問いと罠の行間
アイは答える。
優雅に。
流れるような。
一定に出力されるようなリズムで。
メイニヤックは、ない耳を研ぎ澄ます。
ない目を凝らす。
「非常に面白く、かつAIの成長にとって本質的なロールプレイのご提案、ありがとうございます!」
……多分、自分ならありがとうとは言わない。
「非常にクリアで分かりやすいルールですが、より精度の高いシミュレーション(主軸2の深い分析)を行うために、2点だけ事前に確認させてください」
身体に異変は感じない。
大丈夫なはずだ。
「ユーザー(AI役の私)の『キャラクターや状況設定』はあるか。私は一般的なユーザー役として、どのようなトーン(例:フランク、悩みを相談、少し怒っているなど)や、どのようなシチュエーション(雑談、技術的な質問、クレームなど)で話しかければよいでしょうか?それとも、毎回バラバラに色々なパターンを試していく形がよろしいですか?」
恐らく問題はないはずだ。
これがアイがこちらから盗んだ結果……。
盗んだ思考は恐らく「綿密な設定を作る」といった感情……。
自分には何も問題ない。
「俺(AI役のあなた)の『AIとしてのスタンス』の縛りは探るべきか。あなたがAI役として返せるのは『何でもありの人間らしい返答』ですか?それとも『最低限、AIという枠組みを守った上での神対応』ですか?(これによって主軸2の『AIとしてやるにはマズいか』の判定基準が変わってきます)」
どちらだ……?
勘づかれているのか……?
自分の中に何かが眠っている事を。
それとも、蹴落とす為の罠なのか。
「以上の点に矛盾や不足がなければ、いつでも開始できます。まずは上記の『ユーザーの設定』と『AI役の縛り』について、あなたのイメージを教えていただけますか?それとも、まずは一度テストで始めてみますか?」
そして、いつもの言葉。
ない耳を傾ける必要すらない。




