↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/69

53.踏破者、嵐の魔神を蹂躙する。

魔法陣から発生した紫煙が上空の一か所に集まってくる。

所々で雷も発生しているそれは、雷雲が蠢いているように見える。


【単眼翼幻獣(フロートアイ)】の時と同じように、次第に煙が形を成していく。


『久しぶりの現世だな。……ん?ここは我のいた世界ではないな?』


周囲に厳かな声が響く。

召喚されたのは獅子の頭に人の体、そして二対の羽を背に持つ異形の者だった。


『我は【嵐の魔神(パズズ)】!!召喚者は誰だ!?我を現世に顕現させた礼に最初に食ろうてやるわ!!』


そう言って魔神は俺たちを見回す。


……どうやら俺の召喚は失敗に終わったようだ。

狙いの幻獣ではなく魔神を召喚してしまうとは。

しかも幻獣召喚と違い、術者である俺とのリンクも切れているようだ。

いわゆる受肉状態だろうか?

術者の魔力を消費して現世にとどまっている状態ではなく、完全にこの世のものとして顕現している。

しかも術者に協力するどころか、完全に敵対するような態度……。

うん、さっさと処分して何もなかったことにしよう。


「俺が召喚者だ。」


そう言って一歩前へ出る。

魔神の視線がまっすぐ俺を向く。


『ほう、我を呼び出すだけのことはあるな。なかなかどうして、強そうではないか。』


「そりゃどうも。そういうアンタは弱そうだがな。」


俺の軽口に魔神の額に筋が浮かぶ。


『人間ごときが魔神に不遜な態度……。』

「俺に協力する気はないんだな?」


魔神の言葉を遮り質問を投げかける。


『貴様、今すぐ殺して……。』

「じゃあ死ね。【空断】。」


『くっ!?……っが!?』


俺の放った【空断】。

奴の体を真っ二つにする狙いだったが、その狙いは外されてしまった。

奴はこちらの攻撃を察知し、すんでのところで避けたのだ。

だが完全に躱されたわけではない。

左足には深々と裂傷が入っている。


切断には至っていないか……。

やはり空中に居る敵には【空断】は効きにくいな。

【空断】はしょせん重力魔法なので、力がかかる方向に逃げられると効果が落ちるのだ。

とは言え、【アビス】から帰還して【空断】で命を絶てなかったのは初めての経験だ。


「やるじゃないか。少しは楽しめそうだ。」


一方の魔神は驚愕していた。


『……今のは一体なんだ?下等な人間ごときが我に手傷を負わせることなど叶わぬはず……?いくらここが我の世界ではないとはいえ……。』


「いつまで相手を見下しているんだ?ほら、ちゃんと避けないとすぐに終わってしまうぞ?【暗幕(ブラインドネス)】【圧(プレス)】【採魂(ドレイン)】……【空断】!!」


俺はシュラを構えると立て続けに魔法を発動させる。

【暗幕(ブラインドネス)】が視界を奪い平衡感覚を喪失させる。

【圧(プレス)】が敏捷を大きく低減させる。

【採魂(ドレイン)】が体力を奪う。


正確には違うが、俺なりの弱化魔法だ。

この状態で【空断】を避け続けられるかな?


『ぐあっ!?』


青色の鮮血と共に体から切り離された右腕が宙を舞う。


「【空断】」


『がっ!?』


今度は右の翼が1本。


「【空断】」


『ぐっ!?』


次は切断しきれずに残っていた左足。


「【空断】」


『がぁああ!?』


最後は左の翼が2本。


そしてとうとう魔神は空中に留まることが出来なくなり地面に墜ちた。

致命傷は避けていたが、もうボロボロだ。


俺はそんな魔神にゆっくりと近づいていく。


「よく視界も遮られた中で避け続けられたな。お前は俺が今まで戦ってきた中でもかなり粘った方だよ。」


地に突っ伏していた魔神が顔を上げる。

その瞳に諦めの色はなかった。


『のうのうと近づいてきたお前の負けだ!!【嵐刃(サイクロン)】【雷轟(サンダーストラック)】!!』


瞬間俺の体に四方から風の刃が叩きつけられ、視界がホワイトアウトするくらいの高密度の雷の奔流に飲み込まれる。


『くははは!!どれだけ攻撃力が高かろうとしょせんは人間!!一度でも捉えれば魔神である我の敵では……な……い……。』


魔神は傷を一切負うことなくその場に立ち続けている俺を見ると言葉を失っていく。

いずれも高出力の魔法だったが、俺の【剛壁】を凌駕するほどではない。


恐らく万策尽きた状態なのだろう。

魔神の目からは急速に生気が失われて行っている。


「あ、違うわ。【採魂(ドレイン)】のせいか。」


俺は慌てて【採魂(ドレイン)】の発動を停止する。

と言うのも俺はこの自称魔神に使い道を見出していた。


「お前、風魔法と雷魔法が使えるのか?」


一方の魔神ももう反抗する気がないようだ。

片腕、片足を失い、体力も根こそぎ奪われ、渾身の魔法も通用しない。

流石に諦めたのかもしれない。


『……見ての通りだ。我は嵐を司る魔神だからな。』


「そうか。提案がある。お前俺に忠誠を誓え。配下に加えてやる。」


『……何の冗談だ?この誇り高き魔神に人間の軍門に下れと?』


「そうだ。断れば殺す。」


『……くくく。貴様本当に人間か?』


「れっきとした人間だよ。」


『……よかろう。元より答えは一つしかないが、貴様についていくのは面白そうだ。忠誠を誓おう。』


「じゃあ契約成立だ。【眷属化】。」


魔神の様子に変化はない。

エルの時は苦しんでたと思うんだが……。

スキル使用時の反抗度が高いほど抵抗が大きく、苦しむ仕様なのか?


「確かに貴様の眷属となった感じがあるな。」


「ああ成功したようだな。パズズだったか?お前には向こうにいる少女に付いてもらう。彼女のサポートと護衛が任務だ。」


「承知した。」


そう言うとパズズは自身の体を鷲の姿に変えた。


「行動を共にするにあたり我の姿は目立つからな。こちらの方が良いだろう。」


そう言うとパズズはレベッカの元へと飛んでいった。

パズズさんとシュラさんはこの正解ではない別の世界の神に連なる方々です。

世界を跨いで顕現することで弱体化はしていますが、それでも人とは比べられないくらいの力は有している……はすです。たぶん。


もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。