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ガテン系の女 2 娯より、楽より、修業中   作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
41/43

未定3

 



 化粧気のない捌けた感じの女性だが……

 

 星谷の隣に座っている。

 

 テーブルには、お通しと思われる小鉢と瓶ビールが2本。

 既に会話は弾んでいるようだ。


 それでも入店客が千香良と分ると星谷が片手を上げて笑って見せた。


「お待たせしました……」


(時間より少し早く着いているのに……)


 千香良は自分が口にした言葉を変に感じる。


「お洒落ね」


 すると、挨拶も早々に彼女が一言。 

 褒められているのか?

 

 濃紺のPコートを脱いだ千香良は黒のタートルネックとボーイフレンドジーンズといったシンプルな恰好。

 セーターの素材が少し違うだけで、彼女と然程、変わりない。


「彼女は土木課の村本。俺と皆江と3人が同期なんだ。皆江は小学校の現場で会っているよね」


 星谷が彼女と皆江を紹介してくれたが……

 一言、多かった。


「その、現場は禁句にしてくれ……」


 横から口を挟んだ皆江が、言った側から情けなさそうに萎れた。


「皆江君、君のマドンナ相葉さんが隣に座ってくれるから、元気だしな」


 口振りからして、村本は千香良ことは知っているようだ。


 それにしても……

 何のことだか解せなくて、リアクションに困る。

 

 職人のおじさんの中には、現場の女性を一律“マドンナ”とか“アイドル”とか、と……呼ぶ人もいる。

 一々、反応する必要もない。

 

 千香良は村本の言葉をスルー。


「じゃあ、お隣、いいですか」


 千香良は、我ながら大人の対応を覚えたものだ、と感心する。

 

 以前なら黙って無表情で腰掛けていた。


「ビール?」


「そうですね。取り敢えず……」


「今更だけど、焼き鳥は食えるよね。適当に頼んでは、あるけど、食べたいのがあったら頼んで」


 千香良は星谷が手渡してくたメニューに視線を落す。

 現場では無口な印象だったが、同期と一緒だと雰囲気が違う。


 星谷の着ているクルーネックのセーターは多分、ファストファッションだ。

 千香良も同じ焦茶でタートルネックを持っている。


 そして皆江はアウトドアメーカーの黒パーカー。

 

 皆、年相応のラフな恰好でテーブルのメンバーは傍目には違和感がない。


 けれども……

 向江は千香良の隣でブツブツと星谷を相手に愚痴を溢しているし、村本の態度は、どことなく斜に構えて見える。


 自分から輪に入るのが苦手な千香良は早くビールが来ないかと、落ち着かない。


「白いね。本当に左官屋さん?」 

 

 話し掛けてくれたのは有り難いが……


「よく言われます」


 おじさん達が言うのとはニュアンスが違う。

 明らかに嫌味の類いだ。


「だろう。龍太さんが、絶対に千香良には日焼けをさせない、って、従兄弟が五月蠅いらしい」

 

 割って入った星谷の話しに村本が目を剥く。


「美容部員だからね……」

 

 バツが悪い千香良は、その従兄弟の職業を口にするが、無駄のようだ。


「凄い……過保護」


 千香良は来た早々、帰りたい、と思った。

 

 

読んで下さってありがとうございます(゜゜)(。。)ペコッ

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