メアリーのターン
メアリーのワインを開ける。
これがダメだったら、ちょっと厳しいかもしれない。
そんなことは顔にも出さず、ふんばる俺たち。
「こちらのワインもとても芳醇でかぐわしい香りですわ!」
・・・そうか、気にいってくれてメアリーも喜ぶだろう。
メアリーのワインもがぶ飲み始めたジューン。
「私、少し失礼しますわ・・・」
初めて、ソファを立った。途端。
ばたん・・・!
ソファに崩れこむ。
ジューンなら抱きかかえるが、こいつはな・・・。
「ようやく、だな」
俺死ぬかと思った。
「俺、途中、飲むふりしてた」
「僕、戻しに行ったよ・・・」
え?馬鹿正直に飲んだ俺よ・・
とにかく、仕留めた。
というか、このワイン一本で効いたとしたら、
もっと早く持ってこい、メアリー!
「お、あったぞ」
ジューンに贈った魔法のお仕着せをメイドに手伝って服の上からざっくり着させ、そっと皇后宮まで運ぶ。
ここまで来たら、お仕着せを脱がせ扉をノックする。
「このような夜更けにいかがなさいましたか」
「第三妃が酔ってここに連れてこいとうるさくするもんでな。しかし連れてくる途中に寝てしまったのだが・・」
「では第三妃の私室へお連れくださいませ」
「いや、しかし!」
バタン・・!
無常にも扉は閉ざされてしまった。
「まずいな・・・」
「大丈夫よ!扉が開いた途端、ジューンから手紙が戻って来た。だから急いで私も手紙を飛ばしたわ。結界が消える護符も入れた。後は、ジューンがそれに気が付けば結界が消える。そうしたらジューンを見つけられるわ!」
さすがメアリー。俺たちは一生メアリーに頭が上がらないだろう。
*
泣きすぎて、顔がごわごわする。
食事は持ってきてくれるけど、さすがに湯あみはさせてもらえない。
私は何十回目かわからない手紙をメアリーに送るために祈ることにした。
もう握りしめすぎでぼろぼろの手紙。何度読んだかわからない。
気力はぼろぼろだった。でも手紙だけが拠り所で。外と繋いでくれる唯一の証だった。これがなければ私はとうに諦めていたかもしれない。そう思いながらポケットから手紙を出す。
・・・手紙が新しい。封がされている?!
“ジューン、メアリーよ。時間がないわ。中に同封されている護符を床に置き、その上に立ちなさい。決して護符から足を離してはダメ。いい絶対よ?足で踏んだら「爆破」って念じなさい”
なんだか、恐ろしい言葉が掛かれているけれど。
メアリー、ああ、メアリー。気が付いてくれたんだ!
私は手紙を抱きしめるとキスをして、そして護符を床に置いた。




