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第三話 オカンのアメちゃん

 タケシとオカンは町に着き、

タケシが普段モンスター討伐依頼の

受注と達成報告して賞金を受け取ってる

ギルドと呼ばれる施設へ向かう。


 後ろにゴブリンチーフを連れて。


 町の人々が振り返り、指さし、

ざわめいている。

この町ではモンスターを倒して証拠に

首やら腕やらを切り落として

持って来る者は多いが、

その難易度故にモンスターを

生け捕りにする者は滅多に居なかった。

 まして後ろに連れて歩いてる

ゴブリンチーフには

縄で拘束もしていない。

完全に服従させている状態だった。


「見て、タケシよ」


「タケシあいつすごいなー」


「タケシ様凄ーいカッコいいー!」


 周囲の通行人たちがタケシへ

羨望の眼差しと称賛の声を届けている。

 タケシは剣と盾と鎧。

オカンはヒョウ柄の私服で

ママチャリを押して歩いてるおばちゃん。

 周囲の目からすれば、

後ろのゴブリンチーフを倒し、

従属化させたのは

どう見てもタケシであった。


タケシ

(……ちょ~なんか俺何もしてへんのに

おれがやったみたいな感じのノリに

なってるや~ん 

むっちゃラッキーやってー。

オカンのお陰やな~ このまま暫く

オカンと冒険したろ)


 タケシはオカンの手柄を横取りして

評価と名声のおいしいとこを

頂くのであった。


 一行はギルドに着き、タケシは

ゴブリンチーフを連れて

討伐受付のギルド長の所に行く。


タケシ

「おっちゃん!こいつ捕まえたで」


 タケシはゴブリンチーフを

ギルド長に近づけ見せつけた。


ギルド長

「タケシ!お前こいつを捕まえたのか!?

信じられねえな……

俺も長い間ここで討伐依頼の管理人

やってるが生け捕りなんてもう何年振りか

覚えてねえ位久しぶりだぜ。

しかもコイツ、ゴブリンのザコじゃなくて

チーフクラスじゃねえか?

タケシおめえどうやったんだ!?」

タケシ

「……え、お、俺にはこんなん

余裕やって。任してえや」


 タケシは横目でチラッとオカンを見たが

オカンはこういう

男の手柄とか腕自慢とかの類の話には

関心がないようで、

オカンの手柄をタケシに取られてると言う

状況も気にして無いようだった。


タケシ

(オカン怒ってへんみたいやな

オカン女やから

こんなんどうでもええんやろな……)

「……ど、どうや!

俺の事見直したやろ!」

ギルド長

「ああ、おめえさん大したもんだぜ!

おめえのハンターランク、

上げといてやるよ」

タケシ

「え?ハンターランク?何なんそれ?」

ギルド長

「ああ、ハンターランクってのはなあ、

モンスター討伐を依頼するギルド側が

ハンター個人の実力を評価する

ランクの事だ。

実力不足の奴に強すぎるモンスターの

討伐を引き受けさせたら、

早死にしちまうだろ?

だからそうならないように

ランク付けしてんのさ。

こっち側の評価でランクが上がれば、

今まで紹介してなかった

より高い危険度で、高い賞金額の

モンスターの討伐依頼を紹介出来るぜ」

タケシ

「マジで?ほんならもっと賞金高い奴

討伐行けるって事なん?」

ギルド長

「ああ、だがそれだけモンスターも

手強くなるぜ、気をつけな。

おっと、忘れる所だったぜ。

生け捕りだから賞金は2倍だったな。

ほらよ!受け取りな!タケシ!」


 タケシはゴブリンチーフの

討伐賞金額の2倍の額を手に入れた。


タケシ

「おっしゃ!おっちゃん有難うな!」

ギルド長

「いいって事よまた頼むぜ。

今日も泊ってくんだろ?

賞金もガッポリだしな」

オカン

「ちょっと、そこの兄ちゃんて」


 男の会話が盛り上がってる所を

崩すように

オカンが会話に割り込んで来た。


ギルド長

「何だよアンタ?」

タケシ

「俺のオカンやねん」

ギルド長

「タケシのおっかさんかよ、

こりゃどうも」

オカン

「ギルドの兄ちゃんおっとこ前やな、

デューンフジオカに似てるな」

タケシ

「いや知らんやろ!」

ギルド長

「……何だ?」

オカン

「ギルドの兄ちゃん物知りそうやな、

私らな、異世界から来たんよ。

この辺に異世界と繋がる入口とか

そんなんの話聞いた事ある?」

ギルド長

「異世界だって?何の事だ?」

オカン

「兄ちゃんそんな話聞いた事なかった?」

ギルド長

「いや…そんな話知らねえなあ」

タケシ

「ギルドのおっちゃんも知らんみたいや。

オカンもう行こ」

オカン

「ごめんなギルドの兄ちゃん、

あんたおっとこ前やな、

志尊じょんに似てるな」

タケシ

「さっきデューンフジオカ

言うとったやろ!」

オカン

「ギルドの兄ちゃんアメちゃんいるか?」

ギルド長

「何だ?甘いもんは興味ないな」

タケシ

「もうええやろオカン、部屋借りに行こ」

オカン

「ほんならなギルドの兄ちゃん、

あんた大栗旬に似てるな」

タケシ

「志尊じょんちゃうんか!」

オカン

「山田ようと結婚したけどな」

タケシ

「うるさいなあ!」


 タケシとオカンはギルド二階の

宿泊フロアへ向かった。


ギルド長

「……まったく騒がしい親子だぜ」


 宿泊フロアのフロントで

タケシとオカンは手続きをする。


受付嬢

「一泊で10000ゴールドです」

オカン

「何やたっかいなあ~負けてえな」

タケシ

「もうオカンカッコ悪い事言うなや~」

オカン

「アメちゃんあげるわ」

 

 オカンはフロントの受付嬢に

アメちゃんを食べさせた。


受付嬢

「ん!何これ!おいしー!

こんなにおいしいアメ、この町には

無いですよ!

何処で手に入れたんですか?」

オカン

「ホテル代安うしてくれたら

もう1個あげるで」

受付嬢

「タダでいいですよ!もう1個

下さーい」

オカン

「はいどうぞ。姉ちゃんありがとうな」

タケシ

「……マジか」


 オカンは受付嬢にアメちゃんを

もう1個渡し、

タダで部屋に泊まる事になった。


 部屋に入りタケシとオカンは

落ち着いたようだった。


タケシ

「は~今日はホンマ死ぬかと思ったわ」

オカン

「なあアンタ、あのギルドの兄ちゃん

怪しいと思わんかった?」

タケシ

「え?何言うてんのオカン

別に普通やったやん」

オカン

「いいや、お母さんにはわかる。

あの兄ちゃんに異世界の入口の事

聞いた時のあの顔はな、

男が嘘ついてる時の顔や。

お父さんと一緒やな」

タケシ

「そうなん?ギルドのおっちゃん

異世界の事何か知ってるって事なん?」

オカン

「お母さんさっきな、

ギルドの兄ちゃんにな、

“そんな話聞いた事なかった?”って

否定疑問文で聞いたんや。

そしたらな、

一瞬言葉に詰まっとったんやで

あの兄ちゃん、ホンマに。

人間いうのはな、否定疑問文で

質問されたらな、

隠し事出来へんもんなんやでアンタ、

アンタも気いつけえやアンタ、ホンマに」

タケシ

「オカン、そんなんしとったんかいな。

ほんならあのギルドのおっちゃん、

異世界の事なんか知ってて、

教えんと隠してるって事なん?」

オカン

「絶対そうやわ。お母さんにはわかる。

女の勘やわ。お母さんかて昔は

色んな男見て来たんやから

男が嘘ついてんのも

大体わかるんやでアンタ」

タケシ

「でもどうする?おっちゃんが

教えてくれへんかったら

どうしようもないやん。

お金払って教えてもらう?」

オカン

「いや、折角もらったお金やのに

また払うなんてそんなん

何かイヤやんアンタ、

アメちゃんあげようとしたけど

男にはアメちゃん攻撃

効かんみたいやしなアンタ」

タケシ

「ほなどうするん?」

オカン

「男にはアメちゃん攻撃効かんから

他のんで落とすしかないな」

タケシ

「何なん?」

オカン

「決まってるやないのアンタ

そんなんも分らんのかいなアンタ」

タケシ

「だから何なん?」

オカン

「から揚げやないのアンタ」

タケシ

「から揚げ?」

オカン

「男なんか、から揚げ食べさしたら

一発で言う事聞くねんでアンタ、

お母さんかて昔はから揚げで

色んな男落としたもんやでアンタ」

タケシ

「……ちょおもうオカンのそういう感じの

エピソードとか聞きた無いねんやめろや~

俺思春期やぞ」

オカン

「お母さんかて

やる時はやるねんでアンタ。

鶏肉あればええねんけどな」

タケシ

「……この町では鶏は見た事ないなあ

……あ!そうや!」

オカン

「どないしたんアンタ」

タケシ

「討伐依頼や!俺さっきな、

ハンターランク上がってん!

今までゴブリンとかしか

紹介してもられへんかったけど

新しく紹介してもらえる強い

モンスターに鳥系のモンスター

おるかも知れへんで」

オカン

「そらええわアンタ、

角切りはアンタが剣で斬ってや」


 タケシとオカンはギルドの

討伐依頼掲示板を見に行った。


つづく

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