偽者ジューン参上
「馬鹿だとは聞いていたけど、ちょろいもんね」
おおよそ、公爵家のお嬢様とは思えない悪態をつき、キャロンは優雅にお茶を飲んだ。
「さて・・」
「こんな不細工が寵愛されているなんて本当にむかつくわ。でも仕方ないわね。妊娠さえしてしまえば私に戻って産めばいいのだもの」
それまでここでしばらく、じっとしててよね。あんたが皇子を離さないからこうなるのよ。自業自得ね。おとなしくしていたら、産まず女としてここで屈辱にまみれながら生きていけるわ、命はあるのよ。私が優しくてよかったわね。
そう言って、キャロンはメイドの持ってきた薬を飲むと。
ジューンの姿に、なった。
「じゃあ、頼んだわよ。あくまで私がいるようにするのよ。結界は張っていくから、出ていかないようにしっかり見張っていなさい」
そうメイドに言い放ち、ジューンの私室へと急いだ。
「ジューンさま!どこに言っていらしたのですか、だから出かけるときはメモを・・」
「うるっさいわね、メイドのくせに生意気なのよ」
「ジューンさま・・・?」
主人が主人ならメイドもメイドね。しつけがなっていないわ。
「ちょっと、主人が戻って来たんだからお茶位早く入れなさい。気が利かないわね」
「はい、はいただいま!」
「何、このお茶、まずくて飲めないわ。・・第三妃キャロン様のところでお茶を貰ってきて。今すぐ。早く行きなさい」
「わかりました!」
ジューンさま、どうしたんだろう・・・。ジューンさまじゃないみたい・・・。
何かあったんだろうか・・・。
「これでいいわ」
無事、第三妃の茶葉を貰い、丁寧に入れたお茶に偽ジューンは満足したようだった。
「呼ぶまで一人にして頂戴」
偽ジューンによる、家探しが始まった。
「大したものはないわね・・・」
アクセサリーもドレスの数も多くない。むしろ質素である。
「なんで、お仕着せがあるのかしら。まぁいいか・・・」
続いてテーブルと棚を漁る。
「手紙・・?何も書いてないじゃない。なんなの。これ」
メアリーとの秘密の手紙。メアリーとジューンの血が入ったインクと封筒に施されたメアリーの魔法で本人のところへ確実に届き、本人たちしか読むことができない。
メアリーの完璧な魔法だった。
「何もないのね、はーあ。」
ベッドにゴロンとなり、うとうとしているうちに眠ってしまったようだ。
「ジューンさま、そろそろ湯あみのお時間です・・」
恐る恐る声を掛けるメイドに舌打ちをしながら湯あみをする。
・・・待っていれば来るのかしら。
そう思っていると
ーコンコン
来たわ!
「お待ちしておりましたわ、デュランさま」
・・・
「・・・お待たせ。ごめんね、仕事が・・終わらないんだ。だから・・今日は顔だけ見に来たんだ。あとさ、昼間、いなかったよね。どこに行っていたの?」
さ、散歩ですわ。せっかくいらしたのにいなくて申し訳ございませんわ。
お仕事、どうぞ頑張ってくださいませ。明日は・・来てくださいませね。
おやすみ、
そう言って扉は閉じられた。
「せっかく湯あみしたのに。・・ねえ、ちょっと、ワイン持ってきてよ」
「わ、ワインでございますか?」
「そうよ、内緒でね」
「ジューンさま・・・どうなされたのですか」
「うるさいわね、黙って持ってきなさいよ。使えないわ」
「今、お持ちいたします」
「もういいわ、寝るから。明日は準備しておいて」
「かしこまりました」




