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竜族族長の娘  作者: 五月雨 アルト
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狩り人

アシュリー視点です。









 レイミアを外に出すのは僕は反対派だったんだ。本当は家の外にも出さずに大事に大事にしたいのに............







 それでもレイミアを里の外に出すのは、レイミアが望んだのとこれから先、この外出が彼女のためになる可能性があるからだった。まぁ、心配だから無理にでも今回の外出には付いていったけどね。本当は僕とレイミアの二人っきりの旅行の予定だったのだけど、今回はノアに1杯喰わされた。まさか有休をもぎ取って付いてくるとは思わなかった。あいつの職場は有休を取ることが難しいからこそ、あまりノアのことは気にしていなかったのだ。ーー少し甘く見すぎたか......










 まぁ、移動でレイミアを背にのせるのは僕だけどね。あのときのノアの悔しそうな顔はいつ思い出しても僕に優越感を持たせた。ふふ......兄弟の中では確かに僕はあまり速い方ではないけれど、一番魔力や空中体制維持が安定しているのは僕だった。だから今回の長距離移動でレイミアを運ぶのも、必然的に僕が選ばれたというわけだ。









 1つ目の休憩地点の街を過ぎ、しばらく飛んだところ。今回の目的地であるイザートに僕たちは降り立った。レイミアが地面に降りるのを待ち、竜の姿から竜人の姿に戻ると、レイミアがぴくりと動いた。何かあったのかと気配を探るよう、意識を集中させる。すると、背後から近づいてくる気配と視線を感じた。それは、悪意のあるものではなかった。それに知っている者の気配だ。







「ようこそイザートへ。我が国は盛大に歓迎する」







 そう、今回の滞在先の国、イザートの王であるイリン殿だ。この国は年功序列が盛んな国で、挨拶をされたら歳上から返すのがマナーになっている。それを知っている僕は、ノアへ一瞬目配せをし合図を送る。すると、ノアは僕から半歩後ろへ下がる。すると、レイミアはなにも知らないはずなのにノアの後ろへ半歩、つまり僕から1歩後ろへ下がった。年功序列が盛んな国ではこれもマナーの1つだ。あぁ、なんて僕の可愛い妹は博識なのだろうか......だって、普通里から出たことのない二桁いったばかりの幼子(16才)が他国のマナーを知ってると思うかい? 思わないだろう? その証拠に、レイミアを見たイリン殿は感心したような表情を浮かべている。









「国王自らのお出迎え痛み入ります。これから1週間という短い間ですがお世話になります」


「なに、そう固くならなくてよい。貴殿らの父上であるルイ殿とは昔馴染みの同僚であり友でもある。ゆっくりしていってくれ」


「ありがとうございます」


「所で、貴殿らはレイミア様にこの国のマナー等をお教えしたのか? とてもよく守って下さっているようだが......」


「いいえ、我々は一切この国のマナー等は教えておりません。全てレイミアの独学です」


「なに!? 一つ足りともか!?」


「えぇ、何一つ......」










 ーーそう、今回のレイミアの凄いところはマナーを守ったところではない。真の凄いところは僕たちは愚か、里の者は誰一人レイミアにイザートのマナーを教えていないのだ。そこからレイミアの影の努力が伺える。レイミアは己の才能に傲らず、限界まで才能を磨き続ける大変な努力家なのだ。才能を才能のままで終わらせない。僕の妹は本当に欠点の見当たらない素晴らしい子だ。














*****************









 挨拶としてしばらく話したあと、レイミアの発言に酷く反応したイリン殿と、イリン殿の視線で動き出した衛兵からなにかあったことを臭わす出来事があったが、それを除けば順調に城までたどり着けた。









 応接室まで来て、滞在中のスケジュール確認を使用としたとき、部屋に部外者が現れた。ーーその人物はグラーシアと名乗る"男"だった......そう、男なのだ。確かに見た目は可憐な乙女のような麗しい見た目と姿をしているが、僕の勘がこいつをレイミアに近付けてはいけないと言っている。そしてその判断は間違っていなかった。あろうことかこの女装癖野郎へんたいはレイミアを見た瞬間頬を赤く染め見詰めていたのだ! この瞬間、僕とノアの思考は一致した。























  こいつ、狩る............








次回もアシュリーサイドです。

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