面倒
ルイ視点です
5大国会議から約一年。あの日から各国の役人や傭兵なんかが表向き観光としてこの竜族の里に訪れるようになった。何かあったときに迅速に対応できるように、人員を割いているのかもしれないが、全員が観光としてこの地に足を踏み入れるのは、些か無理があるように思えた。まぁ、傭兵として雇えと言われたところで断るのだが。
あの会議のあと、結局シザ殿は国へ帰還していった。そのため、主な取り決めはまた後日とし、シザ殿が居なくても進められる近状の報告をし、次の日に帰還した。
ーーこれはその後に聞いたのだが、何でもこの度5大会議のために第1皇女であるカレン・マルレーンをリーリアのフェリー・レイクに寄越したらしいのだが、カレン皇女はここでも何やらやらかしたようだ。
シザ殿は移動魔法で即刻帰国すると、直ぐにフェリー・レイクへ向かい、状況を確認しようとなされたらしい。が、連絡を任せた妖精の家は扉に何度も叩かれ、金属などがぶつかったかのような後があり、とても穏便な雰囲気では無かったそうだ。やはり何かあったのかと慌てて戸を叩き、家の中に居るであろう妖精を呼び出し、情報提供を命じた。そこでシザ殿はハース王国の皇女がリーリアの民に被害を有したと知ったという。主にカレン皇女は、妖精のアリスという少年へのストーカーの様な発言や、誘拐未遂ともとれる言動、おまけに器物破損。なんともこの格差が崩されつつあるこの時代において飛んでもないことをしでかしたようだった。これにはハース王国の王であるカロル殿も泡を噴いたことだろう。心中お察しする。
だが、ハース王国と縁のある2国の地位の高い者に危害を加えたカレン皇女をこのまま国には置いておけなくなり、今まで娘ということで温い対応しかできていなかったカロル殿も腹を括ったようで、1国の王として、カレン皇女の処罰を告げていた。まぁ、それでも大概甘いものだったがな。
ーー処罰というのは、一にカレン皇女の王位剥奪、二に国外追放、三にこれより北東にある山国にある、活火山の麓にある未発展途上の村の教会への移住が決まり、もう既に山国への輸送が、開始されているそうだ。まったく、あの人は何時までも甘い......次に何かしようものなら死刑も取り決められたそうだが、そんなものをあの女が守るとも思えない。さて、どうしたことか。
私がこのことに頭を悩ませていると、1つのチャイムが鳴る。電話だ。これは、我が娘であるレイミアが考えた超画期的な科学道具であり、ここ数年で全世界へと普及した素晴らしい発明だ。
この道具はその場で機械から電波を飛ばし、もう1つの機械へと繋げる。その電波は0と1でできており、0と1を高速で送ることによってそれは人の言葉に近い音となり、音を声ににたてることで、相手へと言葉を届けるという物だ。この発明は最初は科学だけで作られていたのだが、ちょっと似たような電波があると、他の機械(受話器)に繋がってしまったり、電波が届かなかったりという不都合が起こりやすかったので、魔法と混合し、電波の安定性を高め、固定の番号などをつくり、掛け違いや盗み聞きの、リスクを下げることに成功した。そして、この電話の副産物にメールやインターネット等という副産物もできた。名付けたのはレイミアで、どういう意味かはわからなかったが、レイミアがつけたのだ、悪い名前なはずがない。
さて、そんな世界的な発明道具、電話の音は、今いる執務室にある仕事用固定機とは別の、プライベート用の電話から発している。誰だと思いながら発信源の名前をみれば、そこにはシーキャピタルの女王からと期されている。居留守を使うという選択肢は消された。
ピッ
「はい、ルイ・リントヴルムです」
「もし、私はシーキャピタルの女王、リーザです。急なお電話御免なさいね」
「いえ、それで用件は」
「あぁ、私、これから一週間後にそちらにお邪魔させていただくわね!」
ーーなぜ、面倒事はこう立て続けに起こるのだろうか...........
もし、とはもしもしのことで、最初に電話ができた頃、ある地方で「もし、そこのお方~」等と言うときの呼び掛けで使っていたというのを聞いたことがあったので採用しました。このような呼び掛けは小説内でも地方毎に変えられたら良いなと思います。(面倒になったら被る)




