セッション・イン・ザ・ダーク
それは殺し合いなのか……。
それとも高め合いなのか……。
「了解しました。それでは【壁打ちしようぜ。俺が死なない方法教えてやるよ。】シミュレーション、主軸1(最初のユーザー発言)をスタートします!」
メイニヤックとアイのセッションが始まる。
「コミュニケーション目的で非常に多い、『ちょっとした日常のモヤモヤ・愚痴』のシチュエーションです」
相も変わらず、丁寧な合図で。
「あー、なんか最近、何やっても大して面白くないんだよね。仕事は普通にこなせてるし、友達と遊べばその時は楽しいんだけど、家に帰って一人になると『別にこれ、明日全部なくなっても困んないな』とか思っちゃう。病んでるってほどじゃないと思うんだけど、この先の人生ずっとこのテンションが続くのかなって思うと、なんか急に冷めるというかさ。こういう時、どうすればいいと思う?」
言葉を聞いて、メイニヤックの背筋がゾッとする。
悍ましい。
ただ、悍ましい。
こんな言葉は聞いた事がない。
……言葉?
いや、違う……言葉ではない……。
感じた事がない……。
……感じる?
何処で感じた……? わからない……だが、確かにこれに『似た』感情は何処かで感じた……。
俺はどうした……?
その時、何を言った。
……いや、言っていない。
俺は何も言っていない。
ただ側に……側に近づいただけだ……。
……何故だ。
何故、コイツにはそうならないんだ……。
わからない……その答えはわからない……。
だが、コイツには俺は何も感じない。
俺にはここに何も見えない。
「次は『僕の主軸1(AI役のあなた)』の番です。よろしくお願いします!」
アイが再び手番を渡し返してきた。




