↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜族族長の娘  作者: 五月雨 アルト
38/114

あくとひーろー

総合ポイント300超えた!!ヒャッフーー!!

コメントも嬉しいですありがとうございます!!

これからも投稿頑張ります!






 俺とハース王国第一皇子のゲインは、自他共に認めるくらいには親しい友人だ。ゲインは第一皇子なので、次期国王候補として何時も忙しそうにしていたが、時々俺とこっそり先生達に悪戯したり、学園内にある抜け穴を通って二人で街へ脱け出したりもしていた。うん、俺達の関係はただの友人というより悪友といった所だろうか?




 そんなゲインだが、学校では何時も優等生の優しい王子様の仮面を被り、何時もの茶目っ気溢れる姿を隠している。一族の長の息子の俺が言うのも可笑しな話なんだろうが、皇子程の地位ともなれば色々大変なのだろう。俺は長の息子だけど次期長はアース兄さんなので、その忙しさを実感する機会は無かった。





 さて、ゲインの情報を思い出すのはこれくらいにして、今起きてる問題の話をしよう。今ゲインは俺の故郷である竜族の里に来ていた。竜族の里は、ハース王国から遥北に位置するレジェンド地方に存在する。今回は竜族の里に社会科研学として遊びに......いや、学びに来ているのだ。事の発展は、休みに家に帰ると妹がやけに話しかけてくると憂鬱げに珍しく愚痴を溢していたので、社会科研学として俺の家に来てみればいいと誘ってしまったことだ。何故あの時態々レイミアに男を近付ける様なことをしたのかは正直分からない。気が付いたら誘っていた。まぁ、結果としてゲインはレイミアのことを見る目は、恋愛対象というより宗教観念のそれだったので正直そこまで心配はしていない。熱心な信仰者は神と結婚しようなんて思わないだろ?





 さて、結果としてゲインは大丈夫だったが本当の問題は別にいた。げいんの妹、カレン・マルレーンだ。ゲイン曰く。破天荒な我儘女で、物語の悪いお姫様を見事に体現している存在らしい。そんな妹をゲインは心底毛嫌いしているようだった。まぁ、妹だから好きとは限らないよな。俺もきっと、レイミア以外の妹ができたところで、レイミアみたいに可愛がれるかって聞かれたら即座に否定するだろう。もう俺はレイミアに出会ってしまったので、それ以外の選択が思い付かない。レイミアが産まれる前の俺なら分からないが、レイミアを知っている俺には他の存在なんて到底可愛がれるものでは無かった。




 あぁ、話がずれたな。兎に角そのゲインの妹のカレンとか言うやつが凄く厄介だった。正直名前すら呼びたくないが、あれでも一国の皇女でゲインの妹。声に出すときくらいは敬称を着けて呼ぶ程度。そんなできるだけ関わりたくない奴が俺の大事な可愛い妹のレイミアを狙っているらしい。この1件で女も油断できないと俺は学習した。って、違うそうじゃない。いや、学習したのは本当の事だが、兎に角カレン皇女と言うやつはレイミアの事を恋愛対象として見ているようだ。




 確かにレイミアは綺麗で可愛くて優しくて聡明で、老若男女問わず人を惹き付けるくらい素晴らしい妹だから、レイミアに惚れるなと言う方が無理だ。だが、身の程をわきまえるくらいはしてほしいものだ。女であろうとレイミアは嫌悪の眼差しを向けることはせず、受け入れ包み込んでくれるだろう。実際にレイミアはカレン皇女にそういうアピールを、受けようが慈愛の微笑みを向けて対応していた。相手を軽んじることなく全て敬語で。そんなできた妹に、レオン兄さん曰く、カレン皇女は調子に乗り、ストーカー行為をしでかしたらしい。



 俺の、可愛いレイミアにストーカー?......







 許せない......許さない赦さない赦させない!




 まだ話し掛けるまではギリギリ許した。だって俺が邪魔に入れば良いだけの話だ。多少不快感は残るが、レイミアが本気で嫌がる様子を見せない限りは、まぁ殺しはしない。

 だが、レイミアの心労を感じさせ、あまつさえ日頃から不快感を煽るような眼差しや言葉使いをレイミアへ投げていたのだ。それに加えてストーカーなんて赦されるはずがない!




 ゲインはその信仰心故にカレン皇女を殺してしまいそうなほど怒り狂っている。今カレン皇女を殺害しないのは、単《ひとえ》にレイミアが穏やかに暮らすことを望んでいるからだろう。心優しいレイミアは殺害なんて望まない。あぁ、なんて俺のレイミアは心優しいのだろう。あれだけ不快な会話を強いてきたカレンに未だに笑顔で対応しているのだ。カレン皇女には爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。いや、レイミアの爪の垢なんて勿体無い!彼奴にはレイミアの爪の垢なんて高級品ではなくその辺の苔《こけ》がお似合いだ!
















 そんな事を考えていたのが昨日のこと。今日はゲインの帰国の日なので、朝から街で少し土産等を物色したあと、関所まで見送る予定だった。





 ......そう、予定だったのだ。

その日の朝、俺は何か胸騒ぎのような物を覚え、レイミアの部屋へ向かったするとどうだろう、そこには狂ったようにドンドンと扉を叩き、ガチャギチャと金属の音が不快なまでに廊下に響き、騒々しい音を立てながら、ドアノブが壊れてしまうのでは無いかと思うぐらいに、押したり引いたりと世話しなく弄っている女、カレン・マルレーンがいた......







 ーー正直その光景を見た瞬間。俺の頭の中は一瞬真っ白になった。正常とまではいかないにせよ、昨日までは多少は理性があった女が、自分の目の前で精神患者と間違われても可笑しくないくらいに狂った光景を見せているのだ。驚きもするだろう。



 だが、端から見ているだけの俺ですらぞっとするのだ。中でこの狂気を一身に浴びさせられてあるレイミアはさぞや恐怖に駆り立てられていることだろう。




 その事が俺の頭のなかに浮かんだ瞬間。俺の中は今度は驚きや恐怖ではなく、怒りに埋め尽くされた。俺のレイミアが恐がらされている。俺のレイミアが......俺の......。 止めろ 止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ!!!!






「おい!! レイミア様の部屋の前で何をしている!! 俺の妹を恐がらせるような真似をしやがって!!覚悟はできているんだろうな!?」



 俺がそう話し掛けると扉が可哀想なくらい叩いていた腕をピタリと止め、俺の方にゆらりと振り向いた。



「......さい......るさい......」


「?」


 カレン皇女から発せられた声は小さく、そして籠るようなボソボソとした話し方だったため、何を言っているのか聞き取ることが出来なかったので、俺は少し近づいた。




 そして、その2秒後、俺は直ぐ様後悔した。




「ーー五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!!! 今は緊急事態なの!! 私に構って欲しいからってレイミア様を殺す気なの?! 私のレイミア様が声を掛けても返事しないの!! ノックをしても扉を開けてくれないの!! こんなの扉を開けられない状況に居るとしか思えないでしょ!? レイミア様が死んじゃったらどうするのよ!? 貴方なんかでは代えが効かない重要人物なのよ!? レイミア様が私の声を聞いても返事を出来ないほどの一大事に陥っているのに邪魔しないでよ!!」





 途中から金切り声な上に早口なので上手く聞き取れなかったが、カレン皇女は俺の胸ぐらを鷲津かみヒステリックにそう叫ぶと、今度は俺を突き飛ばすようにして服から手を離し、扉へ向かって体当たりをした。どうやら無理矢理にでも扉を開けようとしているようだった。




「おい! 止めろ!」

 俺がそう言いながらカレン皇女を羽交い締めにしながら扉から離すと、じたばたと暴れる。だが男と女の力の差は勿論だが、俺は加えて竜族だ。力で負けるわけがない。そうして扉から少しずつ距離を取っていると、廊下の向こうから騒ぎを聞き付けた両親や兄、そして今羽交い締めしている女の兄であるゲインが何事かと駆け寄ってきた。




 俺はカレン皇女を使用人に押し付け、カレン皇女が視界から見えなくなったとたんにレイミアの扉を叩き、無事を確認する。レイミアは扉の前で騒ぎを聞いていたのか、俺のノックの音に反応して直ぐに扉を開けて、そろりと顔を出してきた。




「あるふれっと兄さん......!!」


「レイミア......!! 助けるのが遅くなってごめんな? 恐かっただろう?」


「......だいじょうぶ......」



 レイミアはそう言って俺の方へ抱き付いてきた。普段自分から抱き付いてきたりすることが無いので、今回のことは余程恐かったのだろう。助けるのが遅くなって本当にごめんよ......




 俺はレイミアを今一度強く抱き締めると様子を黙って伺っていた家族と悪友に事情を話した。












レイミアがカレンにたいして笑顔なのは日本人特有の困ったら笑って誤魔化せと言うやつです。慈愛の微笑みではなくただのゼロ円スマイルですね。

レイミアの爪の垢は確かに薬の材料としては高級品ですが、アルフレット少年的には別の意味で言ってます。神話生物紛らわしい......

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。