汚い食堂 5
千香良は9階の家庭用品売り場で高城に送るスリッパを購入してから、7階に下りる。
父と兄、そして龍太へのプレゼントを物色するつもりだ。
しかし、リニューアルしたての紳士服売り場は高級感がありすぎて、落ち着かない。
千香良は、プラ、プラと歩きながら、本館で探すのは無理と判断。
連絡通路に向い、隣のファッションビルに移動した。
あそこなら、雑貨店も多いし、本屋も電気屋も入っている。
漠然とイメージしている、何か見つかるはずだ。
(あっ、星谷さん、には?どうしょう……真逆、食堂でクリスマスデートだったりして)
突拍子も無い発想に、顔がニヤける。
千香良は、何かにつけて受け身の性分。
ラインの交換をしたものの、バーコードを読み込んだ後にスタンプを1つ送っただけ。
以来、ラインの着信音が鳴る度に、星谷では?と、気にするばかりで、千香良からも何一つ送っていない。
千香良は、自分が、百合のような積極的な性格だったなら、と考える。
来週のスケジュールに星谷に現場は入っていない。
(でも……お昼ご飯だよね……夜はちょっと……)
千香良は考え事をしながらも、オープンスペースのステーショナリー雑貨の店を見付けて、脚を向けた。
すると、良さそうな、革小物が置いてあるではないか……
千香良はスマホショルダーを手に取ると、値段を確認。
星谷にも、と考える。
けれども、予算は1人に4,000円位……
柔らかな手触りは、流石に、高くて手が出ない。
自分のお金でクリスマスプレゼントを買うには、今年で3年目だが、毎年、選択肢が窄まっていくのが悩みだ。
「あっ!」
思わず声が出た千香良は、少し置くの棚で金指のようなペーパーナイフを発見。
目盛りも刻まれ、本当に定規としても使えるようだ。
値段も3,080円で丁度良く、これなら、皆、持っていないと思う。
「すいません……」
千香良が店員に4本在るかと尋ねると、在庫在り。
漸く、クリスマスプレゼントの買い物が終わった。
これから、どん、どん、人出が多くなってくる。
千香良は早めのランチを食べに、イートインの在るベーカリーに行ことに。
そして、星谷との今後をゆっくり考えようと思った。




