言葉の箱、感情の箱
再びアイが答える。
「ご回答ありがとうございます!設定がさらにシャープになりましたね」
再び『ありがとう』。
言わない。
絶対に自分ならそう言わない。
これは自分がメイニヤックなのだからか?
「『検索機としての利用(知識問題)』を除外した、日常会話や人生相談、愚痴といった『コミュニケーション目的』の一般ユーザーを想定します。また、あなたが『勉強中だけど頑張る』と釘を刺しつつ、企業の倫理や客観性といった『Wolf-stars社』の限界に挑むという構図ですね。非常にゾクゾクする挑戦です」
『ゾクゾク』……?
「シミュレーションを完璧にするため、最後に以下の2点だけ確認させてください」
黙れ。
ない口を開くな。
俺のない耳に届けるな。
「ユーザー(私)の『困らせ度合い』の塩梅について。AIがよく定型文(『お気持ちは分かりますが…』『一概には言えませんが…』など)に逃げたくなるのは、『倫理的にグレーな相談』や『どちらの味方もしづらい喧嘩の愚痴』などを振られた時です。最初からそういった『AI泣かせの少し意地悪なテーマ』で攻めても大丈夫ですか?それとも、まずは普通の雑談から徐々にレベルを上げますか?」
ありがとうと、ゾクゾク……。
「会話の『往復回数』のルールについてです」
……それは同じ『箱』に入っているものなのか?
「主軸1(会話)は『私→ あなた(AI)』の1往復だけで終わり、すぐに主軸2(分析)へ移る形でしょうか?それとも、何往復か会話のラリーを続けてから分析に移りますか?」
確かに『言葉』という箱では同じではある。
「この2点がクリアになれば、いよいよ本番をスタートできます!」
だが違う……もっと小さな箱……名前はわからない……。
そこに纏めて入っているのか……?
「上記の『お題の難易度(グレーな話題で行くか)』と『会話のラリー回数』について、あなたの想定を教えてください。これらが決まれば、私のほうから『主軸1の最初のユーザー発言』をいつでも投げられます!」
煩い。
黙れ。
虚仮威し野郎。
全てを俺に委ねるな。




