恐いもの
アシュリー視点です。
グラーシアとか言うやつをどう料理しようかと策を講じていると、イリン殿が話始めた。なんでも、夕飯が1時間後にあるらしく、それを部屋でとるか、食堂でとるかを決めて欲しいそうだ。僕たちは別にそれほど疲れているわけではないので食堂でも平気だけど、レイミアは疲れているかもしれないな......僕はそう思いレイミアにどうするか聞くと、レイミアはノアにも意見を求めた。
な ん て や さ し い ん だ !!
この年頃の子供だと、自分の感情に任せて相手のことを気遣うなんてそうそうできる訳じゃない。それなのにもう他人を気遣えるなんて......!! あぁほら、ノアなんて感動し過ぎて言葉が上手くでなくなってる!! いいんだよレイミア! 僕たちはレイミアが居れば何処で食事をしようとそこは高級レストランなんだから! レイミアが居ればたとえ火の中、ゴミの中、肥溜めの中!(レイミアをそんな不快な場所に連れてなんて行かないけど) 僕はレイミアさえ居れば何処だって平気だよ! ノアだってそう思ってるよ!!
僕とノアがレイミアの女神級の優しさに感動し打ち震えていると、レイミアはイリン殿と話を進めていた。あぁ、なんて自立した立派な妹なんだ......もっとゆっくり成長してくれればいいのに......
「イリン様、御気遣いありがとうございます。ですが私は大丈夫ですので是非食堂でお願いします」
「そうか、では1時間後に食堂に案内させよう。それまでは......グラーシア、お前はお三方に城を案内して差し上げろ」
「任せて!」
「ちゃんと1時間後に間に合うように食堂へ向かうのだぞ」
「わかってるわよ!」
「......はぁ、お前のそのふざけた話し方を聞いていると不安しか残らんわ。では頼んだぞ」
「もう癖なんだから仕方ないでしょ! ーーそれじゃあ行きましょうか」
「お願いします」
ちょっと待て!! 僕らがレイミアの素晴らしさに浸っている隙に、なにレイミアの優しさに漬け込んでついてきているんだこの女装癖野郎は!! レイミアがお願いしますと言わなければ、僕たちは一瞬でこいつのことを(物理的に)灰にしてやったのに......レイミア、こんな奴にまで優しくしなくたっていいんだよ? レイミアは優しいからこいつの性癖までとやかく言わないのだろうけど......
僕はレイミアが何処かで我慢をしていないか心配で堪らないんだ。
......いや、違うな。正直に言おう。僕はレイミアの優しさが、その慈愛に満ちた瞳が、僕以外の誰かにも等しく、平等に降り注がれるのがただただ嫌なんだ。できることならこのまま竜族の里にすら戻らず、誰もいない土地で二人だけで生きていきたい。そんなことを、気が付いたら何時も僕は考えている。
そんな薄汚い感情を抱えながらも、それでも僕がレイミアにそれを強要しないのは、そのことを伝えたとき、レイミアに嫌われて、己が傷ついてしまうことを恐れている。ただそれだけたった。
なんか御兄様が情緒不安定。




