表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガテン系の女 2 娯より、楽より、修業中   作者: うらら桜子(旧 咲良ヤヨイ)
11/43

ポーカーフェイス




 エアコンのタイマーはAM4時30分にオン。

 千香良の起床時刻には室内が程よく温い。

 それでも、冬場のAM5時は未だ暗く、窓の結露が外の寒さを物語る。

 

 昨晩は父の帰宅と同時に部屋に戻った。

 父は娘との晩酌を期待したらしく、少し、がっかりしていたが、旨い酒も、睡魔には勝てない。

 思いの外、疲れていたいようで、枕に頭を付けたと同時に、朝まで爆睡。

 夜中に目覚めることもなかった。


 そのお陰で、今朝は寝坊せずに起床。

 千香良は緩慢な動作でベッドから這い出した。


 今日はセルフレベリングの打設。

 630へーべーにもなると、レベリング剤は9リューベ。

 生コン車2台分だ。

 

 現場の職長は館だが、今日は龍太が手伝いに入る。

 そうなると、仕切りは龍太。

 多分、昼の休憩は取らないだろう。

 千香良は朝から、少し憂鬱だ。

 けれども、仕事は行かねばならぬ。


(今朝は~おでんのお汁で雑炊を食べて……暖まってから出かけよ。で、リンゴを剥いてもらって……丁稚が様子を見に来てくれると嬉しいな~)


 千香良は、楽しみを思い浮かべながら、支度に取り掛かった。

 

 そして、『プラスター工房ムラオカ』までの道すがら、白々と空も明るくなっていく。

 運転免許を取り立ての頃は、通常20分の所を40分も掛かっていたが、今では、ついつい時速オーバー。

 今日は早めに着いてしまった。

 

 それでも、龍太は既に来ていて、軽トラに荷物を積み込んでいた。


「おっ、遅刻せずに来たな」


 千香良の顔を見るなり、龍太が、からかってくる。

 龍太の弄りは挨拶代わり、親愛の証だそうだ。


「どうして、そんな意地悪を言うかな~そんなんじゃ、龍乙(たつくに)君に嫌われるよ」


 そして、千香良も負けずに応酬。

 朝のじゃれ合いは日課となっている。

 普段走る無口な千香良も龍太が相手だと遠慮かない。

 意味もなく、息子を引き合いに出してやる。

 

「龍乙は関係ないだろう……千香良の方が、よっぽど意地が悪ぞ。俺はただ、乙葵から相葉家の昨日の夕飯が「おでん」だって聞いたから、絶対に千香良は晩酌するって思ったんだよ。お前は、時分のキャパシティが分らんで呑むだろう」

 

 確かに、龍太に言うことは尤もだ。

 いつもなら、父と遅くまで飲んでいただろう。

 父は娘との晩酌が楽しいようで、いつまでも付き合ってくれるのだ。


「だって……お父さんが、悪いんだよ」


 言い訳をする千香良は拗ねた口ぶりだ。

 

「まぁ、若い頃を思い起こすと、俺も似たようなもんだったからな……じゃ、館さんには直行してもらったから、行こうか」

 

 何だかんだと言っても、やはり龍太は千香良に甘い。

 

 そして、連れ立って現場に向かう。

 代わりのない光景だった……

 

 けれども、現場に着いた時点で千香良は意気消沈。

 館の直行は理由があった。

 丁稚と2人で、当たりの高さを最チェックしている。

 

「昨日、当たりを忘れて帰っただろう、星谷から館さんにラインが入って、2人でやっつけたらしいぞ」


 龍太の言葉に千香良は無言で唇を噛みしめた。


(連帯責任なのに……)


 お呼びが掛からなかったのは、半人前と扱われている証拠だ。

 千香良は、何故か悔しい。


 

読んで下さってありがとうございます。


遅筆で申訳ない……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ