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竜族族長の娘  作者: 五月雨 アルト
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偉大な思想の

グラーシア視点です。












 驚いた、思いもしなかった。......素晴らしい、と思った............



 今まで、神と言うのは人間の専売特許のような暗黙の業があった。だこらこそ、彼らの言う神と言うものが"人"にしか助けないことに何の疑問も抱かなかった。それを覆したのがあの美しい御方だった............














 あの御方は言った。生きとし、生ける者の命の重さは皆平等だと。なんて偉大な思想の持ち主なのだろう、ガツンッと、心にまるで打撃を受けたときのような衝撃が入った。そして、自分を恥じた。その美しさや彼女に感じた心の振るえやざわめきを一目惚れと、恋なんて安いものと勘違いを起こしてしてしまったおろかな私を。

 今を想えば、あれは恋なんて物じゃない。あの震えは、ざわめきは、衝撃は、崇拝すべき方に出逢った時の感動だ!! 私は馬鹿だ。けれど、気が付けて良かった。この機会を逃したら、私は一生あの方に尽くすことはできなくなってしまったかもしれないのだから............












*******************




















 今日は、急遽研究所から変更された国立図書館へ赴いていた。この目的地変更は、今この国に滞在している、愛しのレイミア様の望みを叶える為の物だった。レイミア様が図書館に行きたいのなら、例え閉館していようが、閉鎖されていようが、無理矢理にでも図書館を開かせるのだが。幸いなことに今日は平日。図書館は通常道理開かれていた。













 レイミア様は図書館に入館されてから、何かを熱心にお探しに成っていた。レイミア様と比べると、とても粗末な頭しか持っていない私には、到底何を考え探そうとしていらっしゃるのか、皆目検討もつかなった。レイミア様のその探す仕種に、ご兄弟であられるアシュリー様とノア様は御手伝いをかって出た所。魔法と化学、個々の専門書が欲しいと仰られた。御二人は直にお探しに向かわれたが、私にはその本は次いでのようにも見えた。その証拠に、レイミア様は他のものを未だ探しておられる。一帯なにを探しているのだろうか............









 どのくらいの時が経過したのだろうか? きっと、二時間は等にすぎていた筈だ。そんな曖昧な長い時間を図書館で過ごしていると、不意にレイミア様は移動し始めた。何処へ向かうのかと問うと、絵本コーナーに向かうと仰った。絵本?............












 絵本コーナーにたどり着くと、レイミア様はその中でも、童話やお伽噺話、そして昔話の類を読み始め、最終的には人間の作者の本を読み進めていた。レイミア様お考えは今一掴めなかった。





 暫くすると、それに耐えかねたのか、単純に暇だったのかは知れないが、本を読み進めるレイミア様にアシュリー様とノア様が話し掛けた。





「レイミア、レイミアはさっきから何故そんなに人間のお伽噺を読んでいるんだい?」


「......面白い?」



 

 そう二人が問えばレイミア様は読書を邪魔されたのにも関わらず、気にした風もなく答えた。






「ううん、ちょっと不思議で」


「不思議......ですか?」





 私には何が不思議か分からなかったので、レイミア様のお言葉を鸚鵡オウムのように反復した。するとその意思が伝わったのか、レイミア様は続きを話始める。







「うん、何で、このお話の神様は人しか助けないのか、ちょっと不思議で」


「それは人が自分を助けて欲しいが為に書いたものだからでは? 自分だけって優越感を感じたいとか......」





 そう、この世の思想深い生物のなかでトップ10にランクインする弱気一族の人は、神と言うものを心の支えにし、信仰して生きていた。そんな信仰の対象が、祈りを捧げる自分達以外の者を助けるのが癪だから絵本には描かれていない。皆そう思っていた。けれど、レイミア様はそうは思わなかった様だ。






「うん、そうなのかもしれないけれど。でも神様から見て本当に、生き物に重さはあるのかなって。だって、種族は違えど争いも殆んど無くて、きちんと意志疎通も出来て、なぜ此処まで人だけに助けを差しのべるのかなって。例え人が優越の為に書いたものだとしても何故、そこまで優越を感じたいのかなって......だって、この本の作者は皆違う。一人ぐらい違う思想の方が居ても良いんじゃないかなって」









 ーー素直に驚いた。だって、確かにそうなのだ。人間は、確かに弱いけれど、その数は少ないとは言えない。いや、確かに集落など、人の納める国は小さいのだが、人は各地に移り住んでいるため、この世間の人が思っているよりも圧倒的に多いのだ。そんな数の思想が皆同じわけがない。と言うことは、ここにある絵本たちの他に、この考え以外が描かれた本が意図的に消されていったと言うのだろうか? 一帯何のために? 他の本があると自分の本が売れないから? ーーいいえ、売り上げなんて高が知れてるのでそう言った欲では無いでしょうね。


 ......それなら、やっぱり一番有力なのは、この思想に確固たる執着を持った人物がいて、その者が何らかの意図でそれらを消しているとか?...... ないわけじゃ名地けど確定できないわね......何にしてもこの話............








............何か裏がありそうね.........










 私は横で話始めるアシュリー様を横目に、この話を聞いていた護衛に、直ぐ様城に戻り調査班にこの事を調べるようにと伝えに行かせた。













グラーシアさん......それを世間では逆吊り橋効果と言うんだよ......

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