自国の恥
イザートの王、イリン視点です。
今日は、あの竜族の里で会議あった日に勝ち取ったレイミア様来迎の日だ。
あの会議の日は死に物狂いになってこの日をもぎ取ったが、あとになってこの判断は果して有っていたのかと不安に成った。この日を勝ち取るために何せ多くの国の王や宰相達に恨みがましい目で見られたものだ。確かに、あのシーキャピタルの高齢予言師に未来を告げられた奇跡の娘だ。何かしらの繋がりは取っておきたかった。だか、今回のような場面である必要はないのだ。今回のように、特にシーキャピタルには怨まれるような場面でレイミア様をお呼びしなくても、何ら問題は無かった。果して今回の決断はあっていたのか。私の心には不安が残るばかりであった。
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夕方の調度四時くらいだろうか? 国の正門付近に、高速に接近してくる物体を感知したと知らせが届いた。きっとレイミア様を乗せたルイ殿の御子息、アシュリー殿とノア殿だろう。知らせに来た者によると、速度と距離を計算したところあと10分しない内に正門に着くと言う。私はその知らせを受けて正門へ向かった。
正門へ着くと調度お三方が到着したところだった。なので私はお三方の後ろ姿に向かって声を掛けた。まぁ3人ともそこは流石の竜族、私の気配はとうに気が付いて居たのか、動揺は見れなかった。
「ようこそイザートへ。我が国は盛大に歓迎する」
そう言うとノア殿とレイミア様は、我が国の年功序列のマナーを知っていたのか、年上の者(今回はアシュリー殿)が挨拶をするまで一切視線を私に向けるだけで話をしなかった。正直、きちんと成人を果たしているノア殿は兎も角として、たったの二桁程度しか生きていないレイミア様が、このマナーを知っていることにも、守れていることにも驚いた。ここへ来る前に誰かに教えてもらったのだろうか?............
「国王自らのお出迎え痛み入ります。これから1週間という短い間ですがお世話になります」
「なに、そう固くならなくてよい。貴殿らの父上であるルイ殿とは昔馴染みの同僚であり友でもある。ゆっくりしていってくれ」
「ありがとうございます」
「所で、貴殿らはレイミア様にこの国のマナー等をお教えしたのか? とてもよく守って下さっているようだが......」
「いいえ、我々は一切この国のマナー等は教えておりません。全てレイミアの独学です」
「なに!? 一つ足りともか!?」
「えぇ、何一つ......」
この時の私の顔は、まるで妖狐に化かされた様な顔をしていたことだろう。だがそれほどの衝撃があったのだ。
まず、この国は他の国と比べ、年功序列に厳しい国だ。商売上、市場や商店街の店などでは年齢を無視し、できるものが上に行くのは仕方がないにしろ、挨拶などで子供が我先にと挨拶をしてしまい、嫌な顔をされるということがよくある。この国の子供でさえやってしまうミスを他国の、それも誰にも教えられていない女児が守れていると言うことに、私は驚かされたのだ。これは確かに他の者とできが違うかもしれない。私がそう思っていると、レイミア様はまた驚くべきことを言い始めた。
「マント......スリ......」
「!!」
私はレイミア様はずっと私に視線を向けていると思っていたが、それは違った。レイミア様は私の後ろを見て居たのだ。そしてレイミア様の視界の先には、逃げ足が速いことで有名な指名手配中の黒いマントを身に付けた男が正に私の視界の先で商人の財布をスッていた。まるでタイミングを計ったように私達の目の前でスられたため、この場にいる誰もがレイミア様が未来を予測したのだと思っただろう。
私はこれ以上自国の恥を晒さないよう、私の近くにいた衛兵に目配せをしてマントを身に付けた男を捕らえるよう指示すると、城へ足を向けた。
THE勘違い




