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ガテン系の女 2 娯より、楽より、修業中   作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
20/43

恋をしている場合か? 5

 



 千香良に釣られて美々も嘆息。

 言葉に出さなくても察したようだ。

 難しい顔をしている。


 千香良は星谷に馳せるを思いから、現状に帰る。

 

 高校時代の美々は取り敢えずクラスでは千香良達のグループに入っていたが、形だけ。

 陸上部の練習に心血を注いでいた美々とは、校外では遊んだ記憶は無い。


 けれども、今は千香良の親友だ。

 憂いは晴らしてあげたい。


「でも……分からないよ。友達にも、やっている娘がいるけど、普通に付き合ったりしているみたいだから……」 


(でも、直ぐの別れるけど……)


 千香良の脳裏にマイナスな心の声も……

 しかし、勿論、口にしない。

 

 そして、マッチングアプリの利用者は百合。

 百合は三上の高校時の同級生だけあって、才色兼備なのだが……

 

 以前は、10歳上のサラリーマンだの、オリンピックの強化選手だった水泳インストラクターだの……

 自慢げに話してした。

 

 けれども、最近では話を聞かない。

 就職活動も忙しいのだろうが……

 百合に場合、単に飽きたのだろう。


 百合は清楚の見掛けに寄らず、齢、20歳にして百戦錬磨の強者。

 いずれにせよ、マッチングアプリなど利用しなくてもボーイフレンドには事欠かない。


 そして、噂で聞いたのが、幼馴染みの恵子。

 ヤリモク女らしい。

 

 千香良が思うに、2人とも恋愛経験が豊富。

 騙されるよりも、騙す方に分類される。


「まぁ、そんね話も聞くけど……それって、男を見る目が出来ている場合でしょ」 


 確かに、美々の交友関係は中学、高校の元陸上部絡み。

 恋愛上級者とは考え難い。

 多分、恋バナを聞かされた相手は、その内の誰か1人だろう。 


 千香良も美々も物思いに沈黙。

 

 そこに、先程のスタッフが、先ずは生ビールを黙ってテーブルの置いていく。

 今は、愛想の無いのが有り難い。


「改めて、やっとかめ」


 ビアグラスを掲げた美々が方言で戯けてみせる。 

 場の空気を変える為だろう。

 有り難い。


「でも、あの娘は明らかに騙されている」


 しかしながら、憤懣やるかたない。

 口元の付いた泡を拭って美々が訴える。


 その勢いに、千香良も何となく、同感。

 こと、恋愛に置いては当事者の目は曇りがち。

 

 そして、何故か友人の第六感は鋭い。

 

 けれども、他人の色恋沙汰など、どこまで行っても想像の域を越えない。

 決めつけるには無理がある。

 否定するには確証が必要だろう。

 

「でも……何で、騙され確定?」


「そりゃ、相手の男に婚約者がいるからだよ」

  

「え?知っている人だったの?」


 千香良は口元に近づけたビアグラスを、一旦テーブルに。

 驚いて開いた口がふさがらない。

 容易ならぬ事態が起こっているようだ。


「それが、偶然。地元の少年野球チームの監督でさ~ホント、世間って狭いよ。それが、かなりのイケメン。だから友達が自慢げに写真をみせてきたときに、どこかで……?って思ったのよ。ほら、私もランニングの前にグランドで準備運動をするから……無意識に見ていたんだろうね」


 美々は一旦、話を切って頷いている。


 すると、テーブルの上には、先付けの、おばんざいと刺身の盛り合わせが、無言で置かれた。

 

 美々が苦笑いを見せている。

 余りにも無愛想なので、話の邪魔にならないのが、可笑しいようだ。


 けれども、話が佳境で料理に箸が付けられない。


「それで?」


「で、案の定、スーパーで遭遇して発覚。兄さんと一緒だったから、実家を2世帯にリフォームしたいって、相談してきた。ご近所だから、兄さんとは顔見知りらしいの……婚約者は大学の同級生だって。もう~マッチングアプリ関連の恋バナは絶対に聞かない。友達が見す見す処女奪われて……あぁ~悔しい!新婚家庭を壊してやりたい」


「それで、教えてあげたんでしょ」 


 千香良としては1番の重要事項と思う。


「無理」


 けれども、返ってきた答えは無情。

 時は既に遅く、美々の友人は完全に盲目状態。

 美々がさり気なく、二股とか妻帯者とかネガティブな話題に出したところ、話を反らされて、お終い。後は、惚気るように、最近は彼、忙しいんだよね……って微笑んでいたらしい。

 

「薄々分かっているようにも取れるけど……下手に教えると、逆ギレ?どうかな?」


「うん……ネットって便利でさ、調べたら逆恨みされるだけって、書いてあった。無責任だけど、恋愛って究極の自己責任だから……他って置くしかないみたい。食べよ」


 美々はテーブルの料理に箸を伸ばす。

 厄介事を話したことで多生はストレスを発散出来たようだ。


 千香良も料理に目を向けた。


 おばんざいは、コンニャクの白和え、ジャコと万願寺の炊いたん、カボチャと小豆の従兄弟煮、揚げと切り干し、そして千枚漬け。

 細長い角皿に小鉢を5つ並べられている。

 そして、ガラス皿に盛られた刺身はマグロとサーモン。

 どれも美味しそうだ。


「ホント、こんな話して反省。千香良は恋をしている場合じゃないのに、御免ね。全国大会出るんだって?」


 美々の言葉に、千香良は箸を伸ばした手を止めた。

 





 

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