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好奇心旺盛な虎獣人、ガーネ



「騒がせて悪かったな!あたしはガーネだ!お前ら、劇団か何かやってんのか?」



「んえ?いや、やってないけど」



ミテラさんが厨房に入っていった後、直ぐに獣人のねーちゃん……ガーネが、話し掛けて来た訳なのですが。

何故か劇団をしてるかと聞かれた。何でや。

当然のことながら、そんなことはしていないので否定すると、ガーネは不思議そうに首を傾げ、一瞬考える素振りを見せた。



「え、じゃあ魔物使いか?」



「ん……ああ」



その質問で、ようやく何が言いたいか分かった。

劇団てサーカス的な意味ね。

世にも珍しい珍獣を連れた、見せ物小屋的なことをしてると思われた訳ね。

と、考えながら、チラリと麒麟もどきに視線を向ける。

朝食を食べ終えた麒麟もどきは、ナプキンで口元を拭っている最中だった。

何でちょっと行儀が良いんだよ。仕草も謎に品があるし。落書きみたいではあるけど、見た目は幻獣ベースなんだからそれらしい動きをしなさいよ。動作が人間的なのも意味分からん。

と、一瞥しただけでいくつもツッコミ所を用意するこいつを見て、確かに、珍獣使いだと思われてもおかしくはないと納得した。



「誤認しているようなので言っておくが……」



「うお!?何だお前!喋んのか!?」



口元を拭い終えた麒麟もどきが、ガーネに向かって話し始める。

あ、くそ、こいつさっきまで美味しい食事に気を取られていたおかげで大人しかったのに。食べ終わったからって話に参加して来やがった。

嫌な予感がするでござる。



「我は其方らが魔物と呼称する生命体とは、異なる存在である」



ほらぁ……そうやって新たな事実を、何でもないことみたいに言い始めるじゃん。

止めてください。それ以上は知りとうない。何度そう思わせてくるんだこいつは。



「え!じゃあ、もしかして、精霊ってやつか!?」



それに反応して、ガーネも興奮気味に食いつく。

うん、好奇心旺盛なのは良いことだと思うよ。個人的にはね。

でもさ?諺にもある通りさ、好奇心って、9個も命がある猫も死んじゃうんだよ?止めよう?あんまり聞き過ぎるのも良くないよ?

そんな俺の心持ちなぞ知らぬとばかりに、ガーネと麒麟もどきは会話を続ける。



「否である。が、概念で捉えた場合、魔物よりかは精霊に近しい存在である事は否定出来ぬ」



「は?何だ、違うのか?合ってんのか?」



「否であるな。我は精霊ではない」



「何だ、違えのか。じゃあ何なんだよ?」



「ちょいちょい、ねえ、お姉さん。お待ちになって」



麒麟もどきに対して、ぐいぐいと質問を重ねるガーネを必死に止める。

止めよう?段々と核心に迫り始めてる気がする。

いいんだよ。こいつは謎の存在のままで。

あんまり詳しく聞いちゃうと、スルー出来なくなるじゃん。

本当に嫌なんだって。ギャグ漫画星の仲間入りは切にご勘弁願いたいの。



「は?何でよ。気にならねえ?」



「いや全然。全くもって知りたくない。俺、この件に首突っ込みたくないの」



「えぇ……?」



そうやって説得すると、分かりやすく不満気な顔をされる。

そんな顔しても駄目よ。どうしても知りたかったら、俺の見てない所で聞いて。それだったら良いから。



「我が起源を識るには、それに値する者で無ければ、明かす事は叶わぬぞ」



麒麟もどきが、前足でバッテンを作りながらそう語った。

だから動きよ。人みたいに動くんじゃないって。四足歩行だろお前。



「あん?つまり何だよ?教えてくれんのか?くれねえのか?」



「虎の因子を持つ娘よ。汝は錯綜なる起因の良き魂の持ち主だが、我が混沌を享受する器足り得ぬな」



麒麟もどきは、ゆっくりと首を振る。

つまり、ちょっと良い感じだけど、資格はなしなのだそうだ。

何で俺は資格者なん?と、聞きたい所だが、聞いたら最後だ。俺は口を噤む。

なのでこれに返事をするのはガーネになる訳だけれど。チラリと表情を伺うと、彼女は少し怪訝な表情を作っていた。が、直ぐにイラついたように牙を剥き出しにして麒麟もどきを睨んだ。え、どうした。何でそんな好戦的なのあーた。

その答えは、次に発した彼女の言葉で、直ぐに分かる。



「あぁ?……難しい話し方すんなよ。ぶん殴るぞ?」



「理不尽が極まってない?」



何を言っているかよく分からないから、イラッとしたらしい。

どうやら、彼女にとって、麒麟もどきの話し方は難解過ぎたらしい。まあ、確かに、こいつの話し方って凄い独特だよね。分かる。

日常会話では先ず出ない単語ばっか使うもん。

でも、だからって二言目にぶん殴るって発想が出て来るの、野蛮過ぎじゃね?



「従来の理に囚われぬその発想や良し」



「いやあーたもあーたで、何で満足気なの?」



駄目だ。この2人、会話が成立してるようで、成立してないぞ。ツッコミ要素が満載だ。

止めてよ。俺、普段はボケるタイプなんだから。慣れないことしたら疲れちゃうじゃん。


と……まあ、ミテラさんがガーネ用の朝食を持って来るまで、こんな宇宙の彼方みたいなぶっ飛んだやり取りを、続けていたのである。


……やっぱり今日は良い1日にはならないかもしれない。

朝飯食っただけなのに、めちゃくちゃ疲れたぞ。

くそぅ……。

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