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38.踏破者、ギルドでもめる。

コウナードの街に着いた翌日、俺とエルはハンターギルドへと来ていた。

昨日の領主への面会時にティアがダンジョン調査に俺たちを加えるべきだと強硬に主張したため、それならと領主に調査への協力をお願いされてしまったのだ。

まぁこちらとしてもティアが街に滞在している間はギルドで何かしらの依頼を受けるつもりだったので断る理由もない。

ちなみにシルバ、メル、リルは留守番だ。


「お待たせいたしました。依頼の受注でよろしかったでしょうか?」


受付はえらく胸が強調されたお姉さんだった。

ハンターからはかなり人気が出そうな人だ。


「領主からダンジョンの調査隊への協力を要請された者だ。これが推薦状だ。」


俺は推薦状と二人分のタグを提示する。


「ああ、話は来ていますね。……それにしても、思っていたより可愛らしい子だったんですね。」


受付のお姉さんはそう言って俺をまじまじと見てくる。

まぁ確かに俺は如何にも高ランクハンターと一目でわかるような筋骨隆々と言った容姿ではない。


「見た目はこれでも脱げばそこそこだぞ?」


とりあえず舐められたままってのも気持ち悪いし、以前のように他のハンターに絡まれるのも困るので虚勢を張っておく。

だが、受付のお姉さんはなぜか苦笑いしている。

思ってた反応と違うんだが……。


「少々お待ちください。」


そう言ってお姉さんはバックヤードへ行ってしまった。


「主殿、一応私の主人ということになっているので変な意味で目立つのは避けてほしいのだが?今の絶対違う意味で捉えられてるぞ。」


エルが若干不機嫌そうな声で話しかけてくる。

半眼で睨んでくるようなジトっとした目だ。


俺は今の自分の発言と受付のお姉さんの反応を照らし合わせる。


うん、エルの言うとおりだ。


(あの野郎、あんなキレイな娘連れてるのにライラさんまで…。)

(俺らのライラさんにちょっかいかけるなんて許せねぇ…。)


少し周りに意識を向けると、そこかしこから敵意のこもった声が聞こえてくる。

舐められまいとしたのが逆効果になってしまったようだ。


やれやれだ、これはまたどこかで絡まれそうな気がするな…。


そのまま少し待つと受付のお姉さんが戻ってくる。

もうその表情には営業スマイルが戻ってきているあたりはさすがプロだ。


「こちらの用紙をご確認ください。調査隊の参加に関する説明と免責事項がありますので問題なければサインをお願いします。」


用紙を確認すると、調査目的やその危険性についての説明と、調査隊参加者が死亡したり怪我した場合の補償について記載されていた。

調査隊参加者が死亡した場合の補償って、本人死んでるんじゃと思ったが、どうやら補償を受ける人を指定できるようだ。

家庭持ちにも多少配慮されているということだな。


俺はシルバを補償受取人に指定してサインした。

エルもそれに倣って用紙にサインする。


「はい、受理しました。調査隊の出発は明日朝になりますので、朝一でギルドへお越しください。」


受付のお姉さんにタグを返してもらい、わかったと伝えようとした時だった。


「こんなガキを調査に連れていくだ?俺は反対だぜ?」


横合いから声をかけられた。

見ると、ハンター然とした赤髪の剣士風の男がこちらを睨んでいた。

受付のお姉さんは若干気落ちしたように小さくため息をつく。


「エリオさん、彼らは領主様推薦のハンターですよ?クラスもBランクです。」


「信じられねぇな。周囲の町で活躍しているBランクハンターだったら噂くらいは耳に入るもんなんだがな。」


「彼らはBランクになったばかりですからね。でも【地竜(アースドラゴン)】の単独討伐記録もある凄腕ですよ?」


どうやら受付のお姉さんはさっきのやり取りの間にタグ情報の確認もしていたらしい。

仕事もしっかりできる感じなのだろう。


「【地竜(アースドラゴン)】を?ますます怪しいじゃないか。そんなハンターがそうそういるわけないだろ?領主さんの推薦ってのも怪しい。大方権力者に取り入って不当にランク上げたりしてるんだろ?そんな奴を俺の指揮する調査隊に加えたくはねぇな。死なれても困る。」


「エリオさん!!ギルドが不正していると言っているんですか!?」


言い争いしているが聞き逃せない単語があったな。

どうやらこの赤髪は調査隊の指揮官らしい。


やむを得ないな……。


「それで?どうやったら認めるんだ?」


「あ゛!?」「ジークさん!?」


「ここで言い争っていても結論は出ないだろう?お前はどうしたら俺を認めるんだ?」


俺の提案は予想外だったのか赤髪もお姉さんも驚いている。

しかしすぐに赤髪のほうはにやにやした表情に変わる。


「面白れぇ。じゃあ俺と模擬戦しろ。Bランクだっていうなら相応の強さを見せてみろよ。」


「いいだろう。」


俺の即答が気に食わなかったのか不機嫌そうな表情を浮かべる赤髪。


「言っておくが俺はAランクハンターだ。舐めてると怪我じゃ済まねえぞ?」


「Aランクだったのか。噛みつき方がいかにも小物っぽかったんでせいぜい同ランクかと思っていたよ。」


今度は憤怒の表情を浮かべる赤髪。


「ライラ、訓練場借りるぞ。お前らついてこい。」


そう言ってギルドの奥へと移動する赤髪。

少し面白くなってきた。

先輩に絡まれる鉄板展開パート2です。

パート1の……彼はどうなったんでしょうね。


もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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