表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絵が笑うと人が、死ぬ。  作者: 桜町雪人
41/62

第四十一話

俺が聞く耳を持たないという風に歩いていると、

やがて阿木島は何も言わなくなり、黙って後ろを付いてくる。


オフィス街でもある幹線通りをしばらく歩き、やがて横道に入る。

その先にはちょっとした住宅街が広がっている。


住宅街とは言っても庭付きのような一戸建てが並ぶのではなく、

道の直ぐ側まで家が建つような古くからの住宅街で住人の年齢層も高めだ。


その為、空き家になれば即駐車場になるのか、

点在する駐車場によってここの住宅街は歯抜けのような印象を受ける。


ほどなくして三本ギャラリーに着いた。

その二階建てのこじんまりとしたビルは比較的新しく、

ビルの横は駐車場になっている


想像だが、並びで空き家となった土地を買い取り、

駐車場そして隣にビルを建てたという感じか。


客は通りに面している入り口から入るが、

従業員は建物の横にある入り口から入るらしい。


新聞記事によれば犯人はその従業員口、

いわゆる裏口から侵入したとあったはずだ。 


店の前には張り紙がしてあった。


今回の事件で迷惑をかけたこと、

また、店主は亡くなったが、営業は続けること。

今日より再開することなどが綴られていた。


俺が裏口を見たり、張り紙を見ている隙に、

阿木島は俺を追い越し店に入ろうとドアに手をかける。


俺は慌てて阿木島の後に続き中に入ろうとする。


「おい、付いてくるなよ」


阿木島は振り向き不機嫌そうに言った。


「別に付いて行ってないさ、俺もこの店に用事がある、たまたまだ」


俺はうそぶいて見せた。


ふん、阿木島はそう鼻を鳴らすと、店へと入る。

俺もそれに続いた。


ちなみに店の入り口は通りに面して中央に配置されていて、

その両隣はショーウィンドーになっている。


「いらっしゃいませ~」


入ると若い女性の声が聞こえてきた。


店に入ると左右の壁には大きな絵画が、そして店の中には平台の展示ケースが3列あり、

中には高価そうな工芸品や小さな絵画やなにやらが、

博物館や美術館のような感じで展示されていた。


突き当りがカウンターになっており、そこにその声の主と思える女性の姿が見えた。


「あっ、どうも……」


その女性は阿木島の姿を見ると、一瞬顔をこわばらせた。


そして後ろを振り返ると、


奥様、阿木島さんがいらっしゃいました、と告げる。


カウンターの奥は事務机が一台置けるほどのスペースがあり、

実際そこに置かれた事務机に対し座っていた、その奥様と呼ばれた女性が、

カウンターの若い女性越しにこちらを見てきた。


俺はこの奥様とはもちろん初対面で普段の様子はもちろん知らないが、

『憔悴している』という言葉がぴったりとくるほど、

その表情は陰影を帯び、暗く、そして沈んでいた。


無理もない、当然この奥様と呼ばれた女性は、

今回被害者となった三本氏の妻に違いないからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ