ポーカーフェイス 2
「なんだ……仲間外れにされて拗ねているのか……」
千香良の頭頂部に龍太がポンっと掌を置いた。
表情から不満を察したようだが、そのまま頭をこねくり回す。
龍太のスキンシップ過多は毎度の事だ。
千香良も、あやされているのが分かっているので、抵抗はしない。
「別に……どうせ、飲んでいたし……でも、私だけ知らないなんて嫌じゃない?」
一応は反論するも、龍太の前では千香良は素直だ。
「遅くなると嫌なくせに……勝手だな~」
今度は鼻を摘ままれる。
「そうだけど……」
確かに、言われた通りだ。
しかし、千香良は恨めしい。
知っていたら、同じように早く来てチェック作業を手伝だえたのに……
けれども、それも終わったようだ。
館と丁稚が笑みを溢して寄って来た。
「ま~た、千香ちゃんは龍太に弄られているな……嫌なら、セクハラだ~って文句言えよ」
楯が相変わらずの龍太と千香良を、茶化してくる。
そして、丁稚も微笑ましげだ。
千香良は何だかバツが悪くて黙り込む。
しかし、誰1人、意に介さない。
男と女では感覚が違うのは学習しているが……
千香良は、やはり数に入れられていないと思ってしまう。
それでも、顔には出さない。
千香良が感情を露わなするのは、龍太のような限られた人の前だけだ。
「龍太さん、OKです。朝礼前に、温かに物でも飲みに行きましょう……」
確かに、建具も付かない剥き出しのコンクリートでは、屋内と言っても寒い。
4人は、掌を擦りながら現場事務所に向かった。
「館さんはブラック珈琲でしたよね、で、丁稚は何を飲む?」
自動販売機の前で龍太が丁稚に聞いている。
いつもなら、千香良に小銭入れを渡すが、今日は勝手が違うようだ。
「じゃあ、ミルクティーで……」
「へぇ~紅茶派か……千香良と同じだな」
後ろの控えていた千香良は何気ない龍太の言葉が恥ずかしい。
どうしても、意味深に聞こえてしまい俯いた。
「千香良、ほら……」
千香良のミルクティーも龍太がボタンを押してくれたようだ。
「ありがとうございます」
千香良は手渡されるち、少し態度を取り繕う。
龍太も黙って頷いている。
どうやら、間違ってはいなそうだ。
丁稚は曲がりなりにも監督だ。
先程は、龍太と、ふざけ合っていた。
千香良なりに、上下関係の減り張りは見せておきたい。
龍太も頷いている。
どうやら、間違ってはいなそうだ。
そして、龍太、館、丁稚が、会議用の折り畳みテーブルに疎らに座ると、千香良も少し離れて座った。
付かず離れず、声が聞こえる、程よい間隔だ。
「丁稚、昨日は千香良も呼んで欲しかったらしいぞ……」
すると、龍太が千香良の本音を代弁し出す。
千香良は内心、舌打ちしたが、止める術など知らない。
視線を落として聞いている。
「それは、だって……千香ちゃん、女の子だから、遅くなるのはどうか思って、俺が連絡をしなかったんだよ」
館さんが事の経緯を話し出す。
「相葉さんのライン、僕……知らなかったから」
そして、被せるように丁稚が……
「千香良、丁稚とライン交換しておけよ」
思い掛けない提案に心臓が脈を打つ。
これでも、千香良は平然を装い、腿のポケットからスマホを取り出した。
読んで下さってありがとうございます。
稚筆で書き通しますので、よろしくお願いします。




