせいで、遠くまで足を運ばせちゃって」
「大丈夫ですよ。普通の市場より、あっちの方が高く買い取ってくれますし」
クレアさんは、元魔術死刑囚である。そんな彼女が普通の市場に赴いても、門前払いされるだけだ。元罪人は、罪を償ったところで罪人扱いらしい。
なので、一般向けではない「非正規」の市場で買い取ってもらうのだ。分かりやすく言うと、「闇市」というやつである。
闇市は、クレアさんのように一般向けの市場では相手にされない罪人たちが、こぞって商売をしている場所だ。
治安は当然ながら悪いのだが、クレアさんはここで売るしか手段はない。これまで、何度か喧嘩に巻き込まれたこともあるので、できれば長居はしたくない場所だ。
袋一杯に詰め込んだ薬草を持って、俺達は闇市へと向かった。




