↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/69

37.踏破者、コウナードに着く。

ライラックを出立しておおよそ3週間が過ぎた。

これまでに2つの町に滞在してきたが、特に大きな問題は発生していない。

そして今日、オスガルド領の領主が住まいを置くコウナードの街に到着する。

話を聞くに、オスガルド領の領主は第二王女派閥という事なので、フレンブリード家のような暴挙に出てくることはないだろう。

辺境領地でもなく、外敵もないことから強力な兵士団を有しているわけでもないしな……油断は禁物だが。


「主殿、右前方から【獄犬(ヘルハウンド)】が5匹、こっちに駆けて来てる。すぐに接敵する。」


エルが索敵魔法も使用できるということで、俺たちは隊列の先頭付近に配置されている。

ティアが自分と一緒に馬車に乗ってもいいと言ってくれていたが、何日も馬車の中だと体が鈍ってしまうので辞して歩いている。

王女さんと馬車の中にいてもすぐに話題がなくなって気まずい思いをするのも目に見えてるしな。


と、魔物が近づいてきているんだった。


「了解。ランドール隊長!!右前方から【獄犬(ヘルハウンド)】が5匹だ!!」


「分かった!!第一分隊で対応に当たれ!!第二から第五分隊は間隔を広げて第一の穴をカバーだ!!」


「「「了解!!」」」


隊長の号令に馬車群の周りにいた隊員たちが隊列を組みなおす。

分隊の1つを遊撃に切り離した隊形だ。


間もなく現れた【獄犬(ヘルハウンド)】は第一分隊の6人によって簡単に処理される。

そこまで強い魔物でもないが、けが人も出さずに対処しきるあたり練度は高そうだ。


俺が後ろを振り返り、エルに他の反応がないか確認する。

エルは首を横に振った。


「他に反応はない!!」


「よし、第一分隊戻れ!!通常隊列だ!!」


「「「了解!!」」」




その後も時折魔物との接触はあったが、俺たちが戦闘に参加するようなこともなくコウナードの街に到着した。


「まずは領主に会いに行きましょう。こちらの予定は先に伝えてあるので、問題も起こらないでしょう。」


ランドール隊長はそう言って迷いなく街中を進んでいく。

どうやらこの街は初めてではないようだ。

俺はこの旅で初めてフレンブリード領から出たので、他の領主が直接治める街を見ることも初めてだった。


道行く人々は俺の生まれ育った街と比べると表情が柔らかいように見える。

外敵のある辺境領地とその危険が比較的少ない内領地との違いだろうか。

それとも治める領主の質の違いか……。


しばらく街中を進むと他と比べても明らかに大きな屋敷が出現する。

おそらくここが領主の住む館だろう。


ランドール隊長が門の警護をしている衛兵と会話すると、すぐに開門の指示が出たようで門が開いていく。

そして馬車群がそこを通っていった。

領主との接見時にも同席するよう頼まれていた俺達も一緒に門をくぐる。


「へぇ。」


思わず声が漏れる。


「どうかした?」


「いや、俺の育った屋敷の庭は兵の訓練用の設備が置いてあったりして殺伐としたものだったんだが、ここは結構趣が違うなと思ってな。」


俺は周囲を見渡す。

そこには多くの花壇に色とりどりの花が咲き誇る景色があった。




「ご無沙汰しておりますティア王女殿下、よくお越しいただきました。」


「そんな堅苦しい挨拶は不要ですわ。わざわざ出迎えていただきありがとうございます。メレディ先生もお久しぶりです。」


「ええ、本当によく来てくれたわ。公務もあるだろうけどゆっくりして行ってね。」


ティアと挨拶を交わしているのがこの街の領主であるボーマ・オスガルド伯爵とメレディ・オスガルド伯爵夫人という事だった。

なんでもメレディさんはティアの幼少期の教育係だったとか。

心なしかティアも表情が柔らかくなっているようだ。


その後雑談や近況報告をしていたが終始和やかな雰囲気だった。

ティアがあの質問をするまでは。


「他の王族たちから接触や嫌がらせを受けたりはしていませんか?」


この問いにボーマ伯爵は少し顔をしかめた後話し始めた。


「1カ月ほど前になるのですが、第二王子派閥の手のものが、王戦に協力するよう要請してきました。その時は丁重にお断りしたのですが、その後少し気になることが……。」


「何かあったのですか?」


「関係があるかは分からないのですが、我々の管轄しているダンジョンで……魔物の溢れ出しが疑われる事象が発生しています。」


「崩壊が近いという事ですか?」


「実はハンターギルドと連携して近々調査に出ることになっています。何もないと良いのですが……。」


ティアは少し悩む素振りを見せたあと、何かを思いついたように顔をあげる。

嫌な予感しかない。


「でしたら優秀なハンターが居ますので推薦いたしますわ!!1キロ先を索敵できて騎士団員数十名をまとめて葬れるほどの高位魔法も使える方ですわ!!更に容姿も完璧!!美しく、儚げな深窓の令嬢というイメージがぴったりの女性です!!」


押しが強いな!!


「そ、そのような方がこの街に?」


「ええ!!しかもおまけで騎士団員にも引けを取らない腕前の剣士もセットで付いてきます!!」


俺はおまけか!!

実にお買い得だ!!


俺は一人気付かれないように小さくため息をつくのだった。

スーパーで見るお買い得には毎回騙されないぞという気持ちを持ってしまいます。

よくよく見ると別にお買い得ではないものも混ざってたりしませんか?


もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。