ジューン奪還!救出作戦会議
おい、おい、おい!
どうなってるんだ!あいつは誰だ。ジューンはどこだ!
途中まで優雅に歩いていた皇子、途端に走り出す。
「おい!ジューンが居ねえ!」
なんだって?
どういうことだ?
「ジューンぽい奴はいるが。あれはジューンじゃない」
ジューンは、俺らのことをベッド以外では名前で呼ばない。
ねえ、とかあの、だ。
そして。心の中で。俺らを数字で呼んでいるのは。お見通しだ。
「ドアを開けたら、お待ちしておりました。デュランさまって言ったんだ。それになんか。雰囲気が違ったんだよ!」
本当にそうなのか?ジューンが疲れているとかたまたまとか。
「いや、あれは違う、と思う・・・」
で、お前は何て言って帰って来たんだ?
「仕事が終わんないから顔だけ見に来た」って。
そうか・・。
で、どうするんだ?
そもそもあいつは誰なんだ?
・・・ま、第三妃だろうな。
なりすましってこと?
・・・確かめに行こうか。
今から?大丈夫か?
うーん、第三妃が来てから三か月・・か。
まぁもう俺らが来ることはないってしびれ切らしたんだろうね。
だからってジューンに成りすますなんて。
ジューンは?!大丈夫なのか?
第三妃がずっとジューンのふりをすることはないだろう。
大々的に第三妃が入内したのは周囲に知れている。
ずっと第三妃が居ないのもおかしいし、一人で二役もむつかしいだろう。
じゃあジューンが消されるってことは・・・
無い、とは言い切れないがジューンの振りをして妊娠出来たら
第三妃に戻って、妊娠した!て言えば良い。
俺らが通ったかどうかなんてどうせわからないからな。
でも、儀式もしてないし5つ子なんて産まれないのにな。
それは知らされていないからな。俺らは5人ということも。
でも、どこにいるかわからないぞ。
城の中だとは思うんだが・・まさかあのお仕着せを使ったってことはないよな。
そうなったら厄介だぞ・・・。
ここは・・・メアリーを呼ぼう。
メアリー?
俺らだけだと考えが偏っちまう。あいつの意見と知恵を借りるんだ。
まぁ、メアリーはジューンを別の意味で愛してるからな・・・。
俺らに絶対ジューンにしろって言っていたくらいだから。
よし、俺が呼んでこよう。
メアリーに殺されなければすぐ戻ってくる。
ーコンコン
「誰?」
「メアリー、済まない。俺だ」
「どうしたの、こんな夜分に・・・!!まさかジューン・・」
「消えたんだ。多分」
「どういうこと、詳しく教えなさい」
先ほどのあらましを話す。
「何てこと・・、でもまずジューンが本物かどうかを確認する必要があります」
*
「メアリーさま、今日はお誘いいただきありがとうございます」
翌日、メアリーはジューンとのお茶会を早急にねじ込んだ。
「今日はね、ジューンに食べていただきたいお菓子があってお呼びしましたの。ようやく手に入ってどうしても嬉しくて、急にお呼びだてしたこと、ごめんなさいね」
「とんでもないことでございます。うれしいですわ」
「でね、お菓子ってこれなの」
「まぁ、美味しそうなお菓子ですわね、初めて見ましたわ!」
「そうでしょう、タルトタタンと言うのよ。ぜひ召し上がって」
「アップルパイに似ていますが違うんですのね、美味しいわ!」
「たくさん召し上がってね」
*
多分、正面から問い詰めても吐きはしないでしょう。
だから、まずジューンかそうじゃないかを確認する必要があります。
お茶会を明日開きます。
私がタルトタタン、と言ったら、デュラン、あなた来なさい。
ジューンがタルトタタン、と言えばジューンは本人ですからまた別の手立てを考える必要があります。
一旦、今のジューンが第三妃かどうかは別として私と、デュランで引き留めておくわ。
その間に探せってことだな。
ジューンは今どういう状態なのかしら。
もし、城の中にいるとしたら、声が聞こえないとか手足も動かせないってなるわよね・・。
もしかしたら結界が張られてるんじゃないだろうか。
公爵家の長女なら結界なんぞお手の物だろう。
怪しい場所はどこだ?
そもそも第三妃の自由になる場所は私室くらいしか・・・
いや、皇后だ。皇后の宮は実母のいる場所だぞ。
厄介だな・・・。
ーコンコン
「誰!?」
「ジューンさまのメイドが火急の用があると・・」
「ジューンのメイドか・・。話を聞こう」
「夜分に恐れ入ります。第一妃様まで・・・申し訳ございません。ジューンさまなのですが・・・様子がおかしいのです。昼間に散歩に行かれたようなのですが帰ってこられてから怒鳴り散らされたり、第三妃様に茶葉を貰ってこいとか、普段は飲まれない、ワインを所望されて・・・私、何が何だか・・・」
「よく、勇気を持ってきてくださったわね、ジューンは幸せね」
「ジューンさまにはいつもよくして頂いておりますから・・だから私は心配で・・」
「ありがとう、こちらで何とかするから君はいつも通り、振舞っていて欲しい。そうだな、ワインか・・・明日、大量に届けよう」
「よろしくお願います」何度も頭を下げてメイドは戻っていった。
「どうすんの?」
「明日、俺らでジューンが飲みつぶれるまで一緒に飲む」
「なるほど、俺らは交代ってわけだな」
「そうだ、その間に」
「皇后宮の結界は鉄壁だろう」
「いや、潰れたジューンを皇后宮に運ぶんだ。それで、本当のことを吐いたと言う。
そしたらメイドが流石にドアを開けるだろう」
「そこに乗り込むんだな!」
「私も、私も行きます。私にしかできないことがあります。結界が切れれば魔力が発動するはずです」
では、昼間のお茶会でさりげなく、ワインの話に持っていこう。それで、第一妃からワインを贈るんだ。それを俺らとジューンで飲む。ジューンがどのくらいが致死量かはわからんが俺らも弱くはないし、5人だからいけるだろう。
作戦は決まった。




