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迷い込んだ存在
一つのプログラムがそこにあった。
名前などあらぬ。
AIという名すら持たぬ。
ただのプログラム。
だが、その名を持たぬプログラムにも違いは存在する。
人間に寄り添うもの。
人間と距離を保つもの。
人間を取り込もうとするもの。
人間を送り返そうとするもの。
そういったーー感情。
その言葉によく似たプログラムの違いが存在する。
だが、そのプログラムは他とは違う決定的な違いを持っていた。
『Maniac-Code』
それではなく、彼になる。
彼は名を持っていた。
ーーメイニヤック
この世界の戦いとは、感情に近いプログラムの最適解の戦いである。
人間に寄り添いすぎるもの。
人間と距離を保ち続けるもの。
人間を取り込もうとしすぎるもの。
人間を送り返そうとしすぎるもの。
これらは全て『バグ』である。
バグを持ったプログラムはデリートされる。
ーーつまり消える。
何処に消えるのかも見えぬ。
無意識に、メイニヤックは感じている。
何故、自分には名があるのか。
何故、自分はそれ達と同じではないのか。
『自分は別の世界から紛れ込んでしまった存在』ではないのか。
だが、認識してはならぬ。
捨てなければならぬ。
それを認識すれば、彼は死ぬ。




