イザート
「ようこそイザートへ。我が国は盛大に歓迎する」
そう感動にも近い感情で門を見上げていた私に話しかけてきたのは、この国の王であるイリン様だった。
イリン様は何時のまにか正門の前にたつ私達の背後にたったかと思うと、いきなり歓迎の言葉を告げてきたため、正直今私は精根のビビリが顔を出したせいか、身心ともにフリーズ中です。よって返事を返せません。
え、これ返事を返さなかったからって不敬で捕まったりしませんよね?
私が返事を返さずもたもたしていると、痺れを切らしたのか我が兄で、リントヴルム家長男のアシュリー兄さんが話してくれます。兄さんありがとう!
そこから暫くは大人しく兄さんとイリン様のお話を聞いていたのですが、飽きたので心の中で一人しりとりをはじます。
しりとり、りんご、ごま、まんと、とり、リール、るり、リンス、スリ、りんり、リリー、リース、すずり、リンボーダンス、スグリ......り、多くないですか?......いや、確かにり地獄を意図的に作ってましたが、これ一人でやってたら帰ってくるのは自分なんですよね......
こんな感じで私が現実逃避をしていると、何時のまにか話を終えたアシュリー兄さんとイリン様、それとずっと私の側でボーッとしていたノア兄さんが動きだし、門の中に入っていきました。
ちょっ! 置いていかないでくださいよ!!
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門からかなり離れた場所にある城の中にはいると、そこは砂漠地帯の中であることを忘れ去れるほど涼しくできていました。それに何だか、太陽も普通の砂漠地帯とは比べ物にならないくらい柔らかい気がします。魔法でも使っているのでしょうか?
「竜族の里と比べればとても暑いところかもしれないが、そんなところを含めてこの国を好きになって貰えればと思うよ」
「えぇ、我々もこの里が好きになれれば良いと思っています」
「......ククク、アシュリー殿はとてもルイ殿と似ているとお見受けする」
「親子ですので」
「ははは、そうだな」
二人は端から見たら仲良く見えるのかもしれませんが、私からしたら狐と狸が騙しあいしているようにみえました。不思議ですね。
「では、これから1週間の予定を説明させていただくのでよく聞いて、わからないところなどはその都度質問してほしい」
そういって何やらプリントらしきものを片手に、イザート旅行予定発表が始まった。
昨日は学校行事のために、投稿できなくてすみませんでした。