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ようこそ、アクアリス水族館へ!  ―深淵を祓う秘密の楽園―  作者: れんP
最終章

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第95話 月光の守護者たち



第三アクアリス水族館。


オープンを目前に控えた館内は、かつてないほど慌ただしくなっていた。


しかし、その慌ただしさは来館者を迎えるための準備だけではない。


アビス。


海の闇から現れる謎の存在。


その数が急激に増えていたのだ。


館内放送が鳴り響く。


館長の声だった。


「各アクアリスへ連絡します。アビス撃退用大水槽に多数のアビス反応を確認。各チームは担当エリアへ向かってください」


その言葉を聞いたアクアリスたちは一斉に動き出した。


中央エリア。


ヒメタツが小さな拳を握る。


「皆さん!行きますわよ!」


隣にはリーフィーシードラゴン。


そしてミナミメダカ。


「はい!」


「うん」


三人は月光強化ガラスをすり抜け、水槽管へ飛び込んだ。


一方その頃。


深海エリア。


ニシオンデンザメは豪快に笑った。


「久しぶりの大仕事じゃのう!」


メガマウスザメは静かに頷く。


「……いっぱい来てる」


その隣にはジンベエザメ。


「皆様、お怪我だけはなさらないでくださいね」


「うむ!」


「行こう」


三人もまた出撃した。


さらに別の通路。


デンキウナギが長い黒髪を揺らしながら歩いていた。


その隣にはミナミメダカから応援要請を受けたフウセンウオ。


「いっぱい来てるの?」


「そうみたいですね」


「がんばる!」


「えぇ」


館内の各所でアクアリスたちが動き始める。


まるで開館前の総力戦だった。



アビス撃退用大水槽A。


ヒメタツたちが到着した瞬間だった。


アビスたち。


「アアアアアアアアアア……!!」


十数体。


しかも全てが中型。


ヒメタツが目を見開く。


「多いですわね!?」


リーフィーシードラゴンは冷静だった。


「慌てない」


ミナミメダカも頷く。


「はい!」


黒い触手が一斉に伸びる。


ヒメタツが前へ出た。


「ひめごとバブル!!」


無数の月光泡が飛ぶ。


泡は触手へ命中。


爆ぜる。


アビス。


「アアアアアッ!?」


だが数が多い。


左右から迫る。


その瞬間。


海藻のような月光が広がった。


リーフィーシードラゴンだった。


「リーフガーデン」


無数の海藻状エネルギーがアビスを絡め取る。


動きが止まる。


「今」


「はい!」


ミナミメダカが飛び出した。


月光の粒が尾を引く。


「メダカストリーム!」


激流のような一撃。


絡め取られたアビスたちをまとめて吹き飛ばした。


「アアアアアアアッ!!」


消滅。


残るは数体。


ヒメタツが笑う。


「いけますわ!」


三人はさらに前へ進んだ。



アビス撃退用大水槽B。


深海チーム。


ニシオンデンザメたちの前には巨大なアビスがいた。


通常個体の三倍はある。


ニシオンデンザメ。


「でかいのう!」


ジンベエザメ。


「これは少々厄介ですね」


メガマウスザメ。


「……来る」


大型アビス。


「アアアアアアアアアアア!!」


衝撃波。


水が震えた。


ニシオンデンザメは笑う。


「ならば真正面からじゃ!」


二刀の月光剣を抜く。


「長命・双牙斬!!」


閃光。


巨大な斬撃が走る。


アビスの身体を切り裂く。


しかし再生。


ジンベエザメが前へ出る。


「あたくしも参ります」


両手を広げる。


巨大な渦が生まれた。


「アクアトルネード!」


轟音。


渦潮がアビスを飲み込む。


だが完全には倒れない。


その時だった。


メガマウスザメが静かに拳を握る。


「終わり」


月光が拳へ集中する。


水槽全体が白く輝いた。


「メガトンブロー」


一撃。


巨大アビスへ直撃。


「アアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


大爆発。


黒い霧が弾けた。


沈黙。


ジンベエザメが目を丸くする。


「すごい……」


ニシオンデンザメは大笑いした。


「はっはっはっ!相変わらずじゃのう!」


メガマウスザメは首を傾げる。


「……終わった?」


「終わったのじゃ!」



アビス撃退用大水槽C。


デンキウナギたちも戦っていた。


大量の小型アビス。


フウセンウオが吸盤付きの靴で壁を蹴る。


「えいっ!」


アビスへ体当たり。


吹き飛ぶ。


しかし次々現れる。


デンキウナギが静かに前へ出た。


長い黒髪が揺れる。


「下がってください」


腕が光る。


発電器官。


青白い電流。


バチバチと空間を走る。


アビスたち。


「アアアア……!?」


デンキウナギは腕を振るった。


「ライトニングネット」


網状の電撃。


大量のアビスを包み込む。


次の瞬間。


閃光。


轟音。


「アアアアアアアアアアッ!!」


一斉消滅。


フウセンウオが目を輝かせる。


「すごーい!」


デンキウナギは少しだけ微笑んだ。


「まだ終わっていません」


しかし。


周囲を見る。


もうアビスはいなかった。


静寂。


どうやら撃退成功らしい。



数時間後。


中央エリア。


各チームが戻ってきていた。


ヒメタツ。


「ふぅ~!」


ミナミメダカ。


「終わりましたね!」


リーフィーシードラゴン。


「うん」


ニシオンデンザメ。


「良い運動じゃった!」


メガマウスザメ。


「ちょっと疲れた」


ジンベエザメ。


「皆様お疲れ様です」


フウセンウオ。


「がんばったー!」


デンキウナギも静かに頷く。


そこへ館長が現れた。


「みんな、お疲れ様」


アクアリスたちが振り返る。


館長は少しだけ表情を引き締めていた。


「今回のアビス発生数は過去最大だったわ」


その言葉に空気が変わる。


ニシオンデンザメ。


「ふむ……」


ヒメタツ。


「やはり増えておりますのね」


館長は頷いた。


「えぇ」


少しだけ沈黙が流れる。


しかし。


館長は優しく微笑んだ。


「でも、みんながいてくれるから安心よ」


その言葉に。


アクアリスたちは顔を見合わせる。


そして。


それぞれ頷いた。


第三アクアリス水族館。


オープンの日は近い。


だが深海の闇は確実に動いていた。


誰も知らない海の奥底で。


黒い影が静かに目を開く。


まるで何かを待つように。


そして水族館では。


それを知らないアクアリスたちの笑い声が今日も響いていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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