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ようこそ、アクアリス水族館へ!  ―深淵を祓う秘密の楽園―  作者: れんP
ミナミメダカの章

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第57話 揺れる光と準備の時間


 ここは、アクアリス達が暮らしている。オープン前の第三アクアリス水族館、今日も今日とて平和です。


 第三アクアリス水族館、クラゲ館。


 淡い青色の照明が床や壁へゆらゆらと反射し、天井近くまで続く巨大水槽では無数のクラゲたちが静かに漂っていた。


 通路の先へ駆けていったミナミメダカが、ぱっと振り返る。


「ここです!」


「ミナミメダカ:『棘鰭上目 ダツ目 メダカ亜目 メダカ科 メダカ亜科 メダカ属 ミナミメダカ』日本在来種の小型淡水魚で緩やかな川や水田に生息し身近な存在でしたが環境悪化により絶滅危惧種に指定されています。アクアリスとなったミナミメダカは頑張り屋でお手伝いが大好き」


 ヒメタツは目を輝かせながらクラゲトンネルを見上げた。


「綺麗ですわ~!」


「ヒメタツ『トゲウオ目 ヨウジウオ科 タツノオトシゴ亜科 タツノオトシゴ属 ヒメタツ』タツノオトシゴ類は外見がにており分類学的に混同され、2017年にタツノオトシゴとは頭部の突起が小さいこと、ハナタツと背びれの基底付近に側方へ張り出す突起があるとして新種として認定された。卵を抱えたメスがオスのお腹の袋(育児嚢)に卵を入れる、その姿はまるでハートに見える。卵を受け取り体を動かし袋の中で受精させる。約1ヶ月後の夜にオスは孵化した赤ちゃんヒメタツを生む。タツノオトシゴ類のアクアリスはアホ毛が生えておりヒメタツのアホ毛は小さい、水俣の海からやってきた、過去のトラウマか、水銀が嫌いであり昔は人間嫌いだったが、第一、第二アクアリス水族館の飼育員や館長や地元の人達とのふれあいによって、普段の性格に戻った、第三アクアリス水族館を作ることが決定した際、送られた最古参のアクアリスの一人。」


 横では、リーフィーシードラゴンが静かに周囲を見回していた。


「オープンはまだまだ先だけど必要なの?」


「リーフィーシードラゴン:『ヨウジウオ目 ヨウジウオ科 ヨウジウオ亜科 リーフィーシードラゴン属 リーフィーシードラゴン』体長は20〜40cmほどで全身に枝分かれした褐藻ににた突起がありこれを皮弁と言う、この突起は皮膚が変化したものである。海藻そっくりに擬態している。プランクトンなどを食べる。オーストラリアの南西部の浅い海にのみ分布する。この生物の住む海域は天敵が多いため海藻に紛れ生き残ったと思われる。アクアリスのリーフィーシードラゴンはオーストラリアの第二アクアリス水族館からやってきた種であり人間の勉強が好きであるが、ストレスに弱く、あまりはかどっていないようだ」


 ミナミメダカは頷いた。


「飼育員さんが早めに用意したほうが掃除と点検とかですんで、ドタバタせずにすむって」


「なるほどですわ」


「楽したいと」


「あはは、、、、」


 ミナミメダカは両手をぱんっと合わせる。


「さ、お手伝いしましょ」


 クラゲ館の休憩エリアには、まだ飾り付け途中の箱がいくつも積まれていた。


 星型のライト。


 海月を模した吊り飾り。


 透明なガラス玉。


 青や紫のリボン。


 ヒメタツは目を輝かせる。


「わぁ……!宝箱みたいですわ!」


「落とさないでね」


「わ、わかっていますわ!」


 リーフィーシードラゴンの言葉に、ヒメタツは慌てて小箱を抱え直した。


 ミナミメダカは脚立の横へ走っていく。


「ヒメタツさん!この飾りお願いしてもいいですか?」


「えぇ!」


 小さな身体でぴょんっと脚立へ上がっていくヒメタツ。


 しかし途中でぐらりと揺れる。


「きゃっ」


「危ない」


 後ろから伸びた手が、ひょいっとヒメタツを支えた。


 リーフィーシードラゴンだった。


「だ、大丈夫ですわ!」


「無理しないで」


「うぅ……ありがとうございます……」


 少し恥ずかしそうにしながら、ヒメタツは再び慎重に登っていく。


 その様子を見ていたミナミメダカは、ふふっと笑った。


「なんだか、お姉さんみたいですね」


「……そう?」


「はい!」


 リーフィーシードラゴンは少しだけ首を傾げる。


「よくわからない」


「でも優しいです!」


「……そういうものですか」


 淡々と返しながらも、少しだけ表情が柔らかい。


 ヒメタツは天井近くへ飾りをつけながら声を上げた。


「これ、ここで合っています?」


「もう少し左!」


「こっちですの?」


「うん!」


 クラゲ型の小さな照明が吊るされる。


 点灯すると、淡い青白い光がゆらゆら揺れた。


「わぁぁ……!」


 ヒメタツは思わず声を漏らす。


 まるで本物のクラゲが漂っているようだった。


 リーフィーシードラゴンも静かに見上げる。


「綺麗……」


「でしょう!?」


 ヒメタツは嬉しそうに笑った。


 その時、通路の奥から元気な声が響く。


「おー!準備してるー!」


 ぱたぱたと駆けてきたのはミズクラゲだった。


 長い髪を揺らしながら、勢いよく三人のもとへ飛び込んでくる。


「あ!ミズクラゲさん!」


「すごーい!もうこんなに飾ってるんだ!」


「ミズクラゲ:「旗口クラゲ目 ミズクラゲ科 ミズクラゲ属 ミズクラゲ」半透明の傘の中央に4つの胃(四つ葉のクローバーに見える)を持つクラゲです。毒性は弱く刺されてもかゆい程度大量発生することもあり別名「ヨツメクラゲ」アクアリスとなったミズクラゲは好奇心旺盛元気活発な少女です。」


 くるくると辺りを見回しながら、ミズクラゲは目を輝かせた。


「なんかお祭りみたい!」


「まだ途中ですけれどね」


「でも楽しいじゃん!」


 ミズクラゲは箱を覗き込み、透明な飾りを持ち上げる。


「これどこにつけるの?」


「その辺りの通路ですわ」


「よーし!」


 元気よく走り出すミズクラゲ。


 しかし数秒後。


「あっ」


 がしゃんっ。


 飾り箱が盛大に倒れた。


「きゃーーー!?」


「……やると思った」


 リーフィーシードラゴンが静かに呟く。


 床へ散らばるリボンや飾りを見て、ミズクラゲは固まっていた。


「ご、ごめんなさい……」


 しゅんとなるミズクラゲ。


 しかしヒメタツは慌てて駆け寄る。


「だ、大丈夫ですわ!壊れていません!」


「ほんと?」


「えぇ!」


 ミナミメダカも頷いた。


「まだ時間ありますし、みんなで拾えばすぐですよ!」


「うぅ……ありがとぉ……」


 四人は床へしゃがみ込み、散らばった飾りを拾い集めていく。


 クラゲ館の照明が、その小さな背中を淡く照らしていた。


 静かに漂うクラゲたち。


 笑い声。


 足音。


 準備の音。


 オープン前の第三アクアリス水族館には、今日も穏やかな時間が流れていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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