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ガテン系の女 2 娯より、楽より、修業中   作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
33/43

技能五輪 3



 

 千香良は美々を親友だと思っている。

 それなのに……

 少し淋しい。


「ずーっと、熱心に陸上をしていたって聞いているから、根性はあるだろうな……」


 それよりも、高城の口から美々の話が出たことが何故か面白くない。

 子供じみた独占欲に、千香良は下唇を突き出して、ふて腐れた。

 

「先週、会ったのに、教えてくれなかった……友達なのに……」


 千香良は、意図して美々が薄情に聞こえるように言い回す。


「そりゃ~続けていく自信が着くまで、黙っているだろう」


 高城は千香良の言いように、少しだけ眉根を寄せたが、直ぐに口元を綻ばせた。

 可愛い、嫉妬に気が付いたようだ。


「そんな、もんなの?」


「……と、思うぞ。ましてや、千香ちゃんは一人前の職人だろ」


 千香良は、一人前、と言われて、はにかんでいる。


 高城は千香良の扱いが上手い。

 秒で機嫌を直してしまった。


「そ・う・だ!今年もスリッパだよ」


 思い立った千香良は、自らラッピングしたクリスマスプレゼントをテーブル越しに掲げた。

 深いグリー包装紙で包み、結んだゴールドのリボンには木の実のドライフラワーは挟んである。


「おっ!毎年、楽しみなんだ。じゃあ、俺からも……今年はピアスにしたよ。俺は家まで楽しみは取って置くけど……千香ちゃんは開けてみて」


 一昨年は、プチネックレス。

 去年は、成人のお祝いも兼ねて、腕時計。

 

 勿論、どちらも身につけてきた。

 

 高城は、千香良の、お目付役的存在だが、世間から見れば、恋人同士にしか見えない。

 分かっていないのは、千香良だけだ。


 それに引き換え、高城は、千香良を疑似恋人として扱い、楽しんでいる。

 見様によっては、スケベな中年だ。


「可愛い……」


 小さなグレーの箱には『BENE(べーネ)

 20代、30代の女性に人気のブランドだ。

 

 ゴールドの2つのフープを重ね着けしたようなハグピアスは、ベリーショートの千香良に、よく似合うだろう。


「失礼いします」


 そして、千香良が、開けたプレゼントを紙袋に戻していると、冷酒が運ばれてきた。


 高城には白粒鉄仙(しろつぶてっせん)千香良には金花詰(きんはなづめ)

 九谷焼の冷酒グラスは凄くモダンで、それだけで千香良は嬉しくなってしまう。


 そして、アテには、イカの酒盗焼きと、鮟肝が、ちょっぴり。


「では、少し早めのクリスマスに乾杯」


 高城と千香良は、お約束の唱和。

 軽くグラスを合わせると、微笑みを交しながら、グラスを口に運んだ。

 

「美味しい」


「それは、良かった」


 千香良は1度だけ高城に濃厚なキスをされた、ことがある。

 処女を捧げようと思った時もあった。


 なのに、どうしても恋愛対象としては除外。

 チラッと、脳裏を掠め途端に思考が止ってしまうのだ。 

 

 だからなのか……

 千香良は高城を相手に色っぽい話がしづらい。

 

 会話は専ら、仕事の相談か、龍太の話から入る。

 

「そうだ……青協建設の新藤さん、知っている?」


「新藤さん、って美魔女の男の?今度、俺の設計した現場の監督をするよ」


 高城は面白い言い方をする。


「うん、残念なイケおじ。じゃあ、その下の星谷さんは?」


「俺の高校の後輩らしいね」


 思わず星谷の名前を出してしまう千香良だった……


 

お久しぶりです。

読んで下さってありがとうございます。

次話はゴールデンウィーク開け、火曜日です。

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