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ガテン系の女 2 娯より、楽より、修業中   作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
18/43

恋をしている場合か? 3



 

 美々は千香良の兄に影響か食に五月蠅い。

 そのお陰で、決まって店は美々がチョイス。

 

 勿論、千香良も依存はない。

 なんてったって、今まで外れた試しが無い。


「新幹線口だから……」


 美々は進行方向を指し示すと、すいすいと人を縫って歩き出す。

 人混み等は苦にしないようだ。

 千香良はやっとの事で並んで歩くが、人の流れが目まぐるしくて息もつけない。


「2時間の飲み放題が付いて、4,400円のコースにしたけど……」


「うん」


 千香良は最低限の返事を返すのが精一杯だ。


「+550円でプレミアムの飲み放題、で、+1,000で銘柄日本酒飲み放題に出来るらしいけど……違いが今一、分らなくて……どうしよう?……そう言えば……この間は御免ね~地元の友達と一緒だったから……」


 すると、美々が途切れ途切れの話に合間に謝ってきた。


「えっ?」


 千香良は歩くのに精一杯で、一瞬、何のことだか分らない。


「ほら、月曜日だったか……ラインの返事が出来なくて……スタンプだけ送ったでしょ……何か面白い話?聞くよ。それに、今日は私も愚痴を聞いてもらいたくて」


 月曜日と言えば 星屋と一緒にレベリングの下準備をした日。

 あの日の千香良は、おでんを摘まみながら日本酒を少々……

 酔っ払っていたので記憶が朧気だ。

 確か……


【ちょっと事件(笑い)】なんて……


 美々にラインを送った所、スヌーピーがペコリと頭を下げているスタンプだけが返ってきていたような……

 

(あぁ……それで、美々から誘ってくれたのか……) 


「うん、ありがとう」


 やはり、美々は気が優さしい。

 

 そして、歩いて程なく。

 外は急激に寒い。

 千香良はコートの襟を思わず立てる。


「直ぐだから……」


 美々が選んだ店は本当に間近のようで、見上げれば、そこ。

 左手のビル6階。


『はんなり』と優美な看板が掲げられている。


 伝統的な京風和食をベースにした和洋折衷創作料理が楽しめる個室居酒屋らしい。 

 美々からは、京の板前さんが作るおばんざいが売りだと聞いている。


「いらっしゃいませ」


 そして、エレベーターのドアが開くと、行き成り店長と思しき人が出迎えてくれた。

 フロアー全てが店のようだ。

 値段の割に高級感が漂っている。


「予約した榊です」 


 美々が名前を告げると窓際に向かって案内される。

 

 店内の設えは上がり框に格子戸と和モダン。

 全テーブルが個室で区切られているのが有り難い。


 すると、通されたのは夜景が見える2人掛け。


「カップル用だよね」


 美々が笑う。


「だね」


 千香良も同じく笑みが零れる。


 女2人での居酒屋も馴れた物だ。


 本日のおばんざい5種。

 刺身3種盛り合わせ

 天麩羅

 若鶏の照り焼き、ほうれん草の白和え添え

 西京焼き

 ご飯

 甘味

 

 千香良はコースの品書きに目を通す。


「だけど……恋バナは聞きたくないわ」


 美々が思い掛けない言葉を溢した……

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