もう一つ
シーキャピタルの女王、リーザ視点です。
私は今、預言で出た白き奇跡に会いに来ていた。私はシーキャピタルの女王であり、人魚であるため、陸に上がる事は滅多にないけれど。今回ばかりは己の目で預言の人物を見極める必要があった。預言の娘、レイミアの父であるルイ様のお話を疑うわけでは無いけれど、親族では話に色が付いてしまうのはよくあることで。とても良い子だと聞いていたのに、実際はとんでもないぐらいの我儘娘だったという話はこの業界では少なくない。
だからこそ、この機会に見極めに来たのだ。預言で言われる白き奇跡がどのような人物かで今後の対応が大きく変わる。これから関わっていくことになる人物が馬鹿では仕方がないのだ。
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私が竜族の里に行くために、私はまず海を駆けることには重宝するが、陸を駆けるのにはじゃまでしかないこのヒレを葦にする必要があった。魔法で変えても良いのだが、今夜は満月なので月を代用することにした。人魚のヒレは満月の光を水から離れて浴びせ続ければ人の足へと変化する。だか、また海の水を浴びればヒレに戻ってしまうので注意しなければいけない。幸いに今回赴く竜人が住まう場所は海とは疎遠の山の頂上、心配はいらないでしょう。
私が竜族の里に到着し、ルイ様に挨拶へ赴こうとしたところ、前方から目が眩んでしまうのではと言うほどに、全身真っ白な美しい少女が歩いてきた。きっとあの方がレイミア様なのだろう。だってあのように白く美しい方以外に居られるなら竜族は本当に化物の巣窟に成ってしまう。あのように美しい方がそうごろごろ居られては堪らない。私はそう思う傍らでどう話し掛けようかと必死に頭を回していた。
考えて考えて考えて......実際時間にするととてつもなく短いものだけれど、私はこの短時間に嘗て無いほどに頭を回転させた。気分はまるで戦略を繰り広げる軍師のようだった。けれどそんなに頭を回転させても良い案なんて思い付かなくて、結局このままでは通り過ぎてしまうと言うところまで来てしまい、咄嗟に腕を掴んで道に迷った風に見せかけた。まぁ、道に迷って居ないことなどバレバレだったみたいだけどね。だって彼女は私が道を聞いているのに、警戒しているように、まるで職務質問をしている警備隊のようなことを質問してくるんだもの。まぁ、彼女にとって、私は見極めるべき人物だと判断されたのなら嬉しいことなのだけれどね。
それになにより、彼女の博識さはルイ様に御聞きした以上のものだった。最初は竜族の子供が知り得ない海の話から、次に陸に、その次は自然に、そして最後には政治にまで話は変わったわ。とくに最後の政治の彼女の考えには舌を巻くものがあった。だって、血統や強いものが長に選ばれるのではなく、成りたいものがそれぞれの意見をのべ立候補し、それを民が選び、民自ら王を決めるなんてとても興味深い意見だったわ。少なくても、遥か昔に戦争が終らず、王に不満を市民が抱けばもしかしたら産まれていたかもしれないけれど。この平和で、市民からの信用が厚いルイ様の下で育った子供の発想とはとても思えなかった。
だからこそ、私は確信した。あぁこの子は預言の娘で間違いないって......
ーー実は私はルイ様にもう一つの預言かあったのだけれど、レイミア様をこの目で確かめるまでは言うまいと黙っていたのだ。だってレイミア様がとんでもない世間知らずだったのなら大変なことに成ってしまうかも知れないでしょ?
さぁ、これからルイ様を介して話さなければ。それからレイミア様に疑ったことを詫びるのだ。この方は私の話を理解し許してくれるだろうか。そんな事が頭に浮かんだが、それは直ぐに消え失せた。
だって私をルイ様の下へ案内するために繋いだレイミア様の手に、柔い力がまるで全てわかっていると言わんばかりに加わったから......




